2019年11月29日

なくそう!ギャンブル被害 会報第84号

【目次】IRカジノへ狂気が進む2020年?/ギャンブル広告/投稿:嫌いな松井一郎をほめてみよう/コラム:「菅官房長官、カジノは筋悪だよ」、『改正法律和解』、「賀茂の川 賽の目 山法師」白河上皇/NEWSピックup/事務局だより/ギャンブルオンブズ4コマ漫画

IRカジノへ狂気(・・)が進む2020年?

「2020年は東京五輪」――この行事で市民の眼を奪い、正しい政治選択が妨げられている。そしてその後すぐ「2025年万博」も控える。万博とセットにした夢洲カジノの具体化は、①夢洲と市民の安全・環境問題、②依存症等弊害問題をともに先送りして強行されている。
10月18日、政府は2020年1月7日にカジノ管理委員会を発足させると閣議決定した。(その内容は10月15日のIR推進本部会合(持ち回り開催)において決められた。)そして、11月13日、委員会人事案を公表した(委員長:元防衛監察監 北村道夫、委員:元国立印刷局理事長 氏兼裕之、精神科医師 渡路子、慶応大特任教授 遠藤典子、元警視総監 樋口建史)。元高級官吏中心でギャンブル問題への見識や貢献もわからず、この安倍人事には疑問である。
当会は、これらの動きの前に、政府が来年決めようとしている案に対する反対意見としてまとめていた。以下、掲載する。(9月29日の全国オンブズマン大会において一部配布)

第1.「カジノ管理委員会」の5人の委員・組織について
1.5人の委員は、国会同意人事である。委員から①IR推進やIR議員連盟に参加した者、②ギャンブル(公営競技、くじ及びパチンコ・パチスロ)事業に関係した者、③ギャンブル運営のための取引企業の企業人、同企業への融資事業者、④IR推進に協力した学者・識者は全て除くことが必要である。ギャンブル関係省庁に関与した者は2名以内とし、委員長にはならない。
  逆に、(1)ギャンブル依存症ないしその治療解消にあたる専門家、(2)ギャンブルと依存症に反対する市民活動家、(3)ギャンブル依存その他の弊害の除却に見識の十分な者(研究者、弁護士を含む)を3名以上含めることが必要である。
2.委員会スタッフ100名中に、①ギャンブル依存防止、解消活動に従事する専門家、識者、②既存のギャンブル被害を経験した者、③その家族、④ギャンブルと依存症に反対する会の推薦者から30名以上採用すること。
3.カジノ管理委員会規則等へのパブリックコメント
  2021年までにと予定されている331項目の政省令、委員会規則については、全国で説明会とパブリックコメントを行うべきである。もとより、これについては国会審議を経ることとする。

第2.基本方針(国土交通大臣)の策定について
1.誘致自治体の整備法策について全て情報公開(HP化)の下に行うこと。以下同じ。
(1)誘致自治体(都道府県と市町村)の住民投票での同意を得ること
(2)誘致自治体の隣接自治体の議会の同意を得ること
2.誘致自治体の事業者選定、公募、決定手続について
(1)内外の事業者の非適格業者を排除すること(海外を含めギャンブル依存症を生み出した業者、汚職業者を含む)
(2)公募事象者について応募・公募・決定についてのパブコメ実施と公正さ確保について自治体の説明責任を果たすこと
(3)公募と入札(必ず3社以上)の手続の公正さを確保すること
(4)公募・入札についての異議申立手続を何人にも認めること
(5)自治体の決定は行政処分として取消訴訟を可能とすること

第3.国のカジノ特区の選定手続きについて(法5~14条)
1.国のカジノ区域整備計画の自治体の申請と認定申請について
  申請書類の公開と市民らからの意見聴取義務(パブコメ)及び何人にも異議申立てを認めること。
2.大臣の(国内3カ所のカジノ特区)認定理由の公開とカジノ管理委員会の意見、自治体の公開
3.他の自治体を含め何人にも特区認定への異議申立手続、取消訴訟を認めること
※認定区域の運営事業者の義務(15~19条)、運営事業者の監査及び会計(20~28条)、事業者の監督等(29~34条)、計画の認定の取消(35,36条)、認定計画の実施状況の評価についてはより具体案を示された後に第二次意見として述べる。

第4.カジノ管理委員会の業者へのカジノ免許や条件について
1.個別業者の応募について詳細計画(運営と資金、弊害除去の具体策を含む)を付した免許申請を求めること、業者の免許申請を全て公開すること(データの企業機密は認めない)
2.免許付与に対し、何人もその不法・不当を理由に事前に意見申立・異議申立を可能とすること。申立期間は申請公開後3ヶ月以上を設け、その間決定しない。
3.委員会の免許と理由の公開
  免許は行政処分とし、申請人だけでなく利害関係人や住民も取消訴訟の対象とする。
  この行政処分について執行停止手続も認めること。
※依存防止のための措置、入場規制等(167~234条)関係については、具体案を示された後に第二次意見でさらに追加する。

第5.IRカジノで弊害を出さないための条件と方策・提言―カジノ管理とカジノの諸条件について(私たちはIRカジノに反対である。しかし、現実には法令の整備が進んでおり、これを考慮してカジノで被害を出さない、少なくするための案について考えたものである。)
1.入場者規制
(1)外国人来客のパスポートチェック記録、ギャンブル依存など不適格者チェックのための入場者への質問カードと記録化。
カジノへの入退場とチップ交換までの記録を全て保存すること。
(2)日本人等入場者については必ずマイナンバーカード及びギャンブル依存など不適格者チェックのための質問カードで入退場チェックし、住所・氏名とともに全て記録化すること。
(3)入場者は25歳以上とし、未満者は見学者としても入場させないこと。(条例で厳格化)
(4)質問カードで過去のギャンブル歴を提出してもらい、ギャンブル依存の疑いのある者には、カジノに常在する依存症専門医師の問診カードで判定すること。
(5)不審者、暴力団については入場を禁止し、警察等のチェックを受けること。
2.カジノでの「チップ」等の取扱い
(1)チップ交換(現金のみ)を厳正にし、客の勝敗は個人ごとに記録で把握できるようにすること。カジノ内でのチップの贈与ないし取引は脱税やマネーローンダリングとなるので一切禁止すること。
(2)現金からチップへの交換は、1人1日最高100万円とする。(カード、信用取引は禁止)
   VIPルーム、コンプ(RBF)や仲介(ジャンケット)も禁止する。複数日にわたる場合もチップ交換は月500万円、年1000万円を限度とする。これは、事業者の略奪的ギャンブルを防止するものである。(事業者の責任でのギャンブル依存防止)
3.IRでの金銭の貸与とATMも禁止すること。
4.脱税とマネーローンダリング(資金洗浄)の禁止と防止策
(1)個別賭けごとに記録、録画し、税務当局が調査し裏付けを求めうる。
(2)カジノゲームで勝った者に所得申告を義務付け、脱税しないことの誓約書を出させること。
(3)カジノ入場者のチップの持出し禁止、カジノ内外でのチップや現金のやり取り、貸し借りは全て罰則で禁止する。
(4)入場者が1ゲーム1回勝金25万円以上を得た場合(チップで計算)、1日に50万円を得た客ごとに一時所得として記録するものとする。
   入場者のチップは、ゲームの記録カードを添えてパスポート、マイナンバーを記入しなければ払戻しできないようにする。
(5)海外客の居住国、本籍国からのチップ交換・収入所得照会には全て応じる。
5.事業者のギャンブル依存の防止責任
   カジノ事業者は、客の現金からチップへの交換について、1日100万円、また複数訪問日でも月計500万円、年計1000万円を超えないよう、そのギャンブル依存の防止のために個別告知して抑制を求めるものとする。その記録の保存義務も定める。
6.カジノを除くIR内でのギャンブルゲーム機の禁止と、カジノにおける機械ゲーム機(EGM)の射幸性抑制
  EGMは、機械そのものが客を長く「とりこ」にする機能を持っているので、管理委員会の許可を要するものとする。
7.カジノ・ギャンブル依存防止と適正確保の現場のシステム
   カジノ入場口にギャンブル依存の防止相談所を設置する。国・自治体は、カジノ内と外にギャンブル依存や負けた人への無料相談窓口(医師、弁護士、被害者団体)を公設する。公設費用はカジノ収益金からとする。
8.違反行為への対処
   法令、カジノ管理委員会の定めたカジノ事業の違反には、1ヶ月~1年の営業停止ないしカジノ事業の取消処分を行う。事業者の異議申立期間も営業停止とする。
  何人もカジノ事業者の違法営業について是正申立てができ、これら申立てがあった時は速やかにカジノ管理委員会は調査し、3ヶ月以内にその結果を公表する。
9.カジノの住宅、教育、養護、医療福祉施設との距離規制
  IRカジノの賭博施設であり、IRカジノが一般住宅、教育施設(学校、図書館等)、医療福祉施設から直線距離で3km以内には許可しない。
10.IRカジノの存在、勧誘を示す広告・案内の禁止
(1)IRの施設においてカジノの存在を示す広告、ネオンサイン等は一切しない。
(2)IRカジノの案内広告の禁止(テレビ、ラジオその他広告媒体を含む)
11.カジノ施設の入場前の警告・注意
(1)カジノへの入場条件、ゲーム可能条件の明示
(2)カジノではハウスエッジ等客全体が損失をすることを明示(客が負けるリスクの告示)
(3)不適正な資金によるゲームの禁止
(4)勝った場合の納税の義務、脱税の場合のペナルティの告知、勝った客への収入額の告知
(5)ギャンブル依存者、破産者(債務超過者も含む)への参加禁止と警告
(6)家族からの抑制通知でその理由を示さず入場を断ること
(7)客がギャンブル額を自己抑制できるよう入場者カードに額の記入を求めること
(8)ゲームの制限規制があり、チップの交換規制のあること
(9)その他カジノでのルール遵守の誓約書提出
12.その他
  ギャンブルによる脱税、マネーローンダリングの規制は、カジノ管理委員会の規制だけでなく、ギャンブルによる所得全てについて源泉徴収をすることの制度化が必要。

  

ギャンブル広告

 企業の広告説明には、営利目的からの誇大表現や嘘が入りがちで、宣伝や広告コピーには人を巧みに騙すものが多い。しかも、社会の眼が厳しくなると、本音や真実を述べているようでいて、巧みに自らに有利な宣伝をするところも生まれる。企業の「コンプライアンス」や「社会的責任」でさえ利用される。
 東洋儒学的にいえば“自ら善・良と名のらずとも善をなす”のが「徳」といえる。だが、営利企業の広告は資本主義・自由主義競争の枠内での横並び――その意味で競争条件のカルテル志向――であるものが少なくない。ひとり善をなせば他の営利企業に負けるので、一社で行うのは難しいのである。
 前置きが長くなった。ギャンブルの世界でも宣伝の言葉だけは巧みになっている。ギャンブル産業・企業の言葉の中の「美言」「善言」「巧言」から本音や真実度、背景を考えてみたい。

1.海外カジノがよく使う美言――責任ギャンブル、責任ゲーミング
  大阪の夢洲など日本に進出を企図する海外カジノ、IR企業らはしのぎを削っている。その最大の美言は「IR(カジノ)が地元の経済や労働需要を活性化させ、観光に貢献する」というものだ。この言葉は“嘘”である。
  IR推進論者は、(1)自らその事業で利益を得る者、(2)その事業者から経済的援助を貰っている者<ひもつき>、その期待者、(3)IRカジノ事業周辺での営利企業が多い。(4)政治・行政関係者もこれによる利権、カネ、モノ、支援を期待するものが多い。
  カジノは客の収奪金で成り立つものだから、「IRカジノで経済が潤うなど」という言葉は、特に大嘘といえる。

2.しかし、進出を狙うIRカジノ業者の美言の中にも、良く言えば、一定の真実を語っているものがある。
  ラスベガスで大IRカジノを展開する企業の一つに、シーザーズ・エンターテインメントがある。同社はIRカジノ事業において、大阪で開かれたIR見本市や出店宣伝の場で、自らはギャンブル依存に対して他社よりも特別の配慮をしていると宣伝し、責任ギャンブル・責任ゲーミングについて個別のリーフレットも配布していた。
他社らがカジノの本質を隠して専ら「IRは大阪経済を潤す」と喧伝し、あまり触れていないギャンブル依存や社会的弊害の除去についても、より詳しくコメントしていた。
  以下、同社リーフレットの記載を中心に見てみよう。入手したのは①「責任あるゲーミングとはやめどきを知っていること」、②「ハウス・アドバンテージ オッズについて」という2点である。

 ①「責任あるゲーミングとはやめどきを知っていること」にはこう書かれている(一部抜粋)。
シーザーズは、すべてのお客様に、計画的に予算の範囲内で楽しむエンターテインメントのひとつとして―ディナーに行く、映画を見る、スポーツを観戦する・・・これらとなんらかわらない感覚で―、カジノを楽しんでいただきたいと思っています。しかしながら、責任あるギャンブリングができずに問題を抱えるお客様もごくまれにいらっしゃいます。
このパンフレットにある設問に答えることで、ご自身やお客様の大切な方が問題を抱えていないかどうかを判断することができます。

ギャンブリングが問題となるかもしれないとき
これは診断のためのテストではないため、診断を目的に使用しないでください、
ギャンブリング・ヘルプラインに電話をくださった方の多くが、下の質問のうち1つ以上に「はい」と答えています。
1.仕事の時間をギャンブリングに費やしたことがありますか?
2.ギャンブリングのせいで家庭生活がうまくいっていませんか?
3.ギャンブリングがあなたの評判に影響を及ばしていますか?
4.ギャンブリングをした後でひどく後悔したことがありますか?
5.借金返済など金銭的な問題を解決するためにギャンブリングをしたことがありますか?
6.ギャンブリングのせいで意欲や効率が落ちていますか?
7.負けた後、すぐに戻って負けを取り戻したいと感じますか?
8.勝った後、ゲームに戻ってさらに勝ちたいと強く感じますか?
9.お金がなくなるまでギャンブルをすることがよくありますか?
10.ギャンブリング資金を調達するために借金をしたことがありますか?
11.ギャンブリング資金を調達するために不動産や自分の所有物を売却したことがありますか?
12.「ギャンブリング用のお金」を普通の支出に使いたくないと思いますか?
13.ギャンブリングのせいで家族の幸せをないがしろにすることがありますか?
14.予定の時間を過ぎてもギャンブリングを続けることがありますか?
15.心配事やトラブルから逃れるためにギャンブリングをすることがありますか?
16.ギャンブリング資金を調達するために違法行為を考えたことや、実際に行動に移したことがありますか?
17.ギャンブリングのせいでなかなか眠れないことがありますか?
18.口喧嘩や失望、欲求不満のせいでギャンブリングをしたくてたまらなくなりますか?
19.何かラッキーなことがあったら、お祝いとしてギャンブリングをしたくてたまらなくなりますか?
20.ギャンブリングのせいで自暴自棄になったことがありますか?

今から20年以上前に私たちはカジノ企業として初めて責任あるゲーミングプログラムを策定しました。私たちはすべてのお客様にシーザーズで素晴らしいひとときを過ごしていただきたいと思っています。これを実現すべく、当社の従業員には責任あるゲーミングに関する教育を行うとともに、お客様に責任を以てプレイしていただくようお願いしています。
 しかし、何故かそのゲーム(ギャンブリング)に夢中になる者、のめり込むものがいるという。このギャンブリングをめぐる依存症を企業として自認しているとはいえよう。同社がどのようにして問題あるギャンブルを防止しているのかの具体例やそれによって効果を示したかまでは書かれていない。

②「ハウス・アドバンテージ オッズについて」(一部抜粋)
 スロット、クラップス、ブラックジャック、ルーレット―
 どのようなゲームであっても、忘れてはならない大切なことがあります。
 それは、ゲームの結果はランダムであること、そして常にカジノ側に有利に働くものだということ。
 ゲームは、プレイヤーであるお客様がお金を払って楽しむ娯楽です。
 ゲームを「お金を稼ぐ手段」と考えないようにしましょう。

 ハウス・アドバンテージとは
 カジノゲームには、「ハウス・アドバンテージ」が存在します。ハウス・アドバンテージとは、カジノ側が勝つ可能性がどの程度あるかを示したもので、プレイヤーの賭け金に対する割合で表します。例えば、ハウス・アドバンテージが5%のゲームでは、プレイが進むにつれプレイヤーは賭け金100ドルにつき平均で5ドルを失うことになります。ハウス・アドバンテージは、地域、カジノ、ゲームによって異なります。プレイヤーの賭け方やスキルによってハウス・アドバンテージが変わる可能性のあるゲームもありますが、どんな場合でも多かれ少なかれプレイヤーよりもカジノ側に有利に働くことを知っておく必要があります。
 長くプレイすればするほど、カジノ側が勝つようになっています。このことを認識し、ご自身の限度額を超えない範囲で責任を持ってゲームをお楽しみください。

 このようにカジノでのギャンブル(ゲーム)について、基本的に客が不利で負け、カジノが有利で勝つことを明記したリーフレットは、IR業者のものとしては初見だった。カジノのギャンブルについて本質を率直に説明している。一方、残念ながらMGMリゾーツなど他社のパンフは“カジノは楽しいところ”とのイメージ広告ばかりだから、これは「良心的」とさえいえる。
 「責任ギャンブリング」「責任ゲーミング」(RG)は、客の責任を前提とした言葉だった。本紙でも21号3頁、39号10頁、40号10頁などでこの「RG」という言葉の危険な使われ方について述べた。IR企業やIRを推進する行政、そして誤った学者らが、ギャンブル依存を自ら克服しようと活動されているGAの方々の運動の努力を無視するような、悪ノリした「RG」の使い方を厳しく批判してきた。
 この点を考えると、今回のリーフレットが「責任あるギャンブリング」について述べるところは、昔よりマシになっている感がある。
 しかし、①現在もギャンブル依存をなくす・ストップするという点で客の自己責任としていること、②ギャンブル依存を自ら招き拡大する事業をしていることに、本質的な責任を示していない。
 これでは依存性薬物を売っている業者の責任回避広告とどう違うだろうか。

投稿       嫌いな松井一郎をほめてみよう

1.先日の新聞、JTが1面に「嫌いな人をほめてみよう」という広告を出していました。「タバコは嫌い」にかこつけた見直しを求める大手広告会社の企画にように思えます。「嫌いなところにもいいところを見つけてみませんか。そんな小さなやさしさから世界はちょっとずつ変わっていくと 私たち(JT)は信じています」とある。
  「ひとときを想うJT」なんて、そんな毒を売るタバコ企業の説教に喜ぶのは、広告会社と広告収入を得られる広告媒体ぐらいでしょうが、私が日ごろより嫌っているカジノに狂奔する松井一郎大阪市長についてほめるところはあるのかと考えてみました。

2.松井氏はいうまでもなく維新橋下徹の筆頭子分で、今は自ら維新党首としてよくメディアに出ています。しかし、保守ポピュリストで個人の宣伝パフォーマンスが過ぎ、大阪市長の記者会見の場を私利私党利用するところが大嫌いです。
  今年に入っても、
(1)愛知県での「報道の不自由展」で従軍慰安婦をイメージさせる少女像展示に彼は噛みついていました。彼ら維新は、そもそも「旧日本軍が従軍慰安婦をつくらせたり関与したことはない」と批判していました。この考え方で維新はサンフランシスコ市にある少女像を撤去させない市とは友好関係は持てないとし、友好関係を破棄したのです。この点、彼が従軍慰安婦がなかったとする根拠として公言したことに私は呆れました。
   実は、日本軍が従軍慰安婦を生み育て、現に士官、下士官、兵隊に割り当て提供していたことは旧日本軍(現防衛省)の資料にもあり、その存在を証明する証言や証拠は“山”とあるのです。それをなかったと信じたい維新松井氏は、それを見ようとしないのです。
   そして、市役所の記者会見場で、愛知県が支援した「展覧会」を攻撃したのでした。こんな松井氏をほめるとすればどうすればよいのでしょうか。
(2)最近では、福島原発の汚染水等の海洋投棄問題について、福島県やその地元首長からも相談を受けていないのに、「水で薄めて海洋投棄すればよい。大阪湾で引き受ける」と発言しました。
   この海洋投棄には韓国も反対しており、国内のみならず国際的にも十分な合意が必要なのに、一市長が大阪湾投機を発言するのは市長の立場を逸脱しています。汚染水を陸上タンクで保管し続けている政府への「あてこすり」の右翼発言であることは明白です。
まして内海で拡散しにくい大阪湾に持ってくるというのは、自分は福島原発災害のことを親身に考えているが、他の市民は知らん顔だという思いがあって、一発啓発してやろうというポピュリズム発言です。事実、松井氏は、大阪湾投棄に反対する市民の動きについて、こんな反対市民は原発被害に遭った福島県民のことを考えていない連中だと、市長の立場でまた非難しました。
しかし、世界中の良識を集めても、福島原発事故の汚染処理水をわざわざ大阪湾に運んできて捨てるという案は出てきません。大阪市民だけでなく府民、兵庫、和歌山、徳島など隣県の人々の意見を聞かずともよいというような意見も出ません。
まさに松井氏は、オレはいつも正しいことをキッパリと言っているという自画自賛でしかないのです。こんな松井氏をほめるとすればどうすればよいのでしょうか。
(3)そして、松井氏は、夢洲カジノを2024年開業させるとして、①国の法的整備手続、②大阪を含む市民の合意形成をも無視して、全て前倒しで手続きを進めています。
   ①の法的整備は、2020年春までのIRカジノ基本方針の決定を経てはじめて、大阪府市の実施方針の決定やIR事業者の募集、選定手続きが可能となります。しかし、維新は「国の手続は遅い。これでは2025年万博前の2024年IR開業はできない」と、独自に前倒し手続に入っているのです。
   もとよりカジノ導入には大阪でも反対の声が多く、導入をめぐる合意形成は全くできていません。これでは松井氏が自ら集めた御用委員にまとめさせた基本構想案のスケジュールさえ無視することになるのです。
   現在松井氏とその後輩の吉村氏がしているIRカジノ推進は、カジノ実施法の法的手続きの無視と自己流前倒しでしかないのです。
   さらにこれも驚きましたが、市の環境アセスメント条例によって事業者に課せられている環境影響調査を、IR事業者の公募もされていない今、府市が費用を立て替えて代行すると発表しました。この手続きは、本来、IR事業者が正式に選ばれた後にアセスメント(環境影響評価)を行い、市に報告書を提出するというものです。しかし、正式選定後にやらせていたのではIRカジノの建設の時間が不足するとして、府市が自らの費用で事業者のアセスメントに必要と思われる作業を予めしておき、事業者選定後、その事業者に費用を請求するというのです。
   これでは、内々本命となる業者を考えながら(本当は通謀しながら)やるというものです。参入業者は法的に確定していない(辞退するのももちろん自由なのです)段階では、計画建物も決まっておらず、十分なアセスメントはできません。これは、松井氏らが意中の事業者(噂ではMGMリゾーツとオリックスの共同クループ)と通じていなければできることではありません。
(4)IR用地は、これまでコンテナヤードにするとして、ゴミや残土等での埋立による土地造成が一定進んできた場所です。IRリゾートの巨大なMICE施設やカジノ場を含むリゾートホテルなど多層階建物の建設など全く想定されていなかったところです。
   しかし、松井氏は、2025年万博のために巨大な夢洲駅の整備に205億円をカジノ事業者に出させることを公言している手前、その本音としては早く事業者を決定しないと駅の整備や浮体構造の夢舞橋の拡張も間に合わないと考えているのです。すなわち、2024年中の日本第1号となるIRカジノ開業という計画を確定のものとし、海外カジノ資本の力も得なければ、夢洲開発ができないと焦っているのです。
   松井氏の焦りは勝手ですが、だからといって法的手続き、住民の合意形成、IRカジノに伴うギャンブル依存症など弊害除去の確保、その他を後回しにすることは許されません。
(5)IRリゾートは、公表されているところで収益の8割がカジノ(賭博)収入に依拠します。そのカジノ収入とは、多くの日本人も含むカジノ客がそこで「負ける」金そのものです。
   このようなカジノ誘致計画は、維新の“親分”といわれる橋下氏以下松井氏らが2010年来推進し10年になりますが、こんな法定手続無視、ルール無視の松井氏を好きな人、ほめる人などいるのでしょうか。ヤクザな人かカジノ博打場を早く作れという人以外考えられません。
   私がヤクザな博徒になれば、こんな立派な遊び場をよく作ってくれたとほめるでしょう。そのとき私は自らをヤクザとは自称できないので、自分も多くの人から嫌われる人になっているでしょう。
(6)実は2025年万博予定地は、またその大半は埋立中の海面ですし、そこでの施設計画はBIEへの申請時には何も決まっていません。夢洲は災害対策もとれておらず、大阪府市民はもとより国内、そして国際的な参集客の安全は確保されていません。

コラム      「菅官房長官、カジノは筋悪だよ」
 こう話すのは、横浜荷受企業の藤木幸夫会長(89)だ。(『文芸春秋』11月号 162頁より)
 彼が、当初賛成していたカジノに反対するようになったのは、ギャンブル依存症など被害を詳しく知ったからという。彼は、水上学園という家庭崩壊した子供施設の支援もしており、そこにはギャンブル依存が家庭崩壊の原因となった子がいる。
 林市長も選挙時にはカジノについて「白紙」としていたが、8月22日、突然に誘致を表明した。これには、横浜を地盤とする菅官房長官とその上の安倍総理の力が大きい。
 安倍総理と米トランプ大統領の蜜月関係は広く言われるところだが、そのトランプの2016年大統領選で22億円(2千万ドル)を出して支援したのが、米カジノ企業のラスベガス・サンズ、アデルソン会長だ。トランプ当選後、安倍総理はソフトバンクの孫とアデルソンの伝手で、いち早くトランプと会えた。これらアデルソン―トランプ、安倍、菅、林のラインがあり、林市長の下でカジノ計画が進んだのである。横浜市では9月、IR費用として2.6億円の予算が提出された。
 藤木の反対は「地価を上げて補償を上げるため」との陰口もあるが、藤木は「私の不徳」とし2兆円でも積んでくれれば意見が変わるかもと冗談を言う。
 この小稿は、横浜の政財界も暴露しており、ラスベガス・サンズが8月に夢洲から横浜・東京に拠点を変えた事情も判る。

『改正法律和解』
 表題は、明治初期に作成された番付表で、当時の刑罰を整理したものである。役人を殺した者は「斬罪」、強盗傷人や役人を打傷した者は「絞罪」といった内容で、梟首、斬罪、絞罪、懲役、また罰金は千円から整理されている。
 この中で賭博は懲役1年半とし、博徒にサイやカルタを売る者も同罪とある。
 江戸時代の処罰を引き継ぐもので、官員重視、尊属、男優遇の処罰例である。

「賀茂の川 賽の目 山法師」  白河上皇
 平安時代、白河上皇は後三条天皇のあと18歳で皇位を得る(1072年)。時は藤原氏が摂政や関白となる藤原時代であったが、源義家が将軍職に就いていた。
 1086(応徳3)年、白河天皇は譲位して8歳の堀河天皇を即位させる。自らは「上皇」となり、ここに院政が始まる。白河上皇は1096年に出家して「法皇」となり、鳥羽天皇時代も院政をふるった。そして1129年に死亡し、3代にわたる白河院政は終わる(その後は鳥羽天皇が上皇となる)。
 長々と白河院政時について述べたが、この権勢を誇った白河上皇が、賀茂川の洪水と賽の目と山法師(比叡山延暦寺の僧兵)は自分の思うようにできないと言ったと伝えられている。
 賽の賭け事は、中国より伝来した雙六から平安時代に宮廷の賽遊戯となって広がっていった。知識層の僧にも広がり、賭博禁止も定められている。
 「梁塵秘抄」(後白河法皇が集成した歌謡集 平安末期)には、博徒となってギャンブル依存症になっている息子を心配する今様歌謡が収められている。
「我子は二十に成りぬらん 博打してこそ歩くなれ 国々の博党に 
さすがに子なれば憎かなし 負かいたまふな 王子の住吉西の宮」

ギャンブルNEWSピックup (2019.10.2~24)
2019.10.3 ヤフー ツーリズムEXPOジャパン、大阪開催で見どころ発表「IRゲーミングEXPO」など
  10.4  ヤフー  横浜市民が「カジノ」反対の理由~ 「ギャンブル依存症」製造施設?
      ヤフー  MGMリゾーツ、遺族らに和解金最大8億ドル ラスベガス銃乱射事件
      週プレ  カジノ会社が「横浜F・マリノス」を買収する?
  10.5  神奈川  「IR誘致を憂慮」決議案、鎌倉市議会が否決
  10.6  ヤフー  今や馬券売上の約70%、ネット投票の利点は反省できること
  10.7  ヤフー  パチンコ・パチスロの今 規制前より「確実に負け続ける」リスク高まる
  10.8  神奈川  「横浜・IR誘致阻止」団体が発足 住民投票目標、実現には壁も
      神奈川  IR「誘致賛否聞く段階でない」 市民説明会で横浜市
      西日本  「もう、死のう」ギャンブル依存に苦悩…仲間に支えられ回復の道へ
  10.9  <当会 会報第83号 発行>
北海道  苫小牧のリゾート投資増額2500億円 当初見込みの4倍超 IR候補地近接
  10.10  ヤフー  横浜カジノ計画を止めるための切り札、「リコール運動」の始め方
  10.12  神奈川  「IRなぜ必要か」横浜市が市民説明会、12月に6区で
      ヤフー  ストレスと依存症の深い関係 きっかけは日常の中に
  10.13  ヤフー  年末は「闇パチスロ」が跋扈! 客も逮捕されるため要注意
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  10.23  ヤフー  日本のマネーを狙う 「カジノ」の知られざる実態
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      ヤフー  森永卓郎が解説~横浜のカジノ誘致と日米貿易交渉の深い関係性
      HBC  苫小牧でIR説明会 市議会で誘致推進の決議案可決の見通し
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      静岡   磐田市社協職員が1200万円着服 管理口座から不正出金 ギャンブルなど
  10.24  YTV  「ツーリズムEXPO」IR関連の20団体が出展 各事業者しのぎ削る

             


1.カジノ万博公金差止訴訟  
次回期日  11月29日午前10時30分 ※変更になりました※
令和2年1月22日 午後2時00分 1007号法廷

2.ギャンブルリーフレット配布差止訴訟
次回期日 令和元年12月24日 午前11時30分 806号法廷


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◇◇ギャンブルオンブズ4コマ漫画◇◇
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posted by inoue at 14:37| Comment(0) | 会報 | 更新情報をチェックする
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