2014年11月26日

【コラム】 宝くじ・totoの収奪率と配当率

 宝くじやtotoの購入客への配当率は45~50%であり、これは億万、千万当選者を入れての計算である。連番で10枚単位(3000円)で買う者は300円1本は確実に当たるから、購入者への配分は購入額の実質10%強程度である。
 ジャンボ宝くじは年5回だが、ロト宝くじは毎週行われて年50回以上となる。もし、30万円を持つ人が通常の宝くじを1回3000円ずつで100回購入するとすれば、ほとんどの購入者は30万円が3万円になるだけである。そうしないと100万人~1000万人に1人の大当たりを出せない。結局毎回10枚以上買う人でも宝くじの配当率は10%ということで90%の収奪率となる。
 案外、購入者はこのような計算が苦手で、億の夢(実際には見られない人がほとんどだが)に欺される人なのである。


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偶然の一致?

 ギャンブルオンブズマンは、一般紙のみならず赤旗までが記事として宝くじの当せん番号を週何回も公表していることに憂えている。宝くじは富くじというギャンブルであり、貧しい庶民を中心に、購入金の50%以上を収奪するものである。
 それ故、当会は、掲載すべきでないとの反対の意見書を2012年5月9日付で各紙に送っている。しかし、各紙は宝くじも広告主であったり、読者の便のためとして当せん番号に紙面を割く。
 近時、私たちの宝くじやロトへの批判や、ロト・ナンバーズをめぐる詐欺事件の横行もあって、当せん番号の公表欄の横や下に「詐欺にご注意下さい。当選番号は事前に分かりません。」とか「詐欺に注意して下さい。番号は新聞公表の前夜発表されています。」として新聞公表とインターネットでの情報入手の時間差を利用した詐欺事件を注意する表示が付されるようになった。
 事務局で簡単に調査したところ、このような注意表示は次のとおり、2014年9月から始まった。
(1)朝日 9月18日 (ナンバーズ3976回分から)
(2)読売 9月27日 (ロト7 77回分から)
(3)毎日 10月8日 (ミニロト788回分から)
(4)日経 10月10日 (ロト6 906回分から)
(5)産経 10月30日 (ナンバーズ4006回分から)
 また、11月には地方紙でも同様の注意書きがなされるところが多くなった。
 実は、ギャンブルオンブズマンは発足後、宝くじを利用した詐欺商法を世に警告し、みずほ銀行に対し防止活動を求めているが対応はない。客が欺されていだとしても宝くじを買ってくれるのなら利益が上がるという訳だ。今年8月23日には毎日紙に、ロト6の当せん番号を当てるという本の広告が掲載され、その出版社と毎日紙に是正の申し入れをした。9月3日には公取委にも不当表示本と広告の取締りの是正申し入れをした。
 毎日紙広告局からは、是正申し入れについて9月4日と10月3日に「言い訳」的な回答があった。私たちの活動と当せん番号の予測を利用した詐欺への注意書きの追加は偶然の一致とは思えない。
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【コラム】 カジノは何故ボロ儲けできるのか

 判りやすくルーレットを例にとる。0か00以外だったら客の誰かが勝ち、カジノ店に損得はない。しかし、確率論上0か00は38回に一度起こり、この場合は店の総取りとなる。赤か黒かの場合も38分の18、すなわち47.4%の確率でしか客は勝てない。1回のゲームならこれで済むが、もし100枚のチップを1枚ずつ賭けるとすれば、勝てば2枚になるが200枚に増やすには100回の賭けに全勝しなければならない。客が賭ける間、店は38回に2回は必ず勝って儲ける。
 38分の2は5.3%というが、これは大変な錯覚である。1回だけするなら47.4%の確率で倍にできるが、これを繰り返せば破算する。先の100ドルを200ドルにする目標で回数を繰り返すと、その確率は0.0027%にしかならない。このようにカジノは、競馬などのゲームに比べ、適当な額を数多く賭けて遊ばせるので有り金のほとんどを巻き上げられる。だからドリンクや美女サービスで長居をさせるコンプが有効なのだ。
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日本のカジノはどうなるか? ―衆院解散によってIR法案は廃案に―

1.カジノ法案は、11月21日の衆院解散によって廃案となった。
  カジノ議連は超党派で、且つ国会議員の多数を占めるのになぜか?解散問題は別としてカジノ法案が進まなかったのは内的要因と外的要因がある。まず、外的要因からいうと、
(1)カジノ(ギャンブル)に対する国民の根強い不信と反対
 様々な世論調査をみても反対は賛成よりはっきりと多い。(その理由は内的要因と共に述べる。)
 ギャンブル依存による被害は家庭や社会に及び、多重債務者の救済活動等を通して被害者自身も声をあげて反対した。
(2)カジノ反対運動の急速な盛り上がり
 カジノ推進は観光等の一部や地方経済界の長年の活動で、その支持を期待した超党派の大IR議連(カジノ議連)まで形成させた。一方、カジノ反対の活動は一昨年ぐらいから始まり、2013年に維新グループやカジノ議連が法案を提出した頃から全国組織化が進んだ。推進する自治体の足下でも次々と反対組織が生まれ、集会やシンポジウムが行われた。日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会でも反対が強く、多重債務者や消費者問題等から反対の決議声明が出され、且つ全国化した。各地での街頭行動や国会内での集会など、世論に訴える反対活動も大きい。
(3)メディア・マスコミの慎重論
 メディアはカジノそのものへの絶対反対でないが、産経を除いて慎重論。様々な弊害が知られているが、その克服、完結がなされていないという社説が多い。実はIR法案はカジノの弊害への対応を政府の検討に丸投げする。議員立法独特のズルイものだが、もちろん立法成立前の政府は今でもギャンブル依存症(推計536万人)にさえ対応を取れていないから具体的対策はない。だから先の見えない拙速法案だという批判は当然である。
(4)与党公明党他に生まれた慎重論
 公明党や自民党、民主党の議員の中にもカジノに賛成しない議員はいる。そもそもカジノ法案を与党が党議拘束までして強行することは法案の性質上難しい。また、反対世論の盛り上がりとメディアの慎重論の下、議員の支持層・支持者の中にも反対の声が多い。
  
では、IRカジノが進まない内的要因は何か。
(1)カジノの性質
 ①犯罪や治安上の問題、②マネーローンダリング(資金洗浄)、③風俗、青少年教育上の弊害、④ギャンブル依存や多重債務者等がある。IR法案さえ10条で悪影響を認め対策の必要を列記する。この点の対策を示せていない。
(2)IR法のカジノは私営業者による市民からの収奪
 ギャンブルとしてのカジノは賭博開帳で胴元が確実に客から金を吸い上げる。賭博自体は富を生まない(生めない)。今の公営競技も賭博であり、公営の例外としたが実は国民や自治体住民からの収奪である。客がギャンブルに夢中になったとして喜べるものでない。その犯罪性と反倫理性の克服は難しい。
 仮にカジノのギャンブルで遊ぶ楽しさを感じる者はあっても、それを社会的に正当化する価値があるとまではいえない。就職口を生み、経済成長に役立つというも、昔流にいえばバクチのお手伝いの仕事やヤクザの取り分といえる。ノム・ウツ・カウを業とする健全企業はない。
(3)IRカジノは地方自治体の収益になるというバラ色の宣伝のウソ
 収益は客が収奪されることとその採算ベースでの話。もしその予想が外れると自治体はとんでもないお荷物を受け大打撃となる。ギャンブルをIR(統合型リゾート)という衣で包もうと、最もおいしい(儲けられる)ところは民営カジノであり、カジノなしのIRなど赤字の施設といえる。むしろ、IRカジノの失敗例がアメリカで生まれており、アジアのカジノでも停滞、退潮が紹介されている。
(4)既存産業との対立
 カジノ具体化しようとすれば、既存の公認ギャンブルとの利害対立が生じる。特にパチンコ・スロットとの対立は難しい。カジノ進出は大手パチスロ企業だけが食指を伸ばす。
 また、IRは他のリゾートから観光客を奪う。リゾート特区の立地対立も生じる。東京都舛添知事は静観、沖縄県はIR反対の知事が勝った。大阪府の松井知事・橋下市長やその他北海道から長崎県・宮崎県まで誘致首長らは新産業による観光需要や雇用をいう。しかし、個別自治体内部では地元の既存産業、労働、文化の利益を収奪することになり、大きな利益相反がある。

2.11月に入って急に「解散風」が吹き、解散が強行された。表向きは消費税10%化の延期やアベノミクスを国民に問うものにしたいとされている。しかし、アベノミクスは日銀による札のバラマキばかりとなっている。安倍外交も空を切り、沖縄選でも負け、消費税を上げるだけの経済を生めなかったからであって、野党の選挙態勢の不足を見込んでのことだったといえる。
 しかし、選挙後の通常国会にIR法案を再提出するという。斗いは続く。まずカジノ議員には×をしたい。
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2014年10月22日

【裁判情報】

大阪地裁 平成26年(ワ)第6683号事 宝くじ販売差止請求事件
 次回期日:平成26年11月19日(水)午後1時15分 808号法廷(傍聴可)

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2014年10月21日

カンパのお願い

当会は財政上は専らカンパで成り立っています。
会費・カンパを下記口座までお願いします。

りそな銀行 北浜支店 普通0115719
口座名義:ギャンブル被害をなくす会
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事務局だより

○ロト6攻略本の不当広告・販売につき、出版社東邦出版と広告掲載毎日紙に対し是正申し入れ
    ~~2014年8月23日毎日紙~~ 「『億万長者ボード』を重ねるだけで、ロト6が当たる!当たる!」という大見出しの出版物(坂元裕介著 東邦出版発行 本体1500円+税)広告を掲載。「ロト6攻略の最強定番!わずか1分で当選数字がわかる! 付録の『億万長者ボード』を重ねるだけで6つの数字が浮かび上がる!『楽しい』『安心』『簡単』『正確』『早い』予想で、高額当選をその手に掴む!」等。
  宝くじ「ロト6」は、事前に当てることはできません。広告にいうような高額当選数字を「正確」にわかるわけがないのにさも当てることが可能な出版物であるかのように宣伝する時点で全くの「不当表示」。この本を1500円+税で買わせる点で「詐欺」です。
  8月26日、当会は東邦出版及び広告を掲載した毎日紙に対し、是正申入書を送付しました。
  これに対し、9月4日、毎日広告局より「当選予想は確実でないこと明白」とし、これは周知のことだから上記の広告でも詐欺・不当表示にはあたらないと、奇妙な逃げ回答がありました。
  9月18日、毎日広告局へ再度申し入れ、10月3日には回答がありましたが同じ対応でした。それでも事実上今後は注意するようです。
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書籍紹介

 今回は古書店で集めた賭博関係図書から。古い発行年のものからいうと宮武外骨の「賭博史」(大正12(1923)年初版)だが既に会報24号で紹介している(なお、宮武氏がその著で弊害についても述べていることは別に紹介する予定)。

1.『賭博要覧』 清水行恕(東京区裁判所検事局検事) (大正15(1926)年10月)
 裁判と検事局が同じ役所だった1926年に発行したもので「検務ノ一助」とすべく長年興味をもっって研究したものをまとめたという。賭博の取り調べや検挙のために賭博を分類し、賭場開帳のやり方から賭博に利用する骨子(サイコロ)、骨牌(カード、札)、籤(くじ)、相場、撞球(玉つき)、その他に電車(番号)、列車当て、人数、碁石(握り)などや自然界の物を利用するものまで、そして詐欺賭博についてを109頁にわたって詳述する。
 法的取締り、立件(起訴)上の視点が中心で、漢字カタカナでルビもなく読みづらい。バクチ種類ややり方は詳しい。検事の立件の便のためのもので、宮武氏の賭博史のように読み物として賭けの名付けの由来や四方山話などはない。従って、一般人が読む価値はないし、今ではヤクザの世界でもこのような全ての賭博は残っていないように思える。現代のヤミの違法賭博ではバカラやルーレット利用もされているが、それらには触れていない。サイコロを使う賭博でも、今では別の呼び方となっているものが少なくない(チンチロリンetc)。それに大正の時代からして、野球や相撲などスポーツ賭博や競馬~競艇など公営競技を利用したノミ行為、パチンコなどに関する記述も全くない。籤もカラ、宝引、チーハー、振り出しの4種のみで、カジノや今の日本の宝くじやトトカルチョなどは外国にはあっても当時は紹介できないものだったのだろう。

2.『賭博(日本探偵実話)』 中村義正(探催全集刊行会 昭和12(1937)年12月 408頁)
 元警視庁警視が詳しい賭博知識の下に広範な記述をしたもの。采(サイコロ)賭博、カルタ賭博も実に詳しい。そして双六から賭けゲーム、麻雀まで詳述する。
 まず、結論として射倖心利用の賭博の広さを述べ、総論として犯罪の法律論、倫理説、詐欺、自殺について詳しく述べている。この総論には、今日でいうギャンブル依存症を指摘するに等しいものがある。
 詐欺の大概は賭博と分かちがたい――という。実はギャンブルにはその内に知識、熟練が入っており、それが結果に反映する。いわば「許されている」詐欺というのである。これは賭け将棋などにもいえ、競馬にもあるという。
 詐欺や自殺に関する「心理学」では、今日私たちのいう賭博依存症を「てん狂」という名で呼ぶ。そして全ての財産を失い、借金もし、「地獄の餓鬼」になるという。それに至るのは人が得た「機会」、暗黒のフェート(命運)より来ている(36頁)。賭博によって「養成された感動」が「生命を賭する」に至る。自殺に至る「狂気」は第1回の賭博から起こってくる当然の結果というのである。これは今日の依存症の医学と通ずる。
 このような見識がその後ほとんど深められず、戦後、公営賭博、パチンコが広げられ、500万人超のギャンブル依存者を生んだ。国、自治体、業者は病を生んだ「過失犯」どころか、「故意犯」といえよう。公営ギャンブルを国会賠償で問う場合、本書は警視総監の序まであり、官推薦の出版物である。

3.『賭 サイコロからトトカルチョまで』倉茂貞助(荒地出版社 昭和34(1959)年11月)
 著者は、陸士卒業後、戦争中は中共研究、戦後は米軍戦略研究所に所属。1948年競輪を創案し、自転車振興会参与時代の著作。賭けは人生の宿命とし、賭け事を公認せよという。自ら競輪を創案し、収益業者側に立つ者ならではの論。賭けを是とし、賭事小史と賭け事をいろいろ紹介する。
 著者は自ら創案した競輪が議員提案理由では「はなはだしき我田引水の論」であるとか、成立したのは「産業と国会再建という大義名分を堂々と掲げて、反対派は国会審議で反対しようにも内容がよく判らなかったので成立した」のだと述べている。
 かくて競輪が国会を通過し、今「必要悪」「やむを得ない社会悪」として続けられていることを「将来の大きな影」という。しかし、著者は競輪と同旨で公認された競艇、オートレースが地方財政収益を得ていることを強調し、競馬、競輪、競艇、ボートレースは「地方財政の健全化」のためという。しかし、地方財政への必要悪論は問題が多いという。今後は世界的傾向にならって「社会福祉とかスポーツ振興とか国家予算から多額の援助を受けることができない。しかし絶対に必要とすることに賭けごとの収益金を使うべき」という。そして公認賭博が庶民階級の「国民に必要な娯楽」を提供するともいう。
 競輪誕生後、賭博犯検挙数が減少したという統計を出す。ここには合法化された競輪に流れた賭博もあろうが、その一方で競輪の「ノミ」行為や競輪に伴う新しい犯罪(選手の不正~汚職まで)には触れていない。不都合な真実を避ける立場の人のようだ。
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大暗賭博百人一首(3)

今回も小倉百人一首の替え歌です。(41~60番)

41.パチプロのわが名はもはやばれにけり 人しれずこそ稼ぎ上げしか <未見稼身>
  恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか (壬生忠見)
42.契りきなギャノマンに行きこの病 家族の共に治さんとせば   <清身元気>
  契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山浪越さじとは    (清原元輔)
43.マカオにて大負けするまでまだ勝つと 昔は破綻思はざりけり   <大王会長>
  逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり     (権中納言敦忠)
44.賭け事を絶やす仕業はなかなかに 人をも身をも恨みざらまし  <諫言浅薄>
  逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし (中納言朝忠)
45.あわれとは言ってくれない依存症 我自らの努力あるのみ    <嫌賭行>
  あはれとも言ふべき人は思ほえで 身のいたずらになりぬべきかな (謙徳公)
46.競艇場わたる選手は羽根磨き 勝利を狙え賞金の道       <競艇選手>
  由良の門を渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな   (曾禰好忠)
47.たくさんの公営賭博パチスロに 富くじトトにカジノ来にけり  <穢行奉仕>
  八重むぐら茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり  (恵慶法師)
48.トトセブン キャリーオーバーおのれのみ 億円当たれと思う根性     <皆元時化行>
  風をいたみ岩うつ波のおのれのみ 砕けて物を思ふころかな   (源重之)
49.宮城県観光誘致のカジノ案 今は消えつつ復興第一       <大津波能臣>
  みかきもり衛士の焼く火の夜は燃えて 昼は消えつつ物をこそ思へ (大中臣能宣朝臣)
50.君がする勝つと思える賭け事は 長く続けば負ける仕組みに   <不審はヨシタカ>
  君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな   (藤原義孝)
51.ギャンブルにあればうれしい効く薬 さしも知らじな家族の悩み <博奕効薬無>
  かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじなもゆる思ひを (藤原実方朝臣)
52.買いたれど当たらぬものとは知りながら なお恨めしき抽せん発表 <宝くじ・トト>
  あけぬれば暮るるものとは知りながら 猶恨めしき朝ぼらけかな (藤原道信朝臣)
53.嘆きつつ大負けした夜の日は明けて いかに久しき嗜癖かと知る <嗜癖症満母>
  嘆きつつひとり寝る夜の明くるまは いかに久しきものとかは知る (右大将道綱母)
54.忘られぬ賭博をやめる難ければ 今日を親子の縁切りしたい   <博奕三昧母>
  忘れじのゆく末まではかたければ けふを限りの命ともがな   (儀同三司母)
55.断のうわさたえて久しくなりぬれど 名こそ流れてなお聞えけれ <断賭博禁道>
  滝の音はたえて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞えけれ   (大納言公任)
56.あきらめぬこの世最後の大博打 今もう一度思う病に      <いつも死期夫>
  あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな(和泉式部)
57.IR成功するかわからぬに 利権ないかと弱い県かな      <無茶先敷布>
  めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲かくれにし夜半の月かな(紫式部)
58.有馬ではファンが選んだ馬走る さあ投票を忘れずしよう   <有馬記念>
  ありま山ゐなの笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする    (大弐三位)
59.ためらわずカジノ導入準備する 敗れるまでの夢をみしかな    <アカンゾエ>
  やすらはで寝なましものをさ夜ふけて かたぶくまでの月をみしかな(赤染衛門)
60.大っぴらスロットするの近けれど まだ踏みもせずカジノのバカラ <未成年侍>
  大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立     (小式部内侍)
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賭博ものしりシリーズ・6 ○ 競馬 ○

 馬を競走させることは歴史的に古く、日本でも「競い馬(きそいうま)」「駒競(こまくらべ)」「走馬(はしりうま)」などともいい、続日本紀に文武天皇の大宝元(701)年5月に「走馬を出さしめ天皇臨観せらぬ」とある。
 関西では明治41(1908)年に兵庫県鳴尾村(現神戸市)に競馬場が新設された。馬券は4000枚、金額にして45万5000円の売高、最高大穴は636円だった。
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「花ちるや 競馬場より 肩車」 (清野幸男)

 毎日俳壇の小川軽舟特選の句。「評」に、ギャンブル好きは困ったものだが、子煩悩な父親らしい肩車の一語で親子の情を描いたとある。たしかに川柳でもギャンブルはあまり取り上げられない。世の中をえぐる川柳世界でも、賭博は欲得づくの世界で人も心の裏も露見しているということで、かつて選題から除かれた。だから俳句での特選はもっと珍しい。
 桜花賞というレースもあるが、花見に子どもを連れて行くようなところでない。子に馬を見せようというのだろうが動物園でなく、幼児には賭博のスリルも判るまい。賭け客の人混みに連れて行かれて、帰りに肩車をしても親子の情がどれだけあるのかと思ってしまう。
 実は、住之江競艇場に見学に行ったときのこと、次の“川柳”にしたい風景を見た。
ゴミ散るや競艇場の乳母車 / 煙舞う競艇場に幼児連れ
 投票券や煙・ホコリが舞うところに乳幼児を連れて行くのでは川柳にはなっても俳句にはならないのであろう。
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ギャンブルNEWSピックup   (2014.8.26~10.17)

2014. 8.26  当会  ロト6攻略本の広告・販売につき東邦出版に、その不当広告につき毎日紙に対し各是正申し入れ(後記事務局だより参照)
8.31  日経  「五輪の品格」はどこに なぜ巨大施設やカジノが
     9. 3  福井  ギャンブル依存症 家族の苦しみ、借金肩代り…
         産経  首相 太田国交相に「カジノ担当」指示
         TV朝日  米アトランティック(ニュージャージー)カジノ倒産続く
        当会  不当表示広告につき公取委に措置請求
    9. 4  東洋経済  カジノは外資に依存せず日本企業で取り組むべき
    9. 5  日経  ギャンブル依存から守れ 企業も
            京急、カジノに賭ける成長戦略
    9.6~7 第21回全国市民オンブズマン大会in岩手 カジノ反対決議、ギャンブル問題分科会
    9. 8  毎日  ギャンブル依存症 自力脱却は困難 カジノ熱冷める自治体も
    9. 9  赤旗  第2次安倍内閣 カジノ議連ずらり
    9.13  日弁連  カジノシンポ(鳥畑講演)
    9.14  赤旗・毎日  秋田、カジノおことわりシンポ
9.16  大阪ネットワーク カジノ反対ポスター1000枚、チラシ1万枚配布
    9.17  みずほ総研  東京カジノ3.7兆円の経済効果(IRのレポート H14.7.4~)
9.18  各紙  大阪府・市首長、IR準備会議で夢洲IRへ鉄道3路線構想
    当会  不当広告につき、毎日広告部へ再度申し入れ
    9.19  東洋経済  カジノ法案と沖縄
    9.21  読売  ギャンブル依存多い日本
    9.22  ゲンダイ  ウソで塗り固めたカジノ狂騒局
        CSテレ朝  カジノ 是か非か
    9.26  当会  会報第28号発行
    9.29  フォートサイト  カジノ解禁で問われる財務省、金融省の監視能力
        沖縄タイムス  社説:カジノ解禁・知事選で「賛否語れ」
当会  大阪市に対し、舞洲カジノと第3回IR準備会議、3路線構想について情報公開請求(情報提供10月)
    10.3  京都弁護士会  カジノ反対声明(全国弁護士会で11例目)
    10.4  沖縄  カジノシンポ  カジノは沖縄に何をもたらすのか?
        大阪弁護士会  IRカジノ成立阻止シンポ(100人)
    10.5  北海道  異聞風聞「カジノで未来はばら色?」
    10.6  北海道  留寿都村 カジノ誘致構想
    10.7  朝日  世論調査:IR賛成30%、反対59%
        カジノ連  日本人利用は別の法律でと修正案
    10.8  産経  IRに歌舞伎を 下村文科相
        産経  安倍総理、IR議連最高顧問辞任表明、参院予算委
        日弁連  国会内でIR法反対集会(110人)
    10.9  沖縄タイムス  4日のカジノシンポの紹介
        ウェッジ  カジノ依存大国・日本 カジノ合法化は事業対策を(滝口直子)
    10.10  産経  公明参院井上幹事長カジノ慎重論
         カジノ連  外国人限定につき不平等と再修正決定
    10.11  日経  カジノ法案迷走 日本人利用めぐり各党綱引き
         朝日  カジノ論議未成熟 国交相慎重姿勢
         朝日  記者有論:カジノ百害古今の失敗に学べ
    10.12  ブログ  カジノ法案は誰に利用されているのか
    10.13  JCC  小樽、泊まってくれない観光地とIR
         毎日  社説:カジノ解禁ありきに反対する
    10.14  愛媛  台風とカジノ 法案迷走中
    10.15  朝日  兵庫県知事「カジノ大反対」
         サンケイ  橋下これに反論
         日経  春秋:「日本人立ち入り禁止」について
    10.16  赤旗  内閣委で佐々木議員カジノ追及
         TBS  15日、法案取り下げを カジノ反対連絡協
         まど  689年、すごろく禁止令
         朝日  深層 カジノ特集(上)
    10.17  毎日  カジノ解禁 是か非か
         同   余録:アダムスミス、ギャンブル心理を「自分の能力へのうぬぼれと未来へのばかげた夢想」と紹介
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コラム カジノと周辺ビジネス

 資本主義の下、金儲けが営業・商売の目的となる。カジノは「ボロ儲け」の対象となるから多大な投資と準備をしてでも参入競争する。そしてこの商売には必ず案内ガイド、企画仲介など周辺のビジネスを伴う。
まず、IRやカジノ進出への企画コンサルタント業、それに連なる「研究者」「学者」である。企画・宣伝の本格派は日本でいえば博報堂や電通等だ。IR建設ともなれば、用地取得(交通施設を含む)、ホテルやMICE等施設の設計・監理・建設、設備機械、資金、銀行、保険から行政・政治折衝までが必要となる。そして周辺産業との協力も欠かせない。それらに数千億円、数兆円の金が動く。
そこで、カジノIR進出の有効有利性や展望を語るコンサル御用学者や、企業誌、その国の制度に明るく手続や法的処理も行う弁護士らが動く。すなわち、IRカジノによって事前段階から一大ビジネスが生まれるのである。建設を終えても、観光・遊び客の誘致、ジャンケットなどカジノの客引き、保安業務、労務管理、医師を含む維持が必要となる。
そして今、東京お台場案では、IRカジノ、ホテル、MICE、リゾート施設への進出資本はラスベガス、マカオ、シングなポールからの外国企業や、日本のパチスロ業、ゲーム産業、ホテル企業などの名前が出ている。用地では三井不動産、建設では鹿島、企画は電通、メディアのフジ等の企業が動いている。
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コラム そもそもギャンブル?

 NHKBSプレミアムで2014年9月27日午後9時から放送された「関口宏の“そもそも”」という2時間番組で、「ギャンブルってなんだ!?」と題してギャンブルが取り上げられた。
 番組冒頭では「不確定な事実について財物をかけることがギャンブル」としていた。
興味中心の視点で映像化し、視聴者を飽きさせないようなつくりであった。競馬から宝くじまで広く紹介し、ラスベガスやシンガポールのカジノ風景、ルーレットやバカラなどのゲームルールをディーラーを登場させて解説していた。また、欧州の投機についてやゲームに興じた山本五十六、そして大王製紙の井川氏事件もイメージ映像化してギャンブル依存症にもかなり時間をとって紹介していた。
 出演して話し合う6人のうち、司会の関口と案内役の壇蜜を除いた4人は全てギャンブル愛好者(漫画家、落語家(桂ざこば)、学者等)であったが、NHKらしく一応節度ある発言をさせていた。
 ただ、イギリスを何にでも自由に賭けられるギャンブル自由国(但し、政府公認の特定業者に限定)との無批判な紹介や、ギャンブルと株式会社、保険システムを同視していたのは誤りである。イギリス以外の欧州におけるギャンブル規制も紹介すべきだった。
 この番組は、ギャンブルを予想し支配したいという人間の欲望に基づくものだともまとめた。
今日社会的に問題となっているギャンブルは、対等当事者の遊び範囲のものではない。賭博は常習化することで反社会性が著しくなる。公営ギャンブルもパチスロも結局は、賭博開帳行為を主催し協力する関係者のみが確実に儲けるものだ。
常習賭博、賭博開帳、富くじ発売を昔から重く罰するのは、犯罪の巣となるからだった。
 この番組の最大の欠点は、人の賭け心を利用して金を賭けさせ、その賭博開帳者や富くじ発売者が庶民から富を収奪するというギャンブル資本主義企業の問題点を指摘していないことだ。    
(I)
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コラム 儚い夢… 宝くじの確率

 ジャンボ宝くじ1等2~3億円は、1000万本に1本しかない。つまり1000万分の1の確率。前後賞でも500万分の1の確率である。
では、その確率というのは人生にとってどんな数字になるのか調べてみた。
少し古いが1997年に結婚した人は77万5662組、離婚した人は22万2650組で、単純比較すると4組に1組は離婚しているともいえる。また、日本全国には中小を含め約300万の会社があり、社長がそれだけ居る。1人が10年間社長を務めるとすると、労働人口7000万人としてそのうち30万人が社長で233分の1の確率となる。なお、日本は300万人近い失業者も居て、社長の数と変わらない。そのリストラやクビになった人は、1998年1~3月に17万人、1年で68万人となる。稼動人口7000万人中の68万人、確率は103分の1である。つまり、社長になるよりリストラ・クビになる人の方が多いのである。
1等6000万円の宝くじは、1ユニットに1等が10本で1000万本に1本の確率。年4回100枚ずつ(つまり年間12万円分)買ったとして、2500年間買い続けなければならない。同様に、100万円が100本当たるという宝くじを年間400枚買っても、今後250年かかる。
宝くじ100万円以上の当選者は年に4万人おり、1日あたり111人で13分に1人だと宣伝される(但し、これは年間で1兆円近い売上があった前提)。しかし、この例えでいうと実は年20万組以上つまり2.6分に1組発生する離婚よりも低い。
さらに「怖い数字」がある。飛行機事故で死ぬ確率と小惑星が地球に衝突して人が死ぬ確率は200万分の1という。また、飛行機の場合、飛行距離が650kmと仮定した場合は100万分の1とさらに高くなる。
10億人の人が全て毎日1時間移動したとして、その手段が自動車の場合は年に1200人の死亡する計算という。飛行機移動は1450人死亡、階段を上る歩行者でも550人死亡という。
タバコを原因とする死亡は年2600人、水泳死亡は3650人、登山死亡は4万人という計算もある。日本の交通事故死は全体で1万分の1の確率であるといわれる。
アメリカの学者は、直径1.5kmの天体が地球に衝突した場合、15億人が死ぬとした。この頻度は仮に50万年に一度として計算すると、結果は前出の飛行機事故死亡率と同じだったという。
国交省が首都圏(4000万人)で大地震が起きれば、15万人の死者が出るといったことがある。この確率は266分の1である。但し、こんな地震は千年に1回とすると、26万6000分の1となる。
こうして宝くじを考えると、1000万分の1や100万分の1の当せん確率は如何に低く、「夢を買う」ことが如何に「儚い」かがわかる。ナンバーズは当せん確率が高いというが、100万円は25万分の1である。
なお、逆転サヨナラ満塁ホームランを狙える打席が廻ってくる確率は1440分の1の確率。1年130試合フル出場しても11年に1回しか廻ってこない。各4打席130試合で50本打てる王選手並みでもホームランの打率は1割以下だから、逆転サヨナラ満塁ホームランを打てる確率は1万5000分の1である。
日本の宝くじは、如何に「儚い夢」をさも当たると購入者を欺して売っているのかが判る。
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賭博ものしりシリーズ・5 ○ 鼠小僧 次郎吉 ○

 江戸時代末に実在した博徒次郎吉は、天保3年8月19日36歳で処刑された。賭場で子分が金を無心すると「サアー持ってけ」と後手にして借り手の顔を見ないようにした次郎吉に、他の子分が「親分、どうして後ろからやるのか」と尋ねると「顔をみなくて済む」と言ったという。
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「依存症」か「障害」か?

 2014年5月28日、日本精神神経学会は2013年米国策定の精神疾患の新診断基準「DSM-5」で示された病名の日本語訳を公表した。子どもに対してや不安の疾患では「障害」を「症」にするなどとした。差別意識への配慮という。逆にギャンブル依存症はギャンブル障害と呼ぶなど「症」を「障害」に変えるものもある。
 子どもの病では、英文のdisorderを障害と訳していると、disabilityの障害(碍)と混同されるので、disorderを「症」にしようという案だが、結局は完全に統一されず、精神・神経の病であっても「症」「症群」「障害」「障害群」らの用語併用も可となって、現状はわかりにくい使い分けとなっている。
 物質・薬品の関連症は、多くは○○関連障害となる。アルコールはアルコール関連障害群で、その中にアルコール使用障害、アルコール中毒、アルコール離脱といった言葉が使われる。大麻、コカイン、モルヒネ、MDMAなど麻薬類、幻覚薬、吸入剤、オピオイド、鎮静・鎮痛剤、精神刺激薬など向精神薬も同様である。
 他の「依存症」については、今後の研究のための病態とされ、カフェイン使用障害、インターネットゲーム障害、出生前のアルコール曝露に関連する神経行動障害が示されるも、詳しい解説はない。
 なお、認知病については認知障害が併用されるようだ。犯罪として評価もされがちな窃視障害、露出障害、窃触障害、性的サド・マゾ、小児性愛を含むパラフィリア障害群は「病」「症」の病名は付けず、disordersのままである。(ここには純医学より個の責を問う社会的規範として残したい意図がみえる。)
 なお、厚労省のホームページには「薬物乱用防止に関する情報」というコーナーがあり、これに薬物規制の法律等一覧があるので参考に供しておく。詳しくはHP等からご確認いただきたい。
(Y)


・麻薬の指定状況(平成26年7月2日現在)
・麻薬及び向精神薬取締法(第2条関係 74物質)
・麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(第1条関係 96物質)
・麻薬3条約(平成22年6月9日現在)
・薬物関連の通知集(麻薬向精神薬原料を含む)(平成26年8月15日現在)
・無水酢酸の疑わしい取引の届出に係る留意点について(平成21年11月17日事務連絡)
・麻薬向精神薬原料の疑わしい取引にかかる注意喚起パンフレット(平成22年1月現在)
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病的依存症をめぐる用語と現状

1.アルコール依存に由来して依存症の言葉が生まれた。「やめたくてもやめられない」「わかってはいてもやめられない」薬物や酒、タバコへの依存(dependence)は「物質依存」で、その飲用・服用が病的(pathological)となっていることをいう。
  これに対し、「嗜癖」という言葉も使われる。英語ではアディクション(addiction)だ。物質依存は化学的依存(chemical dependence)ともいえるが、非化学的(非物質的)依存もある。これが病的なギャンブリング(pathological Gambling)などで依存症が言われるようになった。
  病的なギャンブリングは、行為の嗜癖(behavioral addiction)の代表としてギャンブル依存症という言葉が定着した。

2.物質依存に対し、行為依存やシステム依存というとらえ方もされる。
  ギャンブル依存だけでなくインターネット依存、スマートフォン(スマホ)依存、買い物依存、ポルノ・アダルトビデオ依存、さらに万引き、盗撮、下着泥棒といった犯罪癖も行為依存といえる。ストーカーや痴漢までをシステム依存ないし行為依存とするとらえ方には疑問もあろうが、本人の理性でも行動をコントロールできない点では共通している。

3.依存症(病的な嗜癖)で最も多いのは、まず数千万人に及ぶタバコ、酒である。そしてギャンブルをする日本人も数千万人がいる。パチンコ、宝くじ、公営競技等のうち病的ギャンブラーは500万人以上はいよう(厚労省調査統計データも近似)。
次に薬物(違法薬物、麻薬、覚せい剤、MDMA、脱法ハーブ、医薬品(睡眠薬など))で病的な依存者は実に多い。病気の治療のために医薬品を常用する者は、国民の10%ではすまないだろう。だが、病気治療のために使う医薬品への依存は、原則としてここでは依存症とはいえない。服用してはいけない薬物に限られるものが「病的依存」となる。1回でも違法薬物を経験した者は200万人以上いるといわれるが、この狭義の依存者となると50万人余だろう。(薬物犯罪者統計は、検挙数でいうと年数万人となる。)

4.今日本で一番多い依存症は何かというと、スマホ依存症である。今や国民の数より多いケイタイ、スマホは、日本だけでなく米国、韓国、中国など世界中に拡がっている。使ってはいけない時(T)、場所(P)、機会(O)でもケイタイ、スマホを使う人は多い。禁止された車中や、運転中にケイタイを使用する者は、今や国民の半数に達すると思われる。「やめたくてもやめられない」より「わかっていてもやめられない」依存症といえよう。
  このケイタイ、スマホ、インターネットにかかわる依存症を「スマホ依存症」とよぶ。その中には「携帯離脱恐怖症」「着信音不安神経症」もあるが、スマホ利用者のほとんどは自覚がなく、その分、依存離脱も困難である。スマホは、ゲーム機能その他多機能であり、日夜ゲーム依存症となっている大人や子どもは非常に多い。所有者の4人に1人に問題があるという。
  スマホは便利のよいツールだが、実は脳がそれに依存することにより、記憶力、認知力が落ちたり、人を無精にし、思考力、想像力を損なう。「移り気」「集中力低下」といった点で有害作用がある。スマホ利用者が実はフェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に夢中となり依存する「SNS中毒」がある。これには脳坐核が働き、ドラッグやアルコールと似たところがあるという。またスマホの夜9時以降の利用は、睡眠に悪影響を与えるし、翌日の疲労、業務能力低下が認められている。
  スマホは、LINE(ライン)などネットサービスで人を「情報のとりこ」にする。そしてそのメディアに支配される。
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暴走する夢洲IRと鉄道新設構想

1.大阪府・市のIR立地準備会は、第1回会議の平成25年12月24日以来、立地に向けてシンポ開催やアンケート調査をしてきた。そして、平成26年4月22日の第2回会議に続き、9月18日に第3回会議が開かれた。
府から松井知事、大江文化部長、市から橋下市長、井上経済戦略局長、川田都市計画局長の5名が出席し、IRにかかる今後の取組みについて、夢洲への鉄道アクセスの技術的検討に入った。府・市共にあいかわらずトップダウンの準備構想である。
記者会見では、3路線(北ルートのJR桜島線延伸案、中之島新線延伸案、南ルートの中央線延伸案)のルート図と距離、整備コスト、工期、アクセス等について一覧化し評価した資料が提供され、メディアでも報じられた。
○JR桜島線延伸案 : 6km、1700億円、工期9~11年
○中之島線延伸案  :11km、3500億円、工期10~11年
○地下鉄中央線延伸案(北港テクノポート線): 3km、 540億円、工期6~7年
中央線案が安くて早いが乗換が多くなるという欠点があり、桜島線、中之島線案は、観光地への利便はよいが用地取得等から工期も遅れる怖れがあるという。

2.これは橋下・松井の暴走である。
  まず、①IRについてコンセンサスは全くない、②カジノに伴う弊害マイナス面は未検討であり、③誰がそのコストを負担するかの下案さえない。全てカジノIRありきの構想で、かつての夢洲五輪誘致案の足下にも及ばない構想案である。
  北港テクノポート線等にはカジノ進出業者にもコスト負担を考えてもらうとも言うが、カジノが廃業でもすれば廃線するしかないような500億円以上の鉄道路線など前代未聞だ。
  そもそもUSJと異なり、電車に乗ってくる大衆を客にしなければならないようなカジノでは、動物園前のフェスティバルゲート跡地に準備中の大型パチスロ店と同じである。ラスベガス、マカオらのカジノ資本は、そんなパチスロ客層を相手にしたがらない。大金を落としてくれる日本の高齢者や富裕層らが持つ1500兆円を超える預貯金が狙いなのである。
  大阪を東洋のラスベガス、北のマカオにしたいのは、カジノ資本と「維新」首長の松井・橋下だけであり、府民・市民にとって迷惑この上ない。
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2014年09月26日

ギャンブルの事業は、健全な自治体事業か

(1)ギャンブル事業は、自治体(ないし共同体)が賭博の胴元となり、市民である客から確実に収益を上げるものです。税とは本質的に異なり、①事業に恒久的な正当性はなく、②結局は貧しい民から特別に収奪する収入、といえます。宝くじ、totoの売り上げ(購入金)の50%以上の控除率はもとより、4公営競技でも同様25%を控除し、世界最高の「ぼたっくり」賭博です。現状のギャンブル事業自体を問うべきです。
(2)ギャンブルは自治体と市民に弊害を生んでいます。公認ギャンブルは、弱い市民を射倖心で釣って収益をあげます。そして、市民の健全な生活だけでなく、家族社会も含め被害を与えます。ギャンブルが、生活、教育、文化環境を悪化させると問題にされるのは、その弊害があるからです。これに対して、ギャンブル事業者には責任が課されておりません(周辺住民に被害を与えつつ、金を配って不満を抑えることも多い)。事業者は、病的ギャンブラーでも賭ける客として扱い、家族やさらに広く周辺社会には責任をとっていないのです。こうして自治体は、法に定められた公益的使命を果たさず、独占的賭博事業主となっています。
(3)赤字事業の公営競技は反公益の上塗り
   収益金を得て、自治体事業に役立てる以外に公益性を主張できる点はありません。赤字化したり、将来の自治体に負の借金を負担させている公営競技は「百害あって一利なし」です。
(4)権利と不正の温床
   ギャンブルは利権世界そのもので、国の省庁と地方自治体の役人の「天下り」や癒着、不正を生んでいます。脱税、汚職も絶えません。
(5)ギャンブルに投じられる資金の不正と犯罪性
   賭博の多くは、正当に働いた金も奪うものですが、実は不正に得られ、特には犯罪によって得られた金がギャンブル事業者の収入になっています。ギャンブルの資金のための犯罪は枚挙にいといません。ギャンブル事業は「不当に得た金」で成り立っています。
(6)ギャンブルが誘発する犯罪と集団
大量の金を使うカジノは、マネーロンダリングやヤクザ、マフィアを生みます。
  以上の点を考えると、ギャンブル事業がおよそ正当な自治体事業ではあり得ないのです。
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江原ランドカジノ視察報告とIRカジノ問題

1.韓国江原ランドカジノの実態(賭博中毒センターを中心として)
2014年6月23~25日まで韓国江原道(韓国北東部、ソウル東方200km)にある江原道(カンウォンド)カジノの調査団に参加した。初日の夜には早速実際にカジノも体験。翌日午前中、IRカジノを経営する半官半民の(株)江原(カンウォン)ランド所属のカンウォン・アディクション・ケア・センター(KACC 賭博中毒センターとも訳される)から多くの資料や出版物、プロジェクターを使った説明を受けた。私達一行はKACCにとっては近年多い調査団の一つであり、IRのホテルのMICEの一室が用意されていた。
  キムマネージャー(事務局長)によるKACCの説明の要旨を紹介する。(( )内は筆者の付加説明。)
(1)江原道カジノは、炭坑の町だった太白地区が閉山に伴って町の存続のために生まれた。一時は核廃棄物処分場誘致までした窮迫事情下にあり、政府に特例法を要請し、韓国で唯一の韓国人もカジノができる総合リゾート開発が許可された。(韓国でのカジノ導入は1967年仁川が1号、外国人向けは現在では他に16ヶ所)
(2)(株)江原ランドは、公共部門51%・民間49%の出資からなり、資本は約1070億ウォン(約107億円)。1998年発足、カジノは2000年にオープンした。雇用職員約3000名のうち70%がこの町の者である。(カジノはテーブル200台、マシン1360台。IRの中心施設となっている。)
   カジノ利用者は韓国人が中心(350万人)で、外国人は香港などが4%。現在の売上は年約1.3兆ウォン(=約1300億円 韓国全体は1671億円というから、この1箇所で圧倒的売上)。
(3)カジノは初めからアディクション(中毒・嗜癖)を生むことがわかっており、その弊害を最小限にすることが課題となっていた。そこでKACCがカナダ等に学んで会社の直属機関として設けられ、今は専門の相談員7名を含む16名が担当する。
(4)センターは、カジノの受付でチェックする韓国人への①入場者の相談・治療、②アディクションへの企画・広報、③調査研究、④行政支援を行っている。(カジノはホテル3階に入り口・受付があり、センターはその手前にある。)
   何よりも事前相談による嗜癖への予防を重視し、治療・ケアを必要とする者は治療費も負担している。センターの財政は年79億ウォン(約8億円)。これまでに高危険と判断した2470名、それに準じる中危険層9235名をケアしてきた。客の1.8%、計1万人を超える。(それでも年に自殺を25人、ホームレスを100人出し最大5000人ともいう)
(5)江原ランドカジノでは、次のチェックがなされケアしている。
まず、韓国人の形式的入場制限として①月別出入制限15日とする、②2ヶ月連続15日になると入場制限の上、相談・指導、③3ヶ月で30日は入場制限の上、義務相談と確認書。そしてアディクション者へのケアとして④本人の家族申出による入場制限、⑤本人の申出による入場制限、そして病者へは⑥帰宅支援(6万ウォン、3年入場制限)、⑦緊急支援、⑧病的治療費負担(永久入場制限)、⑨職業再活という再就職活動支援(再生支援)をしている。1年間の相談件数は9600件(実質は2800名)。職業支援としては、ホテルのベーカリー(パン)がこの人達の社会復帰事業となっている。

2.江原カジノから考えられる日本へのカジノ導入による危機
(1)地元住民が利用する炭坑食堂という大衆的レストランがあり、山上の江原ランドホテルを見上げる。町は質屋(金融店)だらけ。カジノに来た客が資金不足になると、乗ってきた車や宝石を担保にして金を借りてまたカジノに戻っていく。だからこの商売が流行している。
   韓国人は5000元ほどの入場料がいるにもかかわらず、日曜日であった6月22日夜から翌朝6時まで韓国人の若者を中心に2階のカジノに3000人もの人が入っていた。
外国人はパスポートを提示して入場するのだが、バスガイド兼通訳の交渉で無料どころか逆に15000元分のサービス券を貰って入場できた。日本人客は、まず4階の100人ほど収容できる広さの外国人コーナーに通された。我々はそこでバカラのまね事をした後、スロット、ルーレット、大小などをすることができた。(しかし、早々に負けて長く賭ける者もなく、2棟からなるうち1棟のコンベンションホテルの15階の部屋に引き上げた。)
このIRでは、従業員のうち70%は炭坑関係者の若者が採用され、交代勤務。カジノで働く若い人は特に小綺麗な姿をしているものの無表情でカードやルーレットを廻し、チップのやり取りをしている。その姿からは働く喜びは全く伺えなかった。カジノは客に唯々賭けさせて、結局は胴となるカジノが収益を上げるシステムである。賭ける客達の表情を見たが、特に喜んでいるような者はほとんどいない。それどころか単に遊びと言えないほどにのめり込んだ様子の人もいて、月曜の朝まで賭けていて一体何人がソウルに帰って仕事に戻るのだろうかと余計な(?)心配をしたのであった。
(2)質屋で金を工面する人は見なかったが、ホテル3階のカジノ入場口の横にはATMを備えた銀行窓口があった。同じく入場口手前に構えられたKACCの入り口は狭く、室内にはハングルで書かれた本が並ぶ書棚があるも、それを読む人はいなかった。センターの受付に女性が一人いた。
KACCも含めIRの従業員らはホテルから離れたアパートに住んでいる。IRは若さと容貌とカジノのゲーム機操作能力を求め選抜する。カジノで無表情で接待する仕事には客との心の交流も全くない。カジノが雇用を生むというのは一定事実ではあるが、炭坑従業員らが失職して他に産業・職がないということで生まれた仕事には「職業選択」の自由も余欲もなかったろう。
日本のIRの仕事を良い就職口として大々的に喧伝するのは異常であろう。パチスロ店の従業員の仕事そのものにどれだけ働きがいがあるというのか。
(3)江原道にカジノホテルが生まれて10年余。その後IR化し、ゴルフ場、冬季スキー場もあるが、結局のところMICE(会議場、コンベンション)には不便だし、収益はカジノ中心である。大半の客が日本でいえばパチスロ疲れになって帰るのである。
もちろん勝つ人もいる。案内のガイドも江原へ向かう車内では数万円を儲けた前回の体験を大きく語っていた。しかし、今回彼女は入場料を支払って(韓国人だから)カジノに挑戦したが、帰りは負けたとだけで言葉少なだった。
カジノで多額の収益金を得なければ(カジノ客の多くはそのホテルに泊まっていない)会社も破局(もちろん税収もゼロ)する。よって、この韓国公営企業は韓国人を収奪することでこの地の産業が成り立っている。
自殺者が世界一という国情下で、カジノが生む病・破局で個人から社会までが破壊されることを知っているために事前に対応部局(中毒センター)をつくり、海外の取組も学んだ。それでも町には質屋が並び、破綻者や自殺者を多く生んでいる(ある記事では自殺者1300人とのデータも)。
(4)日本は公営賭博に加え、ミニカジノといえる日本のパチスロが500万人以上の病的賭博を生んでいる。日本のギャンブルは表に出る30兆円弱の売上から約2~4割の利益が、富くじ発売元自治体からパチスロ店やメーカーらにまで配分される。賭博事業も従業員雇用を含む人的需要もたしかに生む。
しかし、その事業とは有益事業・健全産業か。娯楽需要を満たすとも、富を生むのか。有益労働か。ギャンブルがここまで不可欠か。教育に役立つか。これらはほぼ否定される。娯楽というも「禁断歓喜」「射倖心」の究極にあるのがカジノではないのか。
(5)社会での不可欠さと公益性の点検をしないギャンブル観は、快楽のために薬や性を売買することを問題としない見方と同じであろう。導入論者といえど、カジノ等ギャンブルに副作用はあるともいうが、その弊についてはいつも過小評価する。
(6)公営競技、宝くじ、パチスロなどの社会的損失、社会的被害の責任転嫁について反省のない企業、役人、議員らは、IRカジノ推進を語る資格などない。
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事務局だより

第21回全国市民オンブズマン大会in岩手
    ギャンブル問題分科会開催報告

  9月7日、全国市民オンブズマン大会2日目の午前、初めて分科会を開きました。「依存症対策協」の吉田哲也弁護士の司会の下に、予想を上回る50名超の参会者を得て盛会でした。
(1)田辺医師の「依存症の実態と病気発生のしくみ」
(2)井上弁護士の江原ランド視察報告とIR問題提起(下記)
(3)近江弁護士の秋田カジノ計画の報告
  そして、参加者による質疑・発言と続きました。参加者は国会提出中のIRカジノの危険性もよく理解されたと思います。
  この討議は全体会に報告され、IRカジノ反対の決議が採択されました。

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書籍紹介

1.「カジノ狂騒曲 ―日本に賭博場はいらない― 」竹腰将弘・小松公正
 (2014.7.30 新日本出版 1400円+税)
  第1章・第2章で、カジノIRについて全国くまなく調査して得た「狂騒曲」を紹介し、カジノ反対の見識と反対運動も紹介する。第3章以下では、カジノやギャンブル依存症を隠した推進グループIR連やJAPIC、日経連について詳しい資料付きで紹介。カジノ連やパチンコ連も詳しく紹介し、彼らの無知で金に走る様も知ることができ、議員資格に×印が必要だと思わされる。
2.「競馬をめぐる状況」 農林環境課 本田伸彰(国会図書館レファレンス2014.7)
 中央・地方の競馬の状況(入場者も売得金も減少し続ける)、払戻率がH26より上限80%まで可能となり単勝式・複勝式80%、3連単72.5%への設定変更、中央と地方の競馬で馬券の相互販売拡大状況をいう。

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ギャンブルNEWSピックup

会報26号に未紹介の分も追記します。
2014.6.16  読売  人生案内:パチンコで借金を重ねる息子
6.18  朝日  カジノ法案審議入り
6.19  読売  社説:娯楽の負の側面も勘案せよ、カジノ法案審議入り
   7.16  毎日  水説:(カジノは)日本にふさわしいか 中村秀明
   7.17  産経  IR誘致乗り遅れるな 関西中小企業会 藤本大商大研究員
   7.18  各紙  内閣官房にカジノ解禁へ新組織(国交省渡辺一洋特命審議官)
           内閣府、財務、経産、総務、法務、国交、厚労、金融、警察の9省庁10人の「内閣官房副長官補付」とスタッフ計20人
7.31  米・ラスベガスサンズ社、大阪のIRに投資表明
   8. 3  赤旗(日) カジノが成長戦略?  鳥畑与一静岡大教授
   8. 5  博報堂 IR全国全計で消費ポテンシャル13.5兆円
   8. 6  東洋経済  カジノ発祥の欧州、市場減少が進むわけ
     日経  電子版読者、カジノ賛成58.7%、反対41.3%(調査総数1796名)
       読売  北海道高橋知事、シンガポールセールス&カジノ視察へ
8.6~7 アゴラ ギャンブル依存症への理解と支援のために(1)(2) 石川公彌子
ギャンブル依存症の深刻な実情に対し、適切な予防や治療ケアがなされていないとし、2014年2月一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」が設立され、8月3日に「企業・学校における依存症教育の必要性」をテーマに後援会を開催。
   8. 8  週刊ポスト ギャンブルにはまる心理と犬のトレーニング(Newsポストセブン)
      8.12  毎日  視点:秋の仕事は 「カジノ国会」はごめんだ  論説委員・人羅格
          東洋経済  韓国合弁が乗り出すカジノリゾートの勝算
          朝鮮日報  「江原ランド手本」に日本から視察相次ぐ
      8.16  「徹底批判カジノ賭博合法化」合同出版発行(追って書籍紹介します)
      8.19  共同  北海道高橋知事シンガポール視察
      8.21  朝日  厚労省委託研究(樋口久里浜医療C院長)
            2013年7月、7052人中4153人回答の調査でギャンブル依存は4.8%、536万人(成人男438万人、女98万人)と推計
      8.22  時事  カジノに日本人NOという?厚労省
          東京  社説:カジノ法案、副作用が大きすぎる
      8.23  沖縄タイムス  カジノ誘致でギャンブル依存を懸念
          赤旗潮流  カジノいらない
          日刊ゲンダイ  本場は破綻、ハゲタカに踊らされる安倍政権「カジノ解禁」
      8.24  朝日  カジノ都で一転慎重、用地貸出し、担当部署格下げ
      8.25  南日本新聞  社説:カジノ法案・成長戦略の「賭博とは」
          琉球新報  社説:ギャンブル依存症 対策講じて悲劇をなくせ
          赤旗  依存症536万人 カジノ合法化に警告
      8.26  朝日  「パチンコに換金行為ある?」課税めぐり熱い論議
          毎日  香山リカ カジノ依存は手強い
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大暗賭博百人一首(2)

前回(会報26号掲載)に続いて、小倉百人一首の替え歌です。(今回は21~40番)

21.今度こそ来てと思いし菊花賞 三冠達成待ち出でつるかな     <競馬熱狂>
  今は来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな  (素性法師)
22.吹きならせ賭博依存を世に広く むべ賭け好きを嗜癖というらむ  <賭屋病人>
  吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ  (文屋康秀)
23.レース終え千々に帰るぞ悲しけれ わが身も一人の賭人ならねど  <競輪帰人>
  月見れば千々に物こそ悲しけれ わが身一つの秋にはあらねど   (大江千里)
24.ギャンブルに抜き差しならず借金山 返済できず債務整理に     <返済不能家>
  このたびはぬさも取りあへず手向山 紅葉のにしき神のまにまに  (菅家)
25.名を出して「億円当てた」と言えないは 人に知られず詐欺するものだ <詐欺出版本>
  名にし負はば逢坂山のさねかずら 人に知らねでくるよしもがな  (三条右大臣)
26.小倉から初む競輪大赤字 今ひとたびの人気待たなむ       <競輪考>
  小倉山峰のもみじ葉心あらば 今ひとたびのみゆき待たなむ     (貞信公)
27.皆に賭けさせて増やして収益金 何時までやれる判りかねらむ   <地方自治体>
  みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ   (中納言兼輔)
28.リゾートは「冬ぞ」不振にありにける 人来ず客も涸れぬと思えば   <ハウステンボス>
  山里は冬ぞさびしさまさりける 人めも草もかれぬと思へば    (源宗于朝臣)
29.心あてに客来る期待IR おきまどわせるカジノにたのみ     <凡誘致策>
  心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花     (凡河内躬恒)
30.あけすけの策なく見えし誘致策 期待ばかりでうさんくさいし    <カジノタノミ>
  有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし     (壬生忠岑)
31.明らかな累積赤字見るたびに 解散策にふれぬ自治体       <地方公営競技>
  朝ぼらけ有明の月とみるまでに 吉野の里にふれる白雪       (坂上是則)
32.山となる金を受けたるしがらみで 通してしまえカジノ立法    <カジノ議連>
  山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり    (春道列樹)
33.国民のタンス預金を引き出して 軍費にあてし勝札売らむ     <日本勧業銀行>
  久方の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ       (紀友則)
34.誰もかも嗜癖にせん賭け事は 客は昔の友ならなくに        <博徒相敵>
  誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに       (藤原興風)
35.博奕いざ心も忘れ家族らも 保証人として追われ続ける      <博奕破局>
  人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞむかしの香に匂ひける    (紀貫之)
36.ヤミカジノまだバカラして開けぬるを 金はいずこに流れ行くらむ    <キーノもヤクザ>
  夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいずこに月宿るらむ     (清原深養父)
37.知らぬ間に賭の吊り上げカジノ場は 守り通せぬ適正限定     <賭屋せいやす>
  白露に風の吹きしく秋の野は 貫きとめぬ玉ぞ散りける       (文屋朝康)
38.忘られぬ博奕やめると誓いてし 己のが命の惜しくもあるかな    <賭因>
  忘らるる身をば思わず誓いてし 人の命の惜しくもあるかな    (右近)
39.浅智恵のカジノの成功しのぶ市の あまりに多く人の淋しき     <惨戯等>
  浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき    (参議等)
40.しのぶれど病に入りけりわが賭博 やめる気ないかと人のとふまで <平の賭盛>
  忍ぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで    (平兼盛)
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◇◇◇  ギャンブル回文  ◇◇◇

なにしさる夢(ゆめ)の島(しま)(洲) 否(いな) カジノしかない マジの目(め)ゆるさじにな
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コラム ギャンブル場の「おじさん」

「おじさん図鑑」という本(なかむらるみ著 小学館)によると、ギャンブル場は「おじさん」観察のために外せないという。詳しくは著作に譲るが、競艇場、競輪場、オートレース、競馬、WINSでの立ち居、足掛け、肘掛け、ウンチングスタイルで観戦や予想している姿を紹介している。また、レースが終わって、大衆居酒屋で一杯やるおじさんも。
賭けに興じ夢中になり、多くはがっかりして帰る姿はあるし、予想屋、窓口、ガードマンetcのおじさんの姿もある。
確かに、公営競技は98%が「おじさん」客であり、働く世代と退職者世代のおじさんが働かずに賭けに興じる(とらわれる)姿には共通性がある。
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コラム ~IRをあおる~ 博報堂のIR調査①

2014年8月5日、博報堂のIR/MICE推進室は、「IR/MICE」について日本全国で調査したとし、その結果を発表した。都道府県別のカジノに対する現状意識調査や、IR導入が議論されているエリアにおいて実際にIR/MICEがオープンした場合の集客数や売上の簡易推計をしたものである。これによると、IR/MICEの消費ポテンシャル(可能性)総額は13.5兆円という。推計とはいえ大変なホラ吹きだ。
具体的に訪問意向率が高いのは、東京(お台場)で25.9%、国内在住者の来場は年間約2400万人という。その場合、施設全体で最大2.9兆円の売上(ショッピング除く)と試算する。この東京来場者(訪問意向者)は51.9%が関東在住者という。
 その他では、沖縄は、ポテンシャルの入場者最大値約1400万人、売上1.3億円(ショッピング除く)で、訪問意向者のうち32.3%が関東、19.1%が近畿地方在住者という。また、大阪(臨海部)は、入場者最大値約1300万人、売上1.9億円(ショッピング除く)で、訪問意向者のうち61.5%が近畿地方在住者という。
 この調査の詳しい説明はないが、8万2013人を対象(但し、北海道はうち4.3%、東北7.1%、関東34.3%、甲信越4.0%、北陸2.3%、東海11.7%、近畿16.3%、中国5.7%、四国3.0%、九州11.2%)とし、3箇所でのIR/MICEの単一回答を求めたものである。その結果、東京(お台場)は1万744人、大阪は5494人、沖縄は5872人の回答を得た。
 これによると、東京へは8人に1人が、沖縄・大阪へは15人に1人が訪問意向を示したことになる。しかし、4人に3人は3箇所のいずれにも訪問する意向を示していない。そして、東京の8人に1人という数値から日本国民2400万人の来場者とするのは、どう考えても過大推計であろう。これは沖縄・大阪にしても同じである。
 加えて、売上についても、東京2.9兆円は2400万人であれば1人当たり12万円、沖縄は1人当たり9.28万円、大阪は1人当たり14.6万円の計算であるが、これらはどのような根拠で導かれたものか不明である。
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コラム「病的賭博」の推計への非難

◎ 2009年厚生労働省が委託した調査では「日本成人の5.6%(男性の9.6%、女性の1.6%)がギャンブル依存症。諸外国の1~3%より異様に高い」とし、これを元に日本人は約560万人ものギャンブル依存症がいると計算している。(続いて2014年8月21日、厚労省は2013年の委託調査で、日本人のギャンブル依存症は国民の4.8%、536万人とも推計されるという報告を出した。)
◎これに対し、カジノ推進派は次のような非難をする。
 (1)この厚労省調査は飲酒実態調査のついでに行われ、賭博問題のメイン調査でない。
 (2)男女7500名の標本調査で、アメリカのSOGSという診断基準の回答5点以上該当なら病的賭博と診断された。しかし、①アメリカと日本の賭博環境の違いについて考慮がない、②5点以上が該当するのは妥当性に欠ける、③アンケートは実際より高い数字になる。
(しかし調査は、結果は暫定値とし、カット・オフ・ポイントを6点、7点にした場合も示している。6点なら男6.9%、女1.1%、7点なら男4.4%、女0.9%になるとしている。)
(3)また、諸外国のギャンブル依存調査はSOGS基準でなく「DSM-III」「DSM-IV-TR」もあり、サンプル抽出もまちまちであり、この調査で日本は異常に高いというのはナンセンス。
 (4)「病的賭博」と「ギャンブル依存症」は使う人により異なり玉虫色である。 等々
◎ しかし、①病的賭博にせよギャンブル依存症にせよ、あるいはアディクション(嗜癖)を含む病的な存在というものは、1990年までにWHO等で知られていた。その対応を放置したのは賭博業界と政府、厚労省である。そしてようやく調査したことについてケチを付けることしか考えず、不都合な真実を視ようとしないものといえる。
  ②外国との比較は、日本におけるパチスロがギャンブル依存を生み出す最大産業であることや、3000万人以上の宝くじ購入層や4つの公営競技が全国にあることから簡単でない。
③診断基準の違いがあることを公表しつつ調査しているのに、あえて批判するのは全く為にする非難といえる。これはかつて公害病の認定をめぐって、「疑問」という加害企業の主張に似ている。
◎ また、カジノ推進派は、高い推計値に不満を言うために、宝くじに興じながら賭博反対を言う賭博感の問題、還元率45%の“ボッタクリ”宝くじに対して好意を持って「夢を買う」客のことを賭博を理解していないとまで非難する。投資や賭博において日本人はメンタル管理が欠如し、リテラシー(読み書き能力)が低いという。論者はこの識字率をも意味するリテラシーという言葉を多用して、賭博に対する理解(賭博リテラシー)が低いというのである。
 しかし、この論者こそ、賭博依存、アディクション(嗜癖)、病的賭博発生の病的機序や、これを発生させた企業と社会の責任についての理解を欠いている。
 そしてまた、「賭博に悪いレッテルを貼ってきたのは過去とし、カジノと共生しよう」とまでいう。そのために賭博への正しい理解を求められるとする。
 しかし、賭博は原則世界中で刑法により処罰される行為だ。これを単に「悪いレッテル」というのなら、自らの賭博開帳行為の無罪を主張するか、刑法改正運動をやるしかない。
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主張 ギャンブル被害は消費者被害 

梶野 留太郎


1.ギャンブル被害は事業が生む
  ギャンブル問題はこれまで、賭け事好きの人(不真面目、勤労意欲がなく努力しないで射倖性を求める者らへの否定的評価)がバクチをした個人的行為による自己責任と考えられがちでした。そして、その者が自らだけでなく家族や社会に害を及ぼしているとの見方が多いといえます。まず、これを見直すことが必要です。
  たしかに、射倖心がある人がギャンブルにはまるのですが、実は射倖心は誰にでもあり、それを増やし射倖心で人生や社会まで害するのは、その人そのようにする「しくみ」が私たちの社会にあるからです。射倖心を利用して金を儲ける事業やそれで人の富を奪う人間がいるからです。
  特に、今日のギャンブルは産業化・組織化され、本質を異にしています。具体的に暴力団やヤクザの非合法賭場や闇バカラから、公認賭博の公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)や宝くじ・サッカーくじ、さらには風営業という名のギャンブル、パチンコ・スロットも事業化され、人々を射倖心で呼び寄せ、そこで主催者・営業主(胴)が一回ごと25~55%を控除して客に配当し、その配当金に射倖心をそそる仕組みを持たせているものです。パチンコ・スロットも店が賭け金ならぬ貸し玉料からその20%以上の利益を得ます。
  人には快楽を求める性質があるのは公知のことです。だからといって性欲を利用した売買春、快楽に誘う薬物を売ることが正当化される訳ではありません。射倖心が営利企業に利用され、ギャンブル被害が発生・拡大されているのです。

2.ギャンブル被害は消費者被害
  ギャンブル被害は、事業化され商業化されていれば「ギャンブル商品」の売り手が顧客という買い手に与える消費者被害です。その「商品」の宣伝広告に誘われて大衆消費者がギャンブルをすると、その大半は必ず損失を受けます。多くは損をするということがわかっていても止められない射倖心とギャンブル依存症というべき病が賭けを続けさせます。
そして、自らの金だけでなく家族の金、借金、さらには他から盗んだ金を投じてしまう者まで出るのです。ギャンブルをしている人に金を貸す高利貸しとなった銀行のキャッシングもあります。ギャンブル事業者はこれらの実態を見て見ぬふりをして、賭け金の出処も(犯罪によって得た金かどうかも)全く気にしません。
客が賭け事に熱中して我が子を熱中死させたり交通事故死させたりしても、また客がギャンブル破綻したり自殺したりしても、自らの責任として対応していないのです。
本来、ギャンブル商品を広告すること自体、反社会性があります。それどころか、無差別に大衆メディア(TV、新聞)がところ構わぬ誘惑の宣伝をすることは許されません。しかも宣伝表示には不当表示が少なくありません。消費者に理性を働かせたり、射倖心を抑制させる表示はないのです。
ギャンブル被害は、子どもの時からの「お金」や「金銭感覚」についての正しい教えがなされていないことにも原因があります。お金はどういうためにあり、どうして得られるのか得るべきか、その費消には適切なものと不適切なものがあり、その正しい管理とコントロールについて教えるべきなのです。しかし、金本位主義の下、現状はこのような教育がなされず、ただどうであれ大金を得ることがよいことだという誤った金権主義思想が流され、その下でギャンブル被害が発生しているのです。
ギャンブルの取引条件も、正しい消費者契約の下でコントロールされるなら賭け金の拡大は許されません。客への配当と事業主の控除率、そして正しい購入のあり方、表示の適正化など抜本的に変わります。今の状況は憲法や消費者法からみて「非合法」で消費者被害であり、人権侵害とさえいえます。
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賭博ものしりシリーズ・4 『賭博虎の巻』 

 賭は賭けること、博は布(し)くこと、賭博は財物を賭けて勝負することだ。その昔、中国の河南省相国寺の門前で「博奕に負けぬ秘訣」というものを売っていた。遊び人が喜んで大金を出して買ってみたところ、「賭け事を止めることにあり」と書いてあったという。
 現在宝くじや競馬など確実に本命を当てるという虎の巻グッズや本が売られているが、多くは嘘の内容で物品の販売そのものが「詐欺」になろう。
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<海外情報>(7月~8月12日まで)

○シンガポール観光局7月統計
1~3月観光収入は60億シンガポールドル(4950億円)、うちカジノと娯楽施設で16.4億Sドル(27%)、ホテル宿泊13.4億Sドル(18%)であった。カジノ等は増えたが、ショッピング18%、飲食10%と減少。外国人客はインドネシア74.9万人(6%増)、中国55.7万人(14%減)。
○悪化するアメリカの雇用危機
  ラスベガスに次ぐ第2のギャンブルセンターといわれるアトランティックのトランプ・プラザ・リゾート1000人レイオフ、9月閉鎖、12軒のうち9ヶ月で総数3分の1、従業員4分の1が減少。カジノリゾートは当初は利益を与えるも長期的見通しは苦しい。労働者は経済危機の下、娯楽をする余欲はほとんどないという。
○米ペンシルバニアの韓国人ホームレス老人の生計
  行きは無料のバスでカジノに行く。カジノで負けた老人は、帰りのバス賃用として支給される45ドルのゲームマネーをもらい、これを38ドルで転売する。そして、実際のバス賃15ドルと運転手に3ドルを支払って帰り、残る20ドルで生活するという。
○マカオカジノ・ギャラクシー社、従業員に自社株支給(8月4日)
 マカオの6大カジノの一つギャラクシー(銀河)社が、従業員5万人に対しその月給3倍分にあたる自社株を支給した。上場のカジノ6社への待遇改善要求に対応したもの。MGM、ウインマカオ、メルコクラウン、サンズチャイナは対応し、ウインマカオは7500人に1000株支給済。
○メルコクラウンとクラウンの合弁会社、日本進出に意欲的(8月12日)
東京芸大へ10億円寄付。東京・大阪へ進出。
○アメリカ、3人に1人が借金取りに追われている(8月12日)
  アメリカ人は920億ドル損失(2007年)。アメリカにはカジノ1200箇所、ギャンブル人口7300万人、ネバダ州住民49%が借金取立にあい、未払平均7198ドル(2005年)。
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IRカジノ導入による危険と弊害

1.カジノの導入は、経済産業収入などを期待する企業界にとっては当然プラスの期待があって賛成が多い。一般市民にとっては、ギャンブル好きの人は歓迎できても、カジノ経営者に賭け金を天引控除された上で自分達が出した金を勝負して取り合うというもので、勝者より敗者の方が圧倒的に多い。賭博・富くじの略奪的本質は変えようがない。
 人の射倖心(偶然の利益を目指す心理)をあおるギャンブルは、富を生む「産業」ではない。富の「消費」で「悪業」「怠業」である。弱者を喰う産業なのだが、「遊び」と「快楽」を提供するものとして正当化される。このギャンブルを産業化するカジノは、本質的に刑法が禁止する社会の「敵」なのだが、安倍の経済成長の戦略なら正当化されようとしている。
2.「統合型リゾート(IR)」というも、その核はどんなギャンブルも可能にするカジノである。本来のリゾートは、宮崎県のフェニックスリゾートでも長崎県のハウステンボスでも失敗している。カジノなしのリゾート、観光、ホテル、商業施設は、ビジネスとして失敗することを体験済だから、外国人も日本人も大金を「落としてくれる」カジノリゾートが必要だというのだろう。射倖心で釣って誰からも確実に金を奪える。これがIR推進企業の本音である。
  安倍政権は、こんなIRカジノを「経済成長」として「改定成長戦略」に加え、7月16日から本格的に動き出した。それが次の報道である。
「~安倍内閣、カジノへ新組織~
安倍内閣は「改定成長戦略」でカジノ解禁に向け、関係省庁で検討をすすめることになったことから内閣官房に新組織をつくった。国交省から渡邊一洋氏が16日に特命審議官に着任し、その下で内閣府、財務、経済産業、総務、法務、国交、厚労、金融、警察の9府省庁から10人のスタッフが「内閣官房副長官補付」として集められ、審議官1人、参事官2人も含まれる。・・・」
3.IRカジノは多岐にわたり検討事項が多い。これらスタッフがカジノ導入を前提としてその誤魔化しの「露払い」をするものになろう。
 問題の第1は、民間企業に刑法上違法な賭博開帳をさせ、市民に賭博をさせる点だ。これは日本に前例がない。IR特区で特例的に許可するとしても、その条件設定は憲法問題にまでかかわる。富くじ(toto)所管の文科省を除き、現在の公的ギャンブルの関係省庁を全て集める。いわゆる全庁「根廻し」をしようというものだろう。この点は憲法的な課題で、別に検討したい。
 第2の問題は、カジノの弊害だ。カジノ客を外国人だけにすれば、依存症や破綻者へのケアはラスベガスやマカオなどと同様知らん顔をすることもできる。しかし、マネーローンダリング(資金洗浄)や税収確保(脱税阻止)、犯罪組織の排除、教育・文化環境のマイナス面は大問題となる。
  第3は、日本は既にギャンブル依存、病的賭博者を多数発生させている点。それに措置をとらず、またその“病”を放置したままカジノが加われば、日本の病的賭博を増やすばかり厚労省は賛成しがたいはずだが力がない。
第4は、「ギャング」が賍物、不正収入を清浄金のように替えることだ。実は日本で民間企業に賭博開帳させることは、資本主義の企業における裏金づくりを最高(最悪)にする。今でも盗んだ金がパチスロ等ギャンブルに消えている。カジノではその金がケタ違いに大きくなる。
第5は破局。今のパチスロの賭け額では、経費のかかるカジノは維持できない。もし今のパチンコ客がそのままカジノ客になるなら、1人当たりの収益は少ないし、そのパチンコ客筋のマナーから秩序は維持できない。これではカジノが狙いとしている外国客や金持ちのVIPは寄りつかないから必ず破綻する。
  第6に、そもそもカジノに投入する大金は、正常に稼いだ客といえるだろうか。欧州では伝統的に、カジノは国外の大金持ちの遊び金によるものだから出処も問わないかも知れない。しかし、アジアのカジノで数十万、数百万円以上を賭ける客は、本来正常に働いて正しく納税した者はほとんどいない。
4.世界中のカジノも実はVIPカジノで成り立っている。作業服、普段着の大衆が数千円の金を持ってきてスロットで長く遊ばれてはカジノの維持費も出ない。従って、どんな客も日本円でいうなら5万円以上は「落としていってもらう」という仕組みのカジノにならざるを得ない。
5.韓国の江原ランドカジノの例では、アディクション(中毒・嗜癖)対策のために年8億円(それでも十分といえないと思えるが)を要している。とすれば、仮に年1万人のアディクション者1人当たり8万円を要しているという計算になる。
  江原ランドカジノは、韓国人が参加できる唯一のカジノであり、年1300億円の売上というから8億円を投じてアディクションケアセンター(KACC)を維持していけるのである。それでもカジノを原因とする毎年何十人もの自殺者や1000人を超えるホームレス・破綻者を生んでいる。
6.もし仮に、大阪の夢洲にカジノができるとして、外国人客が1日1000人(年間36万5千人)と日本人客が1日2000人(年間73万人)来て、日本人の73万人の3%の客にケアが必要とすれば、年間約2.2万人(毎日60人以上)をカジノがケアし続けなければならない。毎日2000人の客を点検し、その中から60人以上のアディクション層にまともなケアをしていて、カジノがやっていけるのか。江原ランドカジノのように官51%、民49%出資の特殊会社によって独占的な経営を可能としても、その責任を課すのは至難である。民間企業はそんな責任を果たさない。
7.今、日本で推進されているIRカジノ計画は10ヶ所。そのうち東京、大阪、沖縄、北海道、東北、九州の6ヶ所でも、東京以外では年間100万人以上のカジノ客は期待できない。(1ヶ所100万人として6ヶ所なら600万人以上になるが、そこまでは絶対に不可能でその場合は共倒れになる。)結局は、東京五輪開催時の客を考えたお台場カジノ案以外はおよそ成り立つとは思えない。それでも甘い。もし、少ない客で費用をかけずにやれば、現在のパチスロや3K(競馬、競輪、競艇)以上の弊害を社会に垂れ流す。
  そもそも、マカオやシンガポール、そしてマレーシア、フィリピン、ベトナム、韓国など東アジアで外国人客を取り合う中、日本がカジノで成功するのは困難である。マカオやシンガポールは中国語圏で、中国富裕客を呼び込めた。しかし、韓国などは成功していない。今の中国は特権層がいるも、中国が民主化すれば日本まで来てマカオ・シンガポールと同様のカジノゲームに興じえるとは思えない。
  それに、VIPカジノには呑む・打つ・買うの3大快楽が付いている。すなわち売買春や薬までが接待され、「限られた客」ということで「コンプ」というサービスがされる。酒と薬と性のないカジノは存在しないのである。
  賭博は国外犯は処罰されないから、日本人は外国のカジノで博打をしたと公言する。しかし、買春や酒と薬はそうは言えないし、隠されるから表に出ない。
 このような深刻な弊害が出ても金を儲けるためならやるというのは、「猥雑さを引き受ける」という橋下大阪市長ぐらいだろう。北海道知事や横浜市長は女性だが、キレイ事だけのIRカジノを信じているなら馬鹿馬鹿しい。カジノの真相を知らないか見ようとしないのである。
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2014年08月12日

報告宝くじ販売・広告差止を求めて東京都らを提訴

7月18日、提訴しました。十分に報道されませんでしたので以下掲載します。
(原告は12名ですが目録は省略させていただきます。)
*********************************************
訴     状
平成26年 7月18日
大阪地方裁判所  御中
              原告ら訴訟代理人 弁護士 井上善雄、同 河野豊、同 辻 公雄、
同 中島康之、同 吉田哲也   

宝くじ販売差止等請求事件
訴訟物の価額  金160万円(算定不能)/ 貼用印紙額  金1万3000円

請  求  の  趣  旨
第1.第1次的差止請求
1 被告らは、当せん金付証票(以下、宝くじという)の販売、宣伝活動をしてはならない。
第2.予備的差止請求
1 被告らは、未成年者に対し、宝くじの販売活動をしてはならない。
2 被告らは、消費者に宝くじの購入を煽り、又は人を差別し侮辱する表示を含む宣伝販売活動をしてはならない。
第3.損害賠償請求
1 被告らは、原告ら各人に対し、各金1万円を支払え。
第4.訴訟費用
1 訴訟費用は被告らの負担とする。
以上の判決並びに第1、第2、第3項につき仮執行の宣言を求める。

請  求  の  原  因
第1.当事者
1.原告
原告らは、肩書き地に住む市民であり、その多くは「ギャンブル依存症を生む公認ギャンブルをなくす会」(略称:ギャンブルオンブズマン 以下、ギャンブルオンブズマンと略称する)の会員である。なお、ギャンブルオンブズマンは、公認ギャンブルがギャンブル依存症を生む等の弊害を社会に及ぼしていることに対し、その弊害をなくす是正活動を目的として、平成24年4月2日に正式発足した団体(代表事務局井上善雄)である。
2.被告
  被告東京都及び被告大阪府(以下、被告東京都らという)は、宝くじの発売元であり、被告みずほ銀行は、その発売受託企業である。
(1)被告東京都らを含む全国都道府県及び20指定都市(大阪市外)らは、「全国自治宝くじ」の発売元である。全国自治宝くじには、通常くじ、大型くじ(3ジャンボくじ、オータムくじ、グリーンくじ等)、数字選択式全国自治宝くじ(ナンバーズ、ミニロト、ロト6、ロト7)等がある。
宝くじにはこの全国自治宝くじの他にも「東京都くじ」「関東・中部・東北くじ」「近畿くじ」「西日本くじ」とその他特定道府県くじ等がある。
被告東京都らは東京都くじや近畿くじ等の発売元でもある。
被告東京都らは、当せん金付証票法(以下、証票法という)に基づいて、自らの販売計画をたて総務大臣の許可を得て、様々な宝くじ(直近では第660回全国自治宝くじドリームジャンボ宝くじ、第661回全国自治宝くじドリームジャンボミニ5000万など)を発売している。
  宝くじは、都道府県と総務大臣が指定する特定市にその発売が許されている。具体的手続としては、その知事や市長が、総務省に対し個別に発売申請をして許可を得て、政令で定める銀行(本件ではみずほ銀行)に売買(発売)を委託して行わせる。全国自治宝くじでは、東京都知事が代表をし、東京都庁内に事務所を構える「全国自治宝くじ事務協議会」が事務をまとめている。
「全国自治宝くじ」に限れば、平成25年度までに744回なされ、そのうちジャンボなど一般くじで1年に約5000億円を、数字選択くじで約4202億円を売り上げている。そして、平成26年度も次々と計画し、例えば7月4日~25日には第663回全国自治宝くじサマージャンボ宝くじ(1等4億円・前後賞各1億円合わせて6億円)などを販売する。
ちなみに、くじごとに収益金は分配される。例えば、第641回ドリームジャンボ宝くじの1回で、東京都は約38億円、大阪府は約8億円、大阪市は約9.3億円の収益を得る一方、島根県は約7千万円の収益であった。要するに、都道府県の発売額に応じた収益があり、自治体下の消化額(発売額)の約40%が収益となるのである。
(2)被告みずほ銀行は、宝くじについてほぼ全体にわたる受託業者である。宝くじの発売元と一体となり、具体的な発売企画から宝くじ券の作成、広報・宣伝、宝くじ券の配送、売り捌き、抽せん、当せん発表、当せん金の支払い、その他の受託事務を行い、収益金を発売自治体に納付するまでの事務を行う。
第2.被告らの宝くじの販売
1.宝くじの小史
  被告らのかかわる宝くじ公式サイト上には、「宝くじの歴史」として次のように記載されている。
「昭和20年7月、政府は浮動購買力を吸収して軍事費の調達をはかるため、1枚10円で1等10万円が当たる富くじ“勝札”を発売しました。しかし、抽せん日を待たず終戦となったため、皮肉にも“負け札”と呼ばれるようになってしまいました。同年10月、政府は戦後の激しいインフレ防止のため浮動購買力吸収の必要性が大きくなったので、“宝くじ”という名前で「政府第1回宝籤」を発売することになりました。
 さらに戦災によって荒廃した地方自治体の復興資金調達をはかるため、各都道府県が独自で宝くじを発売できることとなり、昭和21年12月に地方くじ第1号「福井県復興宝籤」(別名ふくふく籤)が登場しました。政府くじは昭和29年に廃止され、その後は地方自治体が独自又は共同で発売する自治宝くじだけが残りました。なお自治宝くじは政府宝くじが発売されていた昭和28年度までは、それと区別する意味で“地方宝くじ”と呼ばれていました。」
このように政府宝くじは廃止され、地方宝くじが自治宝くじと呼ばれて今日に至っている。
この戦争軍事政府の下で勝札を企画担当したのが株式会社日本勧業銀行であり、戦後の宝籤や証票法による政府宝くじ、自治宝くじもその日本勧業銀行が引き続き担当した。その後、銀行の破局や不祥事もあり合併を重ねて今日のみずほ銀行となっている。
第3.被告らの宝くじ販売の不法性
1.宝くじ販売と刑法187条該当性
(1)本来、宝くじは刑法187条の禁ずる富くじである。
刑法187条は、富くじ発売を賭博以上の重い犯罪とし、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処すると定めている。これは、勤労によって収入を得ることが正しく、賭け事で収入を得るという国民の射倖心の拡大は社会公共の利益に反するからであった。この点は大審院判例及び最高裁判所判例も踏襲するところである。
  宝くじ発売は、刑法上の「富くじ発売」に他ならず、本来は刑法が禁ずる犯罪行為である。しかし、特に例外的に事情がある場合として、証票法で一定の条件下に許している。しかし、国民の射倖心を煽るギャンブルであることは否定しようがなく、本来は正しい事業と言えない。そして、証票法が厳正に解釈され、且つ厳正な規制管理の下ではじめて、その違法性が阻却されるものである。
2.証票法による宝くじの販売活動の適法範囲と現在の発売の許容範囲の逸脱
(1)証票法の目的と許容範囲
被告らも認めるように、宝くじは、太平洋戦争に突入した日本が、軍事費捻出の一方法とした富くじの「勝札」に始まる。戦中の政府が財政危機に対応して制定した「臨時資金調整法」が、敗戦後の吉田内閣によって敗戦後の昭和21年10月29日に暫定的に改正され、「宝籤」という「当せん金付の証票」を販売したが、芦田内閣下の昭和23年4月7日、臨時資金調整法は廃止された。そして、宝くじの発行を可能とするため制定した法律が証票法である。
  昭和23年7月12日公布のこの法律は、「経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票法の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする」と明記されている(1条)。
浮動購買力とは難しい用語であるが、要するに庶民が戦時中でもいざという時のために残していた「タンス預金」のことである。戦時中政府は軍事費捻出のために莫大な税や国公債発行をしたが、それでも集められないお金を「浮動購買力」と表現し、そのお金の吸収を図ったのだった。
戦争終了後に至り、それが続けられるべき余地はなかったところ、ここで奇策が弄された。さすがに戦時中と異なり戦争資金の勝札とは言えず、宝くじと誤魔化して「戦災復興」を理由としたのである。証票法4条に「戦災による財政上の特別の必要を勘案して総務大臣が指定する市」に「公共事業その他公益の増進を目的とする事業で地方財政の運営上緊急に推進する必要がある」「費用の財源に充てるため必要がある」場合に、総務大臣が許可して発売できるとの「明文」が語っているように、戦後の窮迫した特別な経済下での一時的な地方財政資金の調達のためだった。
この条項は、戦後70年近くを経た今も証票法に明記されている。
また、宝くじは地方財政法上からも32条に「戦災による財政上の特別の必要」によるものとされている。
(2)証票法の目的の喪失
  ① 昭和23年7月2日、政府は国会で証票法の提案理由として「今日インフレーションの高進を抑制するため、貯蓄の増強、租税の完納、その他あらゆる手段を講じて購買力の吸収をはかる必要がありますが、現下の国民の射倖的な心理をつかんだ購買力吸収手段も十分に認められるべきものと考えられますとともに、この手法は政府の財源獲得の一助ともなり得るのであります。他面、都道府県におきましては一般財源または公債によりがたい事業の財源獲得手段として、本制度の再現を期待しております点等に鑑みまして、当分の間従来に引き続いて宝くじ制度を存置する」としている。要するに、戦後の特別に窮迫した経済情勢下における財源対策を目的としていた。
   従って、戦後と言われた昭和20年代前半はともかく、昭和31年には経済白書でも「もはや戦後ではない」と言われ、引き続き宝くじに依存する財源対策が必要であるとは全く言えない状況になった。
②証票法根拠の喪失を確認した閣議決定
  吉田内閣の昭和29年2月12日付の閣議決定がある。これによると、
「 当せん金付証票法に基づくいわゆる宝くじの発売については、戦後における経済の実情に即応し、浮動購買力の吸収と政府及び地方公共団体の財政資金調達のための特別の措置として暫定的にこれを実施することにしたものであって、その性質上、経済の正常化に伴い、なるべく早い機会に廃止せられるべきである。
   よって、宝くじの発売については、従来から採って来た縮減の方針をこの際さらに徹底し、昭和29年度以降においては、まず政府による宝くじの発売を取りやめるものとする。
   なお、地方宝くじの発売は、地方財政の現状その他の事情に鑑み、当分の間これを維持するが、今回の政府宝くじ廃止の趣旨に則り、将来適当な機会においてなるべく早く全廃することを目途として運営すべきものとする。」
 としている。これは現在も生きている閣議決定である。地方宝くじも「当分の間」かろうじて許容されたにすぎない。しかも、早く全廃することが決められていた。このように昭和29(1954)年以来60年を経てもなお「当分の間」許された政策の範囲内であると納得できるような社会的事情も法的根拠も見当たらない。
  従って、現在の宝くじ発売は証票法の根拠がない。
3.宝くじ販売活動と利権濫用
それにもかかわらず宝くじが何故今も続けられているのか。それは端的に言えば、賭博・宝くじにより生まれた「利権の濫用」である。
(1)役人の天下りと利権
   宝くじは、都道府県、政令指定都市が自治省(総務省)大臣の許可の下に発売し、個別に自治省(総務省)の許可を必要とする。そして自治省(総務省)と自治体と受託銀行らが利権共同体となった。
地方自治体への政府からの税配分が不十分な下では、宝くじで安易に収益を得ようとする自治体や役人も生まれる。本質は楽をして確実にその収益を得、事業継続をする者にとっては極めて甘い魅力あるものとなる。この宝くじの利権を自治省(総務省)や推進拡大グループは巧みに利用したのである。
   しかし、敗戦直後なら宝くじを財政上不可欠と考えていた地方行政も、本来自らの財政収入が賭博、富くじ行為によって支えられるということは良くないことは判っていた。競馬、競輪、競艇等と同じく、宝くじも大衆市民の儚い夢を射倖心で釣ったあぶく銭ということは明白であり、いかなる視点からも地方財政上の正常な収入でない。その収益金は、国民の所得や自然資源の収穫・消費に伴って生じたり、又は行政サービスを受ける対価として納められたものではない。社会の公正なサービスを税のように公平に市民が負担する原理から生まれたものでないのである。
   そのため知事や首長の中にも、宝くじ依存を是とせず、自らの自治体では公営ギャンブル収益からの脱却を明言した人が、有名な美濃部都知事や黒田大阪府知事の名を出すまでもなく何十年も前から存在したのである。
そもそも、吉田内閣以来、政府自体が閣議決定で廃止方針を明示しているのだから当然である。
   宝くじを継続拡大させているのは、安易な歳入手段を求める地方自治体とその役人関係者、販売受託銀行、その末端販売までの関係する業者と、宝くじ利権グループから政治献金を受けて陳情され支持を受けている政治家(屋)と、これらの体制継続の利益を得る役人である。これらは「富くじ利権集団」と呼ぶにふさわしい。まず役人でいえば、自治省(総務省)役員の宝くじ関係団体への高給取りの天下りがある。その例の一つが後記表1である。また、地方自治体職員にも利権がある。
(2)勧業銀行からみずほ銀行までの利権
   勧業銀行を引き継ぎ、宝くじという富くじの最大の利権企業は、発売受託者のみずほ銀行である。宝くじの発売「胴元」は地方自治体だが、今ではみずほ銀行がその「仕切り役」になる。
(3)宝くじ受託者からの請負、再受託における利権
①宝くじ販売関係企業の利権
   実は、これらの企業や利権は十分情報公開されていない。販売業務の利益構造、販売システムの公正な選定については非公開部分が多い。自治体からの再販売受託企業もみずほ銀行と同様の利権の領域となっている。
実は、個々宝くじ売り場の数や場所をめぐっては、みずほ銀行のうち旧勧銀職員ないしその関連企業が利益を吸い上げている。そこにも利権が絡む。
全国の宝くじの種類は年々増加傾向にあり、販売額は平成11年に1兆円を超え、以降1兆円台が続いている。今日ではミニロト、ロト6、ロト7、さらにスクラッチまでの様々な「商品」が取りそろえられ、ATMやインターネット販売まで展開し完全に日常化している。
   宝くじの販売拡大のため、売りさばき業者数は1434業者、宝くじ売り場は16999箇所(有人11906、無人ATM5093)に及び(平成21年)、それらは平成20年度では売りさばき手数料769億5900万円と支払手数料32億4100万円を得ている。
 ②宝くじ印刷関係企業
   宝くじの日常化・大量印刷に伴い、それらの印刷製造・運送体制がしかれ、そこでの利権も莫大なものとなっている。
   ちなみに宝くじ券の印刷、運送費は95億3700万円であった(平成20年度)。
 ③宝くじ宣伝関係企業
   ジャンボ宝くじ等の車内吊りやテレビ・新聞等の広告では、例えば電通が大きな利権を得て仕切っている。
   後述する許されない不法・不当な広告は、被告らが電通を採用し低水準の宣伝を許したものであり、その責任は被告らにある。被告らは、許されないこれらの不法・不当な広告や表示について禁止せず、手段を問わず、いわば宝くじが大量に売れれば良いというものであった。
   もちろん、このような宝くじの運営体制は、販売元の自治体の役人、受託者みずほ銀行の職員、宣伝・広報担当の電通らが組んで行っているものである。
   販売促進広告費は133億3200万円であった(平成20年度)。
(4)宝くじ利権法人
   宝くじを推進する団体として設立され活動する法人は、公益法人化されて税法上の利益も得ているため、一部情報公開されている。
   主要団体は8団体である。
 ①一般財団法人日本宝くじ協会(昭和39年設立)
宝くじ関係の最大の推進団体で、平成21年で普及宣伝受託料174億3753万389円の受託金を受け、自治省(総務省)の元事務次官の理事長など天下りを抱えている。この協会は宝くじに群がる「利権ムラ」を束ねる役割を持ってきた。
 ②一般財団法人自治総合センター(昭和52年設立)
昭和53年から宝くじの宣伝普及をはじめ、「宝くじ資金審議委員会」を仕切って、宝くじの金の使い方もリードしている。その受託収入は、平成21年で930万8515円。ここも総務省の天下りがリードする団体となっている。
 ③一般財団法人全国市町村振興協会(昭和54年設立)
  実は、収益金の10%を、発売権のない市町村も得られるようにしている。平成21年では収益金143億円のうち81億円(57%)を貸付金、60億円(42%)を地方自治情報センター(15.6億円)、地域活性化センター(7億円)、地域総合整備財団(5.5億円)など27団体に配分している。
これは、発売権のない地方自治体に対し、宝くじの利権に不満を言わせないために利権の一部バラ撒きをする団体である。
 ④その他
宝くじの利権を得る法人としては、前記の3団体の外、公益財団法人全国市町村研修財団、一般財団法人自治体国際化協会、一般財団法人自治体衛星通信機構、一般財団法人地域創造などがある。
これらの各団体は、所管官庁である自治省(総務省)の指導の下に運営され、官僚、地方自治体も含め、役人の天下り先になっている。もちろん、この役員・職員の高額報酬も運営経費となる。
歴代(自治省・総務省)事務次官の宝くじ関係団体への天下り例をみると次のとおりである。

                     (表1)
事務次官 在任期間 天 下 り 先
柴田 護 S41-44 自治総合センター会長兼理事長、日本宝くじ協会理事長
松浦 功 S51-52 地方自治情報センター理事長
首藤 堯 S52-53 日本宝くじ協会理事長、地方自治情報センター理事長、
地域総合整備財団理事長、日本宝くじシステム社長
林 忠雄 S53-54 自治総合センター理事長、地域活性化センター理事長
近藤 隆之 S56-57 地方自治情報センター理事長、全国市町村振興協会理事長
土屋 佳照 S57-59 自治総合センター理事長
石原 信雄 S59-61 地方自治情報センター理事長
花岡 圭三 S61-62 地方自治情報センター理事長、日本宝くじ協会理事長、
日本宝くじシステム社長
大林 勝臣 S62-H1 自治総合センター理事長、同会長・顧問
津田 正 H1-2 自治体国際化協会理事長、自治体衛星通信機構理事長、
地域総合整備財団理事長、地域活性化センター理事長、
日本宝くじシステム社長
持永 堯民 H2-3 自治体衛星通信機構理事長
小林 実 H3-5 自治総合センター理事長、自治体衛星通信機構、
地域活性化センター理事長
森 繁一 H5-6 自治体国際化協会理事長、地域創造理事長
湯浅 利夫 H6-7 自治総合センター理事長、地域総合整備財団理事長
吉田 弘正 H7-8 地域活性化センター理事長、地域総合整備財団理事長
遠藤 安彦 H8-10 地域創造理事長、自治体衛星通信機構理事長
松本 英昭 H10-11 自治体総合センター理事長
二橋 正弘 H11-13 自治体国際化協会理事長、自治総合センター理事長

これらをみると、宝くじの宣伝拡大をする「日本宝くじ協会」とその宣伝と配分に関わる「自治総合センター」、さらに宝くじから収益を得る団体を増やして、天下り対象が日常化拡大してきたことがわかる。
さすがにこの「天下り」と弊害は、平成22年の「事業仕分け」で問題にされた。しかし、その後も総務省から弊害解消の情報公開は十分されておらず、「利権の巣」が温存されている。
(5)宝くじ利権役人「ムラ」と業者「ムラ」
このように宝くじには利権が渦巻いている。発売権のない全国の市町村、そして多くの団体・企業が宝くじ収入を「アテ」にする仕組みを作っており、宝くじの利権「ムラ」がつくられているのである。
第一に売上金の約40%以上が発売元団体(地方自治体)へ行く。そして、その約15%がその手数料ということになる。そのなかで宝くじの印刷、広告、販売窓口・換金経費が賄われ、印刷~広告・販売~当選者への換金までの手数料のそれぞれの中に多大な報酬利益が含まれる。そして残る45%が購入者(消費者)の1等を含む当せん金となる。
1兆円の売上げの15%というと1500億円であり、まともな銀行手数料の比ではない「儲け仕事」となる。そして、その傘下に再販売企業らが「巣喰う」ことになる。
平成20年度実績で、売上金1兆419億円の45.67%が当せん金で、売上げ収益金(自治体へ)が40.13%、残る14.2%が手数料だった。
4.宝くじ販売宣伝販売活動の不法性
(1)宝くじの営利主義広告宣伝は許されない
 ① 世界には宝くじ、ロトといわれる類似のものが限られた条件(政府・自治体など最少限)で発売されるが、商業主義・営利主義の広告による宣伝は許されていない。これは本来、賭博勧誘行為を無差別に広告することは許されないという規範意識があるからである。
 ② 証票法は、宝くじの発売に関し、宝くじの転売を禁じている(6条7項)。宝くじについての告示もⅰその名称、ⅱ受託銀行名称・所在地、ⅲ発売の数及び総額、ⅳ証票金額、ⅴ発売期間、ⅵ当せん金品の金額又は種類及び当せん数、ⅶ受託銀行から直接に購入した者若しくは当該購入者から贈与を受けた者又はこれらの者の相続人その他一般承継人以外の者は当せん金品を受領できないこと、ⅷ証票を転売できないこと、ⅸその他必要な事項を告示することが義務付けられている(7条1項)。
   そして、証票の義務的記載事項として、ⅰその名称、ⅱ発売者、ⅲ受託銀行等の名称、ⅳ証票金額、ⅴくじ引に必要な組及び番号又は表示、ⅵ第10条に掲げる事項(滅失、紛失又は盗難に因る当せん金付証票の再交付はできないこと)、ⅶ当せん金付証票の当せん金品の債権の時効完成の年月日、ⅷ受託銀行から直接に購入した者若しくは当該購入者から贈与を受けた者又はこれらの者の相続人その他一般承継人以外の者は当せん金品を受領できないこと、ⅸ証票を転売できないことが定められている(9条)。
   そして、証票法13条2項は、広報・広告活動について「住民の理解を深めるための措置等」として「都道府県知事又は特定市の市長は、相互に協力して広報活動等を行うことにより、当せん金付証票の発売が地方財政資金の調達に寄与していることについて住民の理解を深めるとともに、当せん金付証票に関する世論の動向等を的確に把握するように努めなければならない」とある。
   しかし、専ら販売促進のための広告を証票法は全く予定していないのである。これは宝くじが本来、富くじという刑罰に該当する反社会的・反教育的行為であるため当然であった。
(2)手段を選ばぬ発売拡大と不当表示と詐欺まがい販売による消費者の被害
 ① 消費者基本法は、1条で「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。」と定める。2条の基本理念1項では「消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。」とある。
   そして、3条で国、4条で地方自治体、5条で事業者についての責務を定める。
   この点、宝くじは、4条の地方自治体が5条の事業者ともなるものであり、5条1項の供給する商品及び役務について、1)取引における公正、2)必要情報を明確かつ平易に提供すること、3)取引に関して消費者の知識、経験及び財産の状況に配慮すること、4)苦情の適切かつ迅速処理と必要な体制処理の責務がある。
   そして15条では、広告その他の表示の適正化等として「選択を誤ることがないようにすること」「虚偽又は誇大な広告その他の表示規制」を講ずるものとするとされる等、消費者の権利の増進が求められている。
   さらに消費者契約法は1条で「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と定め、宝くじという「商品」も含めて、より具体的に「消費者契約」による消費者側を救済する権利や手続を定めている。
さらに、不当景品類及び不当表示防止法は1条で「この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。」と定め、4条で不当な表示を禁止している。
本件宝くじは、この4条1項3号の不当表示の該当性が高いのである。
② まず宝くじは、総務省データによると、仮に宝くじを1000円分購入したとして、全体として約45.7%(457円)しか購入者へ当選配分されない。約40.1%(401円)は地方自治体収益金となり、残りは販売受託の銀行と売りさばき業者らの手数料に7.7%(77円)、印刷や宣伝費に6.5%(65円)等という。すなわち、控除率25%といわれる競馬・競輪・競艇に比べても、宝くじは「胴元」の控除金(率)「テラ銭」が多い。ここから、宝くじは世界最大の「ボッタクリくじ」といわれる。
 ③ 購入者は消費者であるが、被告らは消費者の権利を尊重するどころか、不当表示防止法1条、4条に違反する詐欺まがい商法をしている。
   被告らはかつて、3億円が当たったらどうしようかと西田敏行にテレビ広告で言わせていた。しかし、真実は300円券1000万枚に一つ当たる確率である。1人が30億円分を買って3億円を当てようというなら別だが、人が隕石に当たる確率より低いのに、販売にあたりこの真実の事情を購入者である大衆には説明しない。むしろ、多くのユニット販売という仮定のトリックを使い、多数当たると錯覚させている。
   例えば、2010年年末ジャンボでは「1等2億円74本、2等1億円370本、前後賞合わせて3億円」「今年は億の当たり倍増」と宣伝していた。これは実は、74ユニット、売買総額が2220億円になった場合の仮定の数字であり、例えば一人が連続番号で30億円買えばその中に1等2億円が1本、前後賞2本で1億円、2等1億円が5本で5億円、3等100万円が100本で1億円というように6等の300円当せん金を含め、結局30億円の約45%ぐらいが当たる(回収できる)というもので、当選くじの「射倖度」を高めただけであった。
   従って、億円当たりが倍増というのは、くじの売れ高が倍増した場合のことであり、この点も不当表示であった。
   そして、このユニットのトリックは、購入者が案内を余程注意しないと読めないような細字でしか書かれていない。
   このような「射倖度」をさらに高めて近頃では1等6億円のジャンボ宝くじなどまで「ユニットの錯覚」を利用して行われている。6億円を当てるには1等と連続の前後賞を含む3枚の900円分を買った場合であり、1等4億円は1000万分の1の確率で、そしてその前後賞も当てるのはさらにそれよりも低い確率となる。
   また、同時発売の宝くじでは「6000万円がたくさん当たる」と喧伝するが、詳しく調べると270億円分売れた場合に90本当たりが出るというもので、1ユニット30億円分では10本ということになる。つまり100万分の1の確率であるから「たくさん当たる」と繰り返す宣伝は不当表示である。
   また、被告らは、テレビCMや吊り広告等で木村拓哉を使って「1等1億円が当たったら何に使おうかと考えている」「うちのスタッフの青木さんが高額当選しました」「1等1億円が当たる気がしている」「10万円くじで4万本なら10万円はきっと当たると信じている」等といかにも蓋然性が高いと錯覚させる言い方で広告していた。
かくて近年は、1回に万円単位の購入をする者も少なくない。さも当選率が高いかのような宣伝・表示は明らかに「ペテン」で、これが今も変わることなく行われているのである。
このような実態は、消費者基本法1条、2条、4条、5条に違反する。被告東京都らは同法4条の地方公共団体の責務に自ら反し、また被告みずほ銀行を含む被告らは5条の事業者の責務に反していることが明らかである。
ちなみに、宝くじ公式サイトでは、宝くじ購入経験者は国民の78.5%、人口8344万人といい、購入額は一人当たり平均で年2万5210円(人口5592万人として)と宣伝している。国民の圧倒的多数から2万5210円の約45%にあたる一人当たり平均1万3886円を奪っていると白状しているに他ならない。
(3)宝くじによる「大衆収奪」と反社会性・反消費者性
   宝くじは高収入の人でなく、経済的に弱い貧しい大衆からさらにお金を搾り取る収奪である。
谷岡一郎大阪商大教授は、宝くじは社会的弱者への「税金」と評する。教授は、客観的に正しい調査をし、①貧しく、②教育歴が低く、③持ち家がなく、④昇進の遅い人ほど宝くじを買い、弱者が実現性のほとんどない夢でも高いステイタスを求める心理から宝くじを購入すること等を詳しく分析している。
宝くじ公式サイトも、購入者は「賞金目当」、「大きな夢」を求めているとし、さらに宝くじ潜在人口を2236万人として狙いを定めている。
   大衆の射倖心を煽り、大衆収奪につながる宝くじ事業を主宰するのが地域住民に奉仕すべき地方自治体であり、更にその事業の許認可権を持ち、関連業界団体への天下りで潤っているのが総務省らの役人であるからその罪は深い。
   宝くじは、憲法のいう市民の平等と住民の福祉を図る地方自治体の本旨に反し、地方自治法1条の目的、2条の基本原則に反している。これは住民の福祉の増進に反し、射倖心を利用した収奪である。
(4)ギャンブルの未成年者販売を含む無差別拡大と反社会性
   宝くじは、未成年者やギャンブル依存症者へ販売をしている。
   中・高校には売らないようにしているという弁明もあるが、それは学生服を着用している者への自制ということであって、たばこ販売レベルの証明などは全くない。
   例えば、被告らは生活保護受給者にも売っているし、購入者が家族の金を盗んだり、また人が他人から盗んだりした金であろうがその出処を問うことはない。
 かくて宝くじは、日本においてパチスロよりも多くの5000万人を超える規模の参加者数となって、約1兆円を売り上げるのである。
   今日560万人という「ギャンブル依存症」の解消が求められるが、ギャンブルの中で利用者の最も多いのが宝くじである。宝くじも依存症患者の発生原因の一つとなっており、実は国民のギャンブル参加の入り口となり、そして国民のギャンブル基盤人口を支えている。
(5)被告らによる人権侵害、社会差別広告と人格権侵害
   被告らが平成26年5月14日から6月4日まで発売したドリームジャンボ宝くじ(第660回全国自治宝くじ 1等5.5億円)とドリームジャンボミニ5000万(第661回全国自治宝くじ)について、その購入を呼びかける広告がテレビ等で大々的になされた。
   これらは、人力車に乗ったドレス姿のお嬢様と車夫が宝くじ売り場の前でおよそ次のような会話をして宣伝する。
   まずドリームジャンボについて、お嬢様が車夫を見下しつつ「タイゾウ!ドリームジャンボは5.5億、もし当たったら」というと、車夫が「もし当たったら5.5億円分の花束をお嬢様に」と下から答え、お嬢様は「それはスゴク邪魔だ」と車夫を見下し切り捨てる。そしてジャンボミニについて、お嬢様が「タイゾウ、ドリームジャンボミニ」というと、車夫が「5000万円が沢山当たります、お嬢様からいただいた愛情ぐらい・・・」と答える。するとお嬢様は車夫に「お前には米粒ほども(愛情を)与えたおぼえはない」と罵倒し、車夫の口元の米粒を取り上げて嬌声を上げ侮辱するものである。
   そして、お嬢様は宝くじ売り場の前の歩道上で「沢山下さる」と言って大量の宝くじを買う申込をするというストーリーとなっている。
   これは、身分が高くお金持ちのお嬢様とそれに仕える車夫のやりとりである。
お嬢様が車夫に対して、一見して身分差別、階級差別をし馬鹿にし侮辱した発言をし、平気で車夫を笑い飛ばしている。
   こんな下劣な差別発言・行動のCMをつくって全国に流しているのが、被告らの全国都道府県、政令自治体とその委託を受けたみずほ銀行である。このCMは発売を増やすためだけにされていることを考えると、およそ人権を守り社会差別をなくすべき公共自治体、そして社会的コンプライアンスを強く求められる大手銀行がスポンサーである広告とは信じられない暴挙といえる。これをテレビで子供にも無差別に視せるゴールデンタイムに流し続けたのである。
   これは「奇を衒う」広告で目立ちたいだけともいえるかもしれない。しかし、宝くじは刑法187条で規制される「富くじ」である。仮に今も特別な立法により違法性を阻却し許されているとしても、証票法に反しこれを子供も視るテレビで大々的に宣伝することは反社会的・反教育的で広告規範・公共規範に反するものであった。このCMはその上二重三重に原告らを含む人の尊厳を踏みにじるものであった。
   そこでギャンブルオンブズマンには会員内外から、このCM広告で心が傷ついたとし、放置できないとの意見も寄せられた。
   富くじ(宝くじ)は抑制されて然るべきものであり、宝くじに熱中する依存症の存在も知られるところである。そしてギャンブルオンブズマンは
   今回のCMは、広告業協会の広告倫理綱領にも反し、
①倫理及び品位と善良な習慣を損なうもの、
②差別発言を繰り返して人権を尊重せず、他者を誹謗中傷するもの、
③健全な社会秩序を損ない、幼少年の健全な生育を妨げるもの、
④路上からくじを買うという道交法に違反するもの
などとして、平成26年5月28日付にて被告みずほ銀行と全国自治宝くじ事務協議会に対して是正の申入書を送付した。
また同日、みずほ銀行大阪中央支店と大阪市にも直接訪問して口頭と同文書で問題を指摘し改善を申し入れた。
   ところが、このような不法不当な広告について被告らは全く反省せず、宝くじ販売締切まで広告を続けたのであった。
そして、販売期間が終わってから6月6日に「みずほ銀行担当」という者からギャンブルオンブズマンに電話があり、「私たちは何ら問題があるものと考えません」と通知された。担当者はこの電話一本で回答とするとし、それ以上の説明を求めても拒絶された。そこには反省や消費者基本法にある市民消費者の意見を聞くという態度さえ全くなかった。
(6)その他宝くじ販売をめぐる不法事実
   被告らの宝くじ販売をめぐっては、以上の外に多くの不法事例がある。以下、事例を示す。
 ①宝くじ売り場の道路不法占拠と路上販売活動
   宝くじ売り場といえど道路上に販売店をはみ出したり、販売施設や看板、幟旗などの広告物を置くことは許されない。
しかし、近年原告らが指摘するも路上はみ出し店や路上はみ出し施設、広告物は是正されずなくならない。原告らは、被告みずほ銀行にその是正を申し入れるも、逆に逐一どこかと特定を求められればまだ良い方で、被告東京都らも被告みずほ銀行も再委託業者がどんな店でどんな販売をしているのか点検していない。そのため、本訴時点でも路上はみ出し店が残っている。
さらに、売り出し時や発売終了日近くでは路上に幟旗や机を出したり、客を路上に並ばせて販売活動をしている例は多い。これらは道路法や道路交通法に違反する販売方法である。
 ②販売店での虚偽表示・不当表示
   宝くじは無作為抽籤により当せん番号を決定するものであり、宝くじが大量に売れる売り場ほど当たりくじが多いし、カラくじも多くなるのは確率上当然のことである。よって、特定の売り場が当たりやすいということはないし、それを宣伝することは虚偽表示・不当表示である。
  ⅰ)販売にあたって売り場担当従業員が「今日のは当たりがある。この売り場はよう当たりが出んねん。大丈夫やで」等と宣伝することが多くある。
ⅱ)口頭の宣伝どころか看板にまで表示して掲出している。例えば、大阪天王寺のターミナル駅の売り場では長期にわたって自分の店について「億万長者がいちばん出ている売場です」という大形看板を出していた。
これについてギャンブルオンブズマンは、被告みずほ銀行に対し、こんな販売方法は不当表示であると指摘した。ところが、当初担当者は、そんな店は知らないし、あっても問題がないかのように対応した。府の職員やみずほ銀行職員も含め1日に何千何万人もの往来する売り場のことを知らないでは済ませられず、具体的にその売り場の場所を指摘したところ、ようやく担当者は検討しておきますということだった。そしてかなり経ってから、その看板の「いちばん」という部分だけ白紙で隠されたのであった。
これは、発売元も受託者みずほ銀行も再受託者も不当表示に注意を払っていないことの証拠である。
ⅲ)実は今でも、「98%の確率で3億円当たる10の売り場!」という大文字印刷物(週刊誌)を窓口に大きく貼り出している店が現存する。どうやら平成20年の年末ジャンボで2等が出た店を週刊誌が報じ、この記事を拡大して表示しているようである。しかし、長年の販売活動の中で何年かに一回2等が出たとしても、それをわざわざよく当たることの宣伝にして販売活動をすることは詐欺まがいである。
ⅳ)ギャンブルオンブズマンが、被告みずほ銀行に対し当たりやすい売り場はあるかと尋ねたところ、「それはない」との答えであった。しかるに、たまたま過去に大当たりが出たことを大きく看板にしていても、それが事実なら不当表示ではないと言い訳をした。
しかし、「宝くじを買うなら大当たりくじの出る当店で」としつつ、「当店から億円くじが出ました」「億万長者が出ました」と大々的に広告するのは、結局は購入者の「錯覚」を利用した不当表示の販売方法であり詐欺まがい商法である。
 ③宝くじをめぐる詐欺商法の放置
   宝くじは本来、確実に当てる方法はない。しかし、悪徳業者が宝くじを当てる方法などという詐欺本や当てるための道具を高額販売などしている。
   この現状について原告らは被告みずほ銀行らに告知もし、是正も求めた。そして、被告みずほ銀行らに対し是正行動の提案をしても、自らのしていることではないとして、全くあずかり知らぬ対応であった。被告みずほ銀行の担当者に対し、あなた方が正当に売っているという宝くじについて購入者を欺した宣伝をしていることを実質営業妨害とも考えないのかと問うも、「私共は関係ない」との対応であった。
結局被告らは、宝くじ便乗の悪徳商法も「宝くじを買うことに繋がればよい」との感覚で、宝くじを利用した悪徳商法を放置しているのである。
   しかし、宝くじ制度を利用して判断力の弱い消費者に不実の宣伝をし、さらに喰い物にする悪徳業者に対し、地方自治体である被告東京都らや受託者被告みずほ銀行が知らぬ顔をし続けることは、いわば自ら「射倖心の広場」「欺されやすい広場」に市民を誘致しておき、その広場での「詐欺団・窃盗団」を野放しにしているに外ならない。これでは詐欺の「共犯」との非難は免れない。
第4.不法・不当な宝くじ宣伝拡大と差し止めの必要性
  総務省や被告らは、法令と閣議決定に反し、宝くじをやめるどころか宝くじについて拡大推進活動をしている。宝くじの売上が伸びないと、日本のギャンブルとしての利権領域が小さくなるため、総務省は関係自治体職員と販売関係企業職員を加えた「宝くじ活性化検討会」を設置し、平成23年12月に報告書を公表した。報告は「宝くじ活性化」を打ち出して、被告らに販売の拡大促進を求めている。しかし、その拡大促進の企画を求める担い手は実は被告らでもある。
  その「活性化」報告では、先見的に宝くじが社会貢献をし、幅広い世代で楽しめるものとして「宝くじを買うことがカッコいい」とまでのイメージ戦略をいい、スマートフォン等での若年向け、女性向けターゲット商品の導入(総務省も宝くじを自ら「商品」という)をいう。「消費者の利便性向上及び販売チャンネルの拡充」としてインターネット販売、コンビニエンスストア販売、ATM購入を推進させてきた。また、販売団体がもっと自由に効率的に発売活動をできるよう、証票法の改正案まで打ち出している。
  そして、宝くじのマーケティング戦略を強化、インターネットを含む広告メディアの多様化、①当せん金最高倍率の引き上げ、②当たりやすいくじ、③遊び心のあるくじ(スマートフォンで気軽に楽しめるくじ)や、宝くじファン等会員制度の創設などをいう。これらは実は全て宝くじ利権集団の事務局が考えた構想プレゼンテーションを検討会が追認したものである。
これらの御用検討会委員は大学教授やメディア、宣伝、自治体行政の役員、営業マーケティング拡大にかかわる企業人であり、誰一人として宝くじの本来法制、富くじの本質、社会への害などを考えた形跡は全くない。ただ宝くじ商品をより多く売ることしか考えない「偏向」報告書である。
このような法令や閣議決定を無視し真実を歪めた報告により、被告らが展開している宝くじ販売拡大戦略は、いわば「毒薬」を「良薬」と大々的に宣伝するに等しく、この点でも差し止める必要がある。
第5.原告らの差し止めを求める権利
1.原告らと原告らの結成したギャンブルオンブズマンは、日本の市民及び市民団体で、宝くじを含 む賭博が生み拡大させる賭博依存症(ギャンブル依存症、賭博嗜癖、障害、病的賭博)や、その賭博の悪影響で市民の平穏な生活、家族の生活、さらには教育・文化を含む社会にもたらされる弊害をなくすために活動している。
  もとより、これらの賭博をめぐる病的現象は宝くじに限らず、同種のサッカーくじtotoや競馬、競輪、競艇、オートレースの「公営競技(4K)」、さらに風俗営業とはいうも実質換金方式をとるギャンブルであるパチンコ、スロットによっても本人や家族の破綻者、自殺者までを生む原因となっている。
  今や日本で560万人とも推計される賭博依存症を生むのは数の上ではパチスロと4Kが主役ともいわれるが、依存症をよく知り治療にあたる医師は、宝くじ、totoを含めたくじもその原因であると指摘している。
  今日ギャンブルをする者は、参加人口の最も多い宝くじから常習的なパチスロ、日常化する公営ギャンブルまで「かけもち」も多いのである。
2.宝くじは、証票法が未成年者への販売を明文上禁止していない「欠陥」もあり、未成年者も若くして参加できるギャンブルとなっている。
  被告らは、宝くじの本質が刑法によって本来禁止される賭博・富くじであることを忘却させ、あたかもその売上を増やすことが社会的に役立つという偏頗な面だけを強調する。テレビ、新聞、雑誌の広告媒体を使い、そして天下り団体までを使って宝くじを本質的に公益性があるものとまで錯覚させているのである。
  宝くじの収益金は社会的公益に役立つと宣伝するが、大衆収奪の「悪銭」である。しかし、宝くじや公営賭博収益金は、それによって生んだ賭博依存症患者の治療やその家族への救済には全く出捐していない。
  ギャングやマフィアがバクチで稼ぎ、その一部を公益団体・福祉団体に寄付する売名をすることもある。だが、金そのものに「色」は付いていないとはいえ、例え全て公益に使ったとしても、賭博で人の金を収奪した「汚れた金」は良き収入金と評価できない。
  この富くじが人の金員を収奪するという本質を忘却し、しかも今日なお売上本位に不正・不当な販売活動をすることは反社会的・反公益的である。
3.被告らは、仮に宝くじは賭博・富くじだといわれようと、ただの市民・市民団体である原告らが何の権利があってその差し止めを求めるのかというであろう。
  しかし、原告らは、現代社会においてギャンブルによる人的・物的被害を増やさないでほしいと言い求める権利がないとは考えない。良き社会を求め、社会や市民を害する行為を止めてほしいと求める権利はあると主張する。
  莫大な被害を知り、その弊害を知る市民は、賭博・富くじ(宝くじ)により、家族、近親者、友人知人、そして地域社会にその害が及ぶことに耐えられない。遺憾ながら今賭博依存症にある者は、その加害者に対し是正を求める能力がない。賭博依存症者は本来は自らその病から脱する努力をし続けなければならない。しかし、そこから脱する道さえ教えられず、それどころか被告らからその誘惑の「ワナ」の中にいつまでも置かれ続けている。ようやく少し自覚し得ても、まずは依存から脱することだけでも困難である。
  だとすれば、この病や様々な害を知って抑制に努力する者、家族、市民や市民団体がその取り組みをしなければならない。そして、原告らには金を儲けるために止まぬ被告らの賭博開帳、富くじ販売の差し止めを求めるしかない。これを現在の法概念でいえば「人格権」の範囲といえる。
4.被告東京都ら地方自治体は、本来は不可欠な公益目的の事務・事業を行うために存する。それは、正当な市民からの税収入により、直接地域市民の福祉増進活動たる施策を行うためにある。市民は自治体に不可欠な行政の「公共信託」をし、被告東京都らはその「公共信託」を受託しているのである。この点、宝くじの販売は前記の事実に照らせばこの「公共信託」の逸脱であり、国民・住民の信託による政治を定める憲法、地方自治法に違反する。
  今の宝くじの販売はこの公共信託に反しており、公共信託に反した行為について差し止めを求めることも市民の権利である。
第6.損害と損害賠償
  原告らは、被告らの宝くじの販売によって損害を受けた。実は、その宣伝表示に欺されて宝くじを買うもほとんどカラくじで、数万円を損した者もいる。
  例えば、東北の大震災救済という宝くじ(東日本大震災復興宝くじ、東日本大震災復興東京都宝くじ)や支援するための協賛くじ(東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ等)があった。これらの宝くじが直接的に被災者救済資金に充てられるのかと思わされたが、発売元の自治体に所定の収益金が入るだけで被災者には直接配分されなかった。14~15%のみずほ銀行らの手数料も全く同じで、発売元らはいわば儲け商品である宝くじの販売に、被災者救済の美名を借りただけであった。例えば、みずほ銀行らが手数料に関しボランティア(無償ないし低額)で仕事をしたというような事実もないのである。
  また、窓口で本当に看板のようによく当たるのですかと聞き、何十枚も買ったところが、結局300円当せん金が何枚か当たっただけの者もいる。
  もちろん、宝くじの大当たりを信じて買い続ける常習者を近親にもつ者もいる。
  これらの宝くじの不正不当な販売は、本来被告らが是正すべきものであるところ、これを是正しないことには耐え難いものがある。
  被告らは、テレビCMや吊り広告などでくり返し不正不当表示をし、さらには人を差別することで傷つき、その苦情を申し出てもこれを無視し、誠意ある対応もしない。これは地方自治体である被告東京都らと被告みずほ銀行が一体となり、市民の平穏さと消費者の権利を侵害し損害を与え続けたものである。 
  このような不法な攻撃的営業により生じた損害に対し、被告らに、原告ら各人1万円の慰藉料を請求する。
【裁判情報】 大阪地方裁判所 第8民事部合議2係 平成26年(ワ)第6683号事件
      初回期日:平成26年9月3日(水)午前10時30分  808号法廷(傍聴可)

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コラム 宝くじ訴訟とメディア

宝くじ販売差止訴訟を提訴した7月18日の2日前、弁護団は大阪地裁の司法記者室に訴状案を持参して案内した。幹事当番社は、資料を各社に配布するとし、記者会見やテレビその他の撮影をするかについては改めて連絡するとのことだった。しかし、その夕刻、当番社から入った連絡は、「記者会見や訴えの説明等は求めないことになった、予定どおり(18日に)提訴したかどうかだけ知らせて欲しい」というものであった。(なお、共同通信社のみ直接連絡があり、説明を求めて来訪された。そして配信記事を書かれ、愛媛新聞などに掲載。読者から直接意見もあった。)
 予定どおり提訴はしたが、この司法記者室各社の取扱いは、多数決かどうかは別として冷ややかなものだった。40年以上にわたり公共利益に絡む事件を提訴してきた私にはピンと来るものがあった。
 それは、メディアにかかる抑止力である。宝くじ販売差止訴訟が全く取り上げるに足りない乱訴というのであれば私の思い上がりであったかもしれないが、納得できないものがあった。当番社に説明した際も、その後もどの社からも乱訴との疑問は出なかったし、共同通信社の取材記者からもそのような指摘はなかった。公器たるメディア(マスコミ)の中立性から外れた、報道機関としてあってはならない“抑止力”“配慮”によるものだと思われた。
 第1に考えられるのは、今般のNHKを除くメディア各社にとって、宝くじは大広告主であるということだ。つまり、宝くじで利益を得ている業界なのである。具体的にいえば、商業紙やテレビ局の広告部は、宝くじ広告を仕切る「電通」らに対し気兼ねしなければならず、宝くじは彼らにとって良い「客」なのだ(新聞などは日常的に宝くじ抽籤結果や広告を掲載している)。これについては、帚木蓬生氏も『世界』7月号でいうように、ギャンブルによる害の発生は、それを広告宣伝する報道機関にも責任があるといえる。
 第2に、新聞やテレビ局系列のスポーツ紙はギャンブル紙でもある。近頃はカジノ導入問題をめぐって賛否の一方の理由としてギャンブル依存症等の弊害についてメディアでも取り上げられ始めたが、これまで長年報道されずに無視されてきた。公営・公認ギャンブルにも無批判というメディア体質があるのだ。パチンコに負けて放火殺人をしたり、車内に子どもを放置して熱中死させるような事件が起きても、メディアによる報道においてはそのゲームをする個人の責任問題とする評価が多い。ゲームにのめり込み依存症状態を生む機序への追及がなされることはないのだ。また、依存症からの回復に取り組む市民活動などもほとんど報道されない。
 第3に、メディアは商業広告の自由に偏重し、客(消費者といえる)の利益保護のためにという広告の是正は形ばかりのものであった。
 第4に、被告が東京都、大阪府、みずほ銀行といった自治体や大銀行であり、また、欠陥問題のある宝くじであっても国民の多数が手を染めていることであろうし、これらに対して批判的な意見を言おうというような意識は薄いのである。                       (Y)
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宝くじ販売は違法と提訴 確率低いのに高いと宣伝

共同通信(2014.7.18配信)

大金の当たる確率は低いのに高いかのように宣伝し、宝くじを販売するのは違法だとして、大阪市などの12人が18日、販売元の東京都と大阪府、販売を請け負っているみずほ銀行に、販売と宣伝活動の差し止めを求め、大阪地裁に提訴した。
  原告は「ギャンブル依存症を生む公認ギャンブルをなくす会」(大阪市)の会員ら。宝くじの普及事業を行う「日本宝くじ協会」などによると、こうした提訴は初めて。
  原告側は、1千万~数億円単位の金額が当たる確率は非常に低いのに、宣伝では多数当たるように錯覚させており、「消費者の利益を擁護するよう定めた消費者基本法に反し、大衆からお金を搾り取る収奪だ」と主張。宝くじを認めた当せん金付き証票法は、戦災復興で自治体の財源を確保する目的で制定され、その目的がなくなった現在は法的根拠を失っているとも訴えている。
  みずほ銀行によると、宝くじの販売実績は2012年度で9135億円。自治体への収益金が3675億円、当選金は4284億円、経費は1176億円。
  原告代理人の井上善雄弁護士は「宝くじは、依存すると弊害を生むギャンブルへの入り口。収益を自治体が財源にすべきでない」としている。
  被告は「訴状を受け取っていないのでコメントできない」としている。
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2014年07月22日

事務局だより

1.ギャンブルオンブズマンの皆さん!
  第21回全国市民オンブズマン大会・岩手(盛岡)大会に御参加を!
      開催日:2014年9月6日(土)~7日(日)  
      場 所:1日目/盛岡駅西口・アイーナ7階ホール、2日目/岩手大学
 
 今年はじめて全国市民オンブズマン大会でギャンブル問題が取り上げられることとなり、初日は全体会で報告、2日目は分科会が持たれます。
  これは、IR(統合リゾート)の名の下に民間によるカジノが導入されようとしているからです。IRは結局カジノで人を呼ぶ施設であり、刑法で禁止されている賭博場の開設を私企業(株式会社)に認めるものです。カジノで日本以外の外国(中国など)から観光客を呼びたいという観光業者もいますが、結局外国資本(マカオ、ラスベガス、シンガポールなど)の投資をアテにした大型開発で、ターゲットは日本人客です。いわばミニカジノ・パチスロの本格大型版です。
  こんなIR(カジノ)法を9月にも成立させようというのです。①パチスロ以上の病的賭博を生み、②マネーロンダリングと使途不明金による悪業の栄え、③勤労意欲を喪失させる射倖心と反教育性、④市民大衆から金を収奪するなど、その弊害は明らかで、全国の良識ある市民は日本に導入すべきでないと反対しています。
  しかし、金でカジノ議員をつくり、動かし、今や安倍内閣もその推進派です。
  東北の遠方地ですが、宮沢賢治や石川啄木ゆかりの盛岡へ是非御参加下さい。

2.宝くじ販売・広告差止訴訟、提訴しました!
  7月18日(金)、ギャンブルオンブズマン有志らは、東京都、大阪府、みずほ銀行に対し、宝くじ販売・広告差止等の請求訴訟を大阪地裁に提出しました。(第8民事部係属 平成26年(ワ)第6683号事件)
この種の訴えは過去に全く例がなくユニークなものです。
  会報でも随時経過報告していきます。
また、裁判期日の際には是非傍聴にお越し下さい。原告ではない方も歓迎です!
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大暗賭博百人一首(1)

次の歌は小倉百人一首の歌を本歌とし、まね(money)して創った賭博(ギャンブル)百人一首です。元の歌の番号順で、元歌も参考に対比してお笑い下さい。(今回は1~20番)

1.あきれたなカジノ計画はズサンにて マイナス面はつゆぞふれなし<誘致してんの>
  秋の田の刈穂の庵の苫を荒み 我が衣手は露にぬれつつ     (天智天皇)
2.早過ぎて夏過ごすらしIR 予算組むのに嘘の書く山      <IRじっと>
  春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすちょう天の香具山     (持統天皇)
3.悪しき世のやめさせたいけど依存症 長々し日々また一人増え  <賭元人麿>
  あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む  (柿本人麻呂)
4.カジノ場に打ち出でてみれば初心者を まずは勝たせて罠に嵌めつつ<カジノ客人>
  田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ (山部赤人)
5.ギャンブルに深くはまりて泣く人の 声きく時ぞ家族悲しき   <ギャノマン太夫>
  奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき      (猿丸大夫)
6.横領金使った金は億単位 マカオに行けば夜も掛け続け     <大王金持>
  かささぎの渡せる橋におく霜の 白きをみれば夜ぞふけにける  (中納言家持)
7.天下り行く人見れば監督庁 公営賭博を見張りし先かも     <安倍仲間>
  天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも     (阿倍仲麿)
8.わがカジノ都の臨海しかと決め お台場案と人はいふなり      <既成方針>
  わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり     (喜撰法師)
9.倫理などうつりにけりないたづらに 我が身世にいう病的賭博    <オーノーコマッチ>
  花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに(小野小町)
10.本命に対抗狙いで券買えば しるも知らぬも大穴の馬       <馬狂番狂わせ>
  これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関   (蝉丸)
11.ボートピア全国何処でも買えますと 人に宣伝競艇レース      <猜疑高める>
  わたの原八十島かけてこぎ出ぬと 人にはつげよあまのつり舟    (参議篁)
12.IRカジノ計画吹き飛ばせ 賭博の禁止しばしとどめむ       <カジノ返上>
  あまつ風雲の通ひぢ吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ    (僧正遍昭)
13.ビギナーズラックより落つみなの客 負けぞつもりて不治となりぬる <ようするやん>
  筑波嶺の峰より落つるみなの川 こいぞつもりて淵となりぬる   (陽成院)
14.未知の苦をしのぶ破局か誰もかも 乱れ賭けにし我らも泣くに   <博奕太尽>
  陸奥のしのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに     (河原左大臣)
15.売るために億万当たると馬鹿宣伝 わが売上の半ば盗りつつ    <toto>
  君がため春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪は降りつつ     (光孝天皇)
16.立ち合いの土俵の勝負の賭生ふる まことを知らばヤクザ入り来む <大相撲賭平>
  立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む   (中納言行平)
17.智が破れ理性も効かずギャンブラー 金くれないと首くくるとは <ギャンブル自殺>
  ちはやぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くぐるとは   (在原業平朝臣)
18.住之江の競艇場に寄る病に 夢のかなわずひとあばれする        <暴徒例子>
  住の江の岸に寄る浪よるさえや 夢のかよひ路人目よくらむ    (藤原敏行朝臣)
19.難波潟埋めた夢洲IR リゾートいうもカジノ本命         <大阪賭構想>
  難波潟みじかき蘆のふしの間も 逢はで此の世を過ぐしてよとや  (伊勢)
20.忘られぬ今は破局のシーガイア カジノ招きて再生ぞ思う     <宮崎セガ>
  わびぬれば今はたおなじ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ (元良親王)
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書籍紹介

1.「カジノ解禁が日本を亡ぼす」若宮健(2011.11 詳伝社新書 760円+税)
○ 著者はギャンブルの依存症やギャンブル産業の実態を暴くジャーナリスト。今日本はカジノに向けIR法など動きが急だが、3年も前から経済効果をいう綺麗事よりギャンブルの被害、特に客の敗者の病、自殺に至る犠牲を警告し続ける。そしてラスベガス、マカオ、シンガポールのカジノの悲劇の実態もわかりやすく伝える。
特に隣国韓国の江原ランドカジノは自ら取材し、「亡者の群れ」にも視えたカジノ客のバクチを紹介する。開業10年の間に江原ランド周辺で35名の自殺者があったとの公表もある。(しかしその後の情報では2ケタ多い。)旧炭坑の町に開発された江原ランドカジノは、韓国で17あるカジノのうち唯一韓国人に入場を認められている。2009年までのデータや、年間1兆ウォン(1000億円余)を売り上げる一方で多数の破局者を生んでいることを紹介する。不正な営業で23件の損害賠償訴訟を抱えているとある。「ギャンブル依存症センター」を2001年から運営し、年に1600人も相談に乗るという。そして「出入り禁止者」も増えているが、自己申告により登録するも自己解除もできることから再度77億ウォンを負けた人が、解除の違法を理由として提訴し20%の賠償を命じた判決も出たという。地元には車を質入れできる店が多いという。ホームレスも増えて社会問題となり、ホームレスで排除された者は安部屋を借りカジノの使い走りもしているという。もちろんカジノにより犯罪者も増えたという。
○ 今、カジノ議連や誘致自治体・企業は、シンガポールやマカオの経済収入だけを強調しており、ギャンブル依存症はカジノのIRを進めながら考えれば良いという発想。しかし、パチスロ依存症、公営ギャンブル依存症も確認されている日本では、今もその治療費や被害をなくす政策はない。ギャンブルの社会的コストは社会全体としては①雇用の歪み、正しい労働の喪失減退コスト、②無駄に支払われる失業コスト、③犯罪や債務者の発生による司法コスト、④保険医療コスト、⑤社会福祉コストがあり、個人としては①個人・家庭の破局、損害、②治療回復コスト、③自殺など回復不能コストがあるが、IR議連もパチンコ議連の政治家も推進しようとする財界企業、自治体も含めてデマゴギー(賭ける雇用創出、税収など過大評価と負の効果の無評価)だけが走り、IRが進められている。
○ まさに「カジノ解禁が日本を亡ぼす」との表題を論証している。

2.「わが国の賭けごと史」倉茂貞助(1974.2 日本自転車振興会 134頁)
  前著「賭」に次ぐもので、日本の賭けごと史をまとめる。戦前までの歴史は別に宮武氏の「賭博史」その他詳しい著作もあり、それらの引用と思われる点も多い。
  戦後の賭博である競馬、富くじ、競輪、オートレース、モーターボートなど有史以来の賭けごと公認時代の招来について、①敗戦の虚脱と混乱の社会風潮、②アメリカ文化が賭けごとへの抵抗をやわらげ、③生活様式、倫理観の変化でレジャーや賭けごとははけ口、④合理主義の発達で心理的に賭けごとを近づけた、⑤享楽主義の追随、⑥インフレと投機の流行、⑦計画性のない生活がその背景という。だが、賭けの抑制までは言わないのは立場のためであろう。
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ギャンブルNEWSピックup

会報25号に未紹介の分も追記します。
2014.5.28      カジノ問題を考えるネットワーク
   5.31  民報  カジノ誘致をやめさせよう 市民団体シール投票等報道
   6.22  朝日  「声」欄:カジノはアベノギャンブル
   6.22~23    江原ランドカジノ(IR)視察(堀田団長) ※別途報告
   7.4   日経  サマージャンボ6億円 進む高額化と詐欺の標的
       赤旗  カジノネット 大阪弁護士会へ申し入れ
       ポスト7.11号  パチンコ税に矛盾(浦野教授)
   7.6   民報  韓国カジノ視察して(堀田文一)
   7.8   朝日  橋下市長らUSJのIR参入に否定的
   7.9   赤旗  宮城・津波被災地 またカジノ計画シンポ(名取市)
       日経  動き出すカジノ(上) 1.5兆円の思惑先行
   7.10  産経  USJ 舞洲リゾート参入検討
       日経  動き出すカジノ(中) のめり込む心、どう制御
       新婦人新聞  全国カジノ反対連合会長新里宏二弁護士語る
   7.11  日経  動き出すカジノ(下) 街の行方、功罪に揺れる 誘致の背景に人口減
   7.14  産経  ミナミのレストランでカジノ気分先取り
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