2019年03月12日

なくそう!ギャンブル被害 会報第76号

【目次】維新首長とカジノ推進局/事務局だより:万博公金差止訴訟提訴、IR施行令案パブコメ提出、総会開催案内/コラム:安倍内閣の依存症対策、「2025年日本国際博覧会協会」発足、競馬・競輪・競艇考「競」か「狂」か、キャッシュレス推進と公営ギャンブルの脱税、セロサムでない客/カジノギャンブル百人一首(1)/書籍紹介/ギャンブルオンブズ4コマ漫画/NEWSピックup

維新首長とカジノ推進局 ―「賭構想」の両首長の退場を!

1.2017(平成29)年4月3日、松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長は、大阪府・大阪市IR推進局(以下、IR推進局)を設置した。このIR推進局は、大阪市港区夢洲へIRの名の下、一大カジノの海外事業者を誘致することが使命である。IR推進局職員は、自らの判断で行動するのではなく、維新代表の松井の命令で動く行動隊である。
  国の今後の予定としては、本年7月に「カジノ管理委員会」を発足設置、同委員会合意による規則整備、そして7月以降に国交大臣による基本方針などが続く。
  しかし、IR推進局はこの国の動きを無視する形で、本年内にも夢洲のIR事業者を前倒しで決定しようとしている。地下鉄夢洲駅付近の整備のため、特定の海外事業者に200億円余の負担を要求し、それを条件に事業者選定をしようとしているのだ。
  政府国交省の進行予定では、2020年度以降に国のカジノ区域整備計画に基づき都道府県より開設の地区認定申請を受け付け、2021年度にようやく国内地区3ヵ所が認定されることになっている。
  大阪府市は万博との一体推進のため、安倍政権のスケジュールさえ待っていられないというのだ。ここには安倍総理・官邸レベルとの間で、松井・吉村は国のスケジュールを無視してよいという“通謀”がある。
松井は推進局職員には海外事業関係者との接触を厳禁する一方で、自らだけはラスベガスのウィン・リゾートGCOらと親しく面談を繰り返ししているのである。

2.まさに、IR推進局は、松井の命令の手足となり、いわばカジノ推進のための「突撃隊」と化している。実際にIR推進局の職員と話してみて感じたのは、彼らは自らのIR推進手続が大阪府や大阪市の本来の公共使命に適合しているかどうかについて考えようとしていないことだ。地方自治体の他の事業とIRの重要度について比較判断さえできなくなっている。まさにIR推進の目的だけを命じられたロボットと化したのがIR推進局である。
  もし、府市職員が住民福祉という本来の府市の使命を考えるという良識を持っておれば、IRカジノをかくも先行させることについて疑問が生じるであろう。国がまだ正式に決めてもいないのに、2年も先行してカジノ事業者を選定するなど、その異常性がわかるはずである。しかし、維新松井を「総統」であるかのように考える職員にとっては絶対の命令なのであろう。
  もとより、今の日本で松井が総統になれる訳もない。IR推進局はナチ党のSA(突撃隊 1921年設立)でもなければ、SS(親衛隊 1923年設立)でもない。

3.維新は、万博やIRでの経済成長の夢をいう巧妙な宣伝で大衆を煽り、東京に対抗する大阪都構想の夢で選挙をしようとしている。都構想での公明党との不一致を理由に、驚くべきことに府と市の同日首長選に出るという。
  しかも、辞任して再当選してもわずかな残任期しかないという公職選挙法に逆らうため、松井は大阪市長選に、吉村は大阪府知事選にタスキ掛けの立候補をしてそれぞれ向こう4年間の体制を維持しようというのである。
  この法の建前を無視した私的政治利用のための任期中途辞任とタスキ掛け立候補による同時選挙は、実は大阪夢洲の賭構想や同様の手段をとる府市国際博事務局の今後を大きく変えうる。もし、府市首長のいずれかでも維新でなくなれば、少なくとも現在のようなカジノはストップする。維新首長の落選がカジノ反対運動の勝利となる。大阪府知事・大阪市長選は、維新にとってはわかりにくい都構想への揺さぶりの目的があるが、市民にとってはカジノ反対とギャンブル依存症をなくすための斗いになる。
  こんな恣意的なカジノ首長には退場していただくより他ない。

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1.大阪府知事、大阪市長に対し、カジノ万博公金差止等を求めて提訴 
  先に報告のとおり、平成30年11月20日付にて大阪府及び大阪市の各監査委員に対し、万博に関する公金差止等を求める住民監査請求を提出した件、大阪市は平成31年1月17日に却下、大阪府は2月3日に棄却の結果となりました。
  これらを受けて、2月15日付にて大阪市長に対し、2月28日付にて大阪府知事に対し、それぞれ住民訴訟を提訴しました。事件番号は(市)平成31年(行ウ)第19号、(府)平成31年(行ウ)第31号で、いずれも大阪地裁第2民事部係属、同時審理(初回期日:4月12日午後1時20分 1007号法廷)となりました。是非傍聴にお越しください。
皆様からのご支援によって訴訟を維持しています。ご賛同いただけます方にはカンパ御協力をどうぞよろしくお願いします。 (りそな銀行 北浜支店 普通0115719 口座名義:ギャンブル被害をなくす会)
  両件とも訴状の基本的なところは同じですので、大阪市事件分のみ紹介します。
訴   状
平成31年 2月15日
大阪地方裁判所  御中
                          原告ら訴訟代理人弁護士 井上 善雄

請  求  の  趣  旨
1.被告は、2025年日本国際博覧会を推進するための公費支出及び建設費用等の公費支出を差し止めよ。
2.被告は、松井一郎及び吉村洋文に対し、各自金2億2927万6000円を請求せよ。
3. 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請  求  の  原  因
第1.当事者
1.原告らは大阪市民である。
2.被告大阪市長吉村洋文は、大阪府知事松井一郎と共に、国際博誘致の事務局をつくり、大阪市が産業廃棄物などのゴミ等で埋め立てて造成した土地である大阪市此花区夢洲地区(以下、夢洲という)に、国際博覧会条約による2025年国際博覧会(以下、万博という)を誘致すべく2016年以来活動してきた。万博は開催期間わずか半年で、閉会後は会場施設を撤去するというものである。
  松井と吉村は、その誘致活動のために外遊まで繰り返す等、既に30億円以上の費用を使ったといわれ、今後さらに万博のために千億円以上の支出を計画している。
3.吉村及び松井は、大阪維新の会に属し、共に夢洲に統合型リゾート(IR)の下、府市で「IR推進局」をつくり、「カジノ」誘致を進めている。

第2.万博の推進と濫費
1.夢洲万博計画
(1)夢洲での2025年万博は、要するに春から秋にかけて約半年間開催して多数の人を集め、1250億円の建設費を投じて展示館を施設するというものである。また、大阪市は交通整備等のために730億円を、万博の運営費として830億円を投ずるという。
   これにより、大阪を中心とする観光業、建設業等に有益という産業経済本位の目的から、2017年に入り、松井・吉村は「人類の健康・長寿への挑戦」とのテーマを掲げたり、後に変更して「いのち輝く 未来社会のデザイン」などとの名目で計画を作った。しかし、その本音はカジノの導入にあり、「公衆の教育を主たる目的とする催し」との万博の本来の趣旨からも大きく逸脱したものである。
   そして、万博の計画の報告書案では、「万博婚」「赤ちゃんポスト」「死刑執行の日体験」などを企画したが、その企画は「不謹慎」「ディストピア」との批判を招いた。
   また、同時に作成された関西弁バージョンでは、万博を「人類共通のゴチャゴチャを解決する場」と表現し、「例えばやな 精神疾患」と挙げて、低劣、差別的との批判を招いた。
(2)夢洲地区は、長年にわたる大阪市の産業廃棄物等処理地であり、また港湾用地や環境保全のために将来も必要な予定地である。
   この埋立地夢洲での開催は、位置や地盤沈下を含む土地の性質からして安全性を欠く。特に、日本を襲う巨大台風や南海巨大地震と大津波による被災リスクに対し、半年で来場者3千万人(1日15万人以上)に及ぶ人々の生命・身体の安全を確保していない。
   ちなみに、夢洲は今年9月4日の台風21号でもその上部まで暴風と高潮が襲い、コンテナとトランステナー施設を倒壊させ、護岸上部の施設まで崩壊させた。もし、大地震や大津波が襲った場合には、現在でも進行する地盤沈下に加え、いわゆる液状化等による地盤沈下や地上の展示場を含む建物倒壊の危険性が著しく高く、多くの人命を奪う。
   しかるに、府・市は、この土地上の施設での万博の危険性を隠し、大阪市民・日本国民やパリの博覧会国際事務局(BIE)に対し、調査報告していない。
(3)むしろ、他の立候補地との誘致競争に勝とうとするために、これまで全体で30億円に上るといわれる費用を用いて誘致活動をし、加えてBIE参加国の投票獲得のため、BIE参加国への「援助」の名のもとに総額242億円(100カ国の政府に対し1国あたり2.42億円)を支弁するとした。これにより約30万円で投票権を持てる小国の「買収活動」を行い、条約と国際正義に適う公正な国際競争によってより良き企画でもって開催地を決めるという方法に反する手段をとった。
(4)そもそも夢洲万博の誘致は、松井、吉村首長らが、夢洲をカジノ施設を含むIR用地とするために公共投資をすることを目的としたものである。ところが、このカジノには多くの大阪府民・大阪市民が強く反対している。
   そこで、万博誘致にあたっては夢洲でのIR計画は完全に伏せられた。
   しかるに、吉村市長は、万博誘致投票選挙に勝つと早速、2024年に夢洲にIRカジノを設置するなどとし、すみやかにIR業者の選定に入り、海外IR業者に夢洲駅周辺の開発のため200億円余の負担を求め、それがIR業者選定の条件だとしている。
(5)上記(1)~(4)等からして、夢洲万博計画の実質はカジノ場を設置するもので、公共の利益に反し、府民・市民を欺く無謀なものである。

2.公金支出の違法・不当性
  大阪市の首長は、住民福祉のために府民・市民の税金、財産を預かっており、財政は正しい公共信託に合致してはじめてその使用をすべきである。これに反して夢洲万博誘致は、実質はカジノ目的で公益性を欠き、前記のとおり嘘を重ね、もともと大阪の維新党派が固執して推し進める賭博中心の夢洲カジノ開発への公共投資を究極の目的とするためになされるものである。
  公共の安全を度外視した万博の計画推進は、地方自治法2条14項の「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」、同16項の「法令に違反してその事務を処理してはならない。」に反する。
  また、地方財政法4条「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」、同8条「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。」に反するものである。
  そして、吉村洋文と松井一郎は一体となり、大阪の防災対策さえ差し置いて、夢洲に万博を誘致すべく府市職員の専従事務局(万博誘致委員会)を作って、自らも海外出張その他公費を濫費してきた。大阪市の万博関係支出は公表している範囲でも既に計2億2927万6000円(平成28,29年度決算及び30年度予算)に及んでいる。

第3.監査請求と結果
1.よって、原告らを含む大阪市民117名は、平成30年11月20日、大阪市監査委員に対し、今後の公金の支出の差止めと既に行われた無駄な支出の回復と賠償を、首長の両氏に求める措置勧告をされるよう、地方自治法242条1項の規定により求める内容の監査請求を提出した。
  なお、監査請求書には、「万博をめぐっては、府・市の首長による不実宣伝や違法・不当な点が多く、これらについてはその証拠を追って補充する考えであるので、法242条6項の機会を与えていただきたい。」と申し添えていた。
2.ところが、監査委員は不当な制約をつけて補正を求めたりして、意見陳述と立証の機会を奪った。
  まず監査委員は、11月20日受付の監査請求について、監査事務局を通して請求人らに対し、僅か2日後の平成30年11月22日付で補正を命ずる通知を発送しているが、その補正〆切は11月30日と僅か8日で、実際は通知を受けとれても5~6日での対応を命ずるものであった。
  しかも、ほとんどの請求人ら市民にとっては、その内容は理解し得ない物であった。そのため、請求人らのうち一部は、請求人ら代理人を通して一定の補充申入れをできたが、その他ほとんどの請求人らは、時間的にも検討する機会を持てず補充することができなかった。
  またその後は、なんら具体的な意見陳述の機会も設けられなかった。
  こうして、監査委員らは、頭から本件を審理検討することをせず、平成31年1月17日付で請求を不法に却下した。
3.これらは、市民の権利である住民監査請求権を不当に奪い、または侵害するもので、原告らは多大の精神的被害を受けた。もとより、この監査請求のために要した事務や経費も無駄となり損害を受けた。
  本件訴訟について被告は公費で対応するのに対し、原告らは各人多大の費用を要する。そこで、原告を絞り、住民訴訟を提起する。


2.2月19日、IR施行令案にかかるパブコメを提出

特定複合観光施設区域整備推進本部事務局 御中 
                     ギャンブル依存症を生む公認ギャンブルをなくす会
                
「特定複合観光施設区域整備法施行令(案)」に対する意見

1.まず初めに、今回の意見募集に際して提示されている資料類は、一般市民向けのものとしてわかりやすく説明されたものは2頁分の概要資料ぐらいであり不十分である。パブコメを求める姿勢からして不適切である。
(1)法案そのものが多岐にわたり、委任事項が多すぎる。そのため具体的イメージがつかめず、意見することが困難である。
(2)また、政令もさることながら、カジノ管理委員会が決める内容と共に検討しないと、真実理解し判断することはできない。政令だけに意見を求めているのは不適切である。
(3)これでは国民の意見を聴くというより、「意見を聴いた」という形づくりとして進められているだけである。
(追記)上記意見を一応作成した2月19日になって、2月7日付にて概要の修正がされていることを知った。これは、事務局自身が「概要」からしてわかりにくいことを自認しているものである。ならば意見の受付も延ばすべきであろう。
2.既に大阪府市では、政令さえ決まっていないにもかかわらず、IR計画が決定しているかのように、夢洲へのカジノ誘致の具体的計画を進めている(平成31年2月12日報道)。これは、今回のパブコメや政省令規則を無視するものである。
  この大阪府市の動きは、夢洲カジノに向けて府市に熱心に働きかけるラスベガス・サンズをはじめとする海外カジノ業者の進出構想に迎合するもので、本年にも業者選定を行なおうとしている。このような既成事実で押し通そうと図るかの大阪府市の手法は全く誤っており、手続的に不法である。
  しかし、政府当局及び貴局は、このような大阪府市に対しストップをかけるべきであるところそれをせず、このままではまるでそれを追認するように政令や規則を定めようとするのみで、この点でも不法である。
3.政令は、結局カジノ中心のIRを推進するものになっている。
  MICEも大小さまざまな基準を設定しているが、会議場の収容人数を1千人以上から許容している点(施設全体で2千人以上あればよいとする)は、MICE構想からいえば小さい方で、これでは「MICE」は名のみとなる。
  また、展示場床面積も2万㎡からとしているが、少なくともこれにより3%相当600㎡のカジノを作れるようにしており、将来の日本をミニカジノ場だらけにすることが可能となり、不当である。 (1,2,6条)
4.観光など魅力増進施設については、その施設の内容を民間業者任せにした上、施設は義務化さえされていない。これでは、カジノホテルと提携した観光のみを案内すれば足るものとなり、地域全体の魅力増進にはならない。 (3条)
5.宿泊施設の基準として、客室についてその全床面積合計10万㎡以上などを定める。しかし、これはカジノ客中心のホテルとなるもので、その内容についてIR業者任せにするのは不当である。
  これでは、第二の東南アジアカジノホテルをつくるのかと思わせる。 (5条)
6.特定資金受入業務の残高を1000万円としているが、このような多額の金員を預かってまでギャンブルをさせるべきでない。
  同じカジノ場でのギャンブルの賭額積算合計をマキシム1000万円にし、これに達すれば取引は停止させて退場させ、2ヶ月以上再入場を禁止すべきである。 (11条)
7.IR、カジノに関する広告については、無差別な勧誘につながるテレビ、ラジオ、インターネット、SNSやホテル広告塔など一切を禁止する必要がある。 (15条)
8.現金取引報告の対象範囲として100万円以上としているが、カジノの客と事業者間の現金・チップ交換等の取引は、全てを記録させるべきである。そうしなければマネロンや脱税も防げない。
  ギャンブル依存防止のため、客1個人につき1回50万円以上、1日100万円、1週間300万円、1ヶ月1000万円以上の賭け行為の取引は禁止するべきである。 (16条)
9.カジノ事業者の免許の欠格事由については、カジノ事業者が非違行為を日本国内において起こした場合のみに限らず、同じ事業者(系列グループを含む)の海外での営業における当該行為も違反行為として扱う。そして、欠格ないし営業停止の対象として含めるべきである。
10.その他としては、ギャンブル依存、脱税、マネロン、暴力団排除等に施行令レベルでの言及もない。これら実効的規制の方向も示さずに、施行令だけをスケジュール先行で決定するのは国民無視も甚だしい。


3.第8回総会開催のお知らせ
  日時:平成31年4月4日(木) 正午~午後1時00分
  場所:平和法律事務所 (大阪市中央区北浜1-2-2北浜プロボノビル)
  会員の皆様は別紙詳細をご覧の上、出席について井上までご連絡ください。
コラム    安倍内閣の依存症対策 ―毒を盛り 中毒防ぐ 会議をし―
 2018年10月19日、内閣のギャンブル等依存症対策推進本部(以下、対策本部)は初会合を開いた。HPにはその議事も掲載されており、出席者をみると、副本部長の宮腰担当大臣、依存症の医療部門の根本厚生大臣、競馬の吉田農林大臣、競輪・オートレースの世耕経産大臣、モーターボートの石井国交大臣、パチンコの山本公安委員長、地方財政の石田総務大臣、教育の柴山文科大臣、金融の麻生特命大臣、法対策の山下法務大臣、そして本部長の菅内閣官房長官らの名が並ぶ。たいした取組はないのに、さも取り組み始めたようにキレイごとを述べている。
 10月24日には第1回幹事会があり、本年5月まで各省の局長級による会議が続くとされる。今後、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画案」がまとめられ、パブリックコメント、そして閣議決定と進める既定路線がうかがえる。スケジュールでは5月14~20日のギャンブル等依存症問題啓発週間(法10条)までの「基本計画」を公表している。大山鳴動して鼠一匹の大ボラ依存症対策であろうことがこの進め方からも伺える。

「2025年日本国際博覧会協会」発足
2019年1月30日、「2025年日本国際博覧会協会」が発足した。この協会は、資金不足で財団ではなく社団法人にするともいわれているが、その内容は不明。経団連会長の中西宏(日立製作所会長)をはじめ、関西経済界や府市が役員となり、事務総長は経産省幹部、事務局は現在の30人から80人に拡大予定、2月1日に大阪府咲洲庁舎43階に事務室を設けた。
今春にも運営費の補助措置を立法化し、12月にはBIEに登録申請書を提出するのが目標。提出期限は2020年5月で、同6月BIE総会で承認を貰うという。
この協会の金の面は現段階では不透明で、今後詳細な計画や関係者(国、府、市、経済界等)の負担や予算化が進められるところだろう。既に大阪府市は、2020年300億円の予算化を進めるとも伝えられている。しかし、東京五輪で費用が800億円から3000億円に膨れ上がったように、大阪万博の公費支出も少なくとも2~3倍に上ることが懸念される。(実はこの心配は推進者である松井知事自身が誘致直後に発言していたことだ。)
国、府、市、経済界の役員もその負担する金は、自らの個人のポケットからではなく人の金だ。経済界役員は寄付金集めをこれから行うというが、企業を廻る前に自ら最低1000万円ぐらい自弁すべきだろう。

競馬・競輪・競艇考  「競」か「狂」か
 競(キョウ、ケイ、きそう)の文字は、左右に同じ形を並べたもので、二人が並んで祝(いの)る意味と相争う意味がある。共に成功を共有するのではなく、各人が争い、自分への成功、利益を求める趣旨だろう。たしかに共に目的を達すれば競争にならないから、競には勝負が付いて回るのだ。しかし、馬、自転車、ボート(艇)、オートバイ(自動二輪車)であろうと、勝負がなければ競馬、競輪、競艇にならない。これに金を賭けて、結果によりその利益を配分すると博奕になる。
 競の字について少々こだわるのは、競が共存、共和ではなく競争を専ら意味するからである。よく競馬場は共に馬の競走をゲームとして楽しむところだという説明もされるが、競輪場、競艇場を含めて(最近では場外券売場も)共にゲームを楽しむ人が集まっているのでなく、賭けと金儲け(配当)に狂喜する人ばかりである。
 まさに、競馬とは馬がいかに速く走るかのゲームでなく、どの馬が最も勝つ可能性が高いか、どの馬券を買えば金の配当が良いかを狙うものになっているのである。
 すなわち、単勝レースではいつも最も一位人気の「本命」を買っていれば、配当が良いことへの期待率は一位にならない。むしろ「二位」「対抗」の方が当たった場合の期待額(率)が高いのである(これは統計学の教えるところである)。このため参加客は、競技場に行く前に予想紙(誌)を買い、配点を狙うのである。
 かくて、競馬場、競輪場、競艇場は、競争の世界から金を賭ける狂気の世界となる。その意味で金を賭ける狂馬場、狂輪場、狂艇場となる。その狂気は持続すれば病である。

キャッシュレス推進と公営ギャンブルの脱税
 消費税導入に伴う消費者還元や経済産業省のキャッシュレス化推進が報道されている。キャッシュレス化は不透明な現金流通をなくし、税収向上という長所を強調する意見もある。確かに、個々の取引がデータ記録化され、政府がそれを把握できれば役立つだろう。但し、細部にわたる取引が政府の監視下に入り、税徴収という“正当”な目的であれ全て捕捉されることになろう。
 しかし、キャッシュレス化で脱税を許さないという前に、公営ギャンブルなどは3000万円以上の一時所得をあげた者の8割が源泉徴収もされずに脱税されていることを、まず政府財政当局(税務署)と公営競技を行う自治体が改めねばならない。

ゼロサムでない客 ・・・勝ち負け共にゼロに近づく
 競馬でいえば、中央の賭博開帳者の政府(JRA)と地方の開催自治体は、馬券収入の25%を天引きして収益とし、75%を少数の当せん者に分けるのが“仕事”だ。開催者は必ず収益を得て、馬券購入者は75%の範囲で分け合う計算だから、統計学的にいえば、5回続ければ当初の金の23.7%、8回で約10%、9回で約7.5%、10回で約5.6%となる。
 一般に賭博は、勝ち組と負け組がゼロサム(合計すればプラスマイナス無し)といわれるが、公営ギャンブルは賭博開帳の場で、胴が必ず一定割合を収奪するから客同士も配分金を回数ごとに減らしている訳である。
 宝くじは購入金の45%が当せん者への賞金だから、当たらない人はもちろんゼロであるが、1等当せん者も含め全当せん金は、3回購入し続けると9.1%、5回で1.8%になってしまう。
 まさに、公営ギャンブルは「収益事業」などという美名ではない。消費者(客)の収奪(Predatory Deprivation)する事業である。

カジノギャンブル百人一首(1)
 次の歌は小倉百人一首の歌を本歌とし、まね(money)して創ったカジノギャンブル百人一首です。元の歌の番号順で、元歌も参考に対比してお笑い下さい。(今回は1~20番)

1.あきれたな カジノ法はズサンにて マイナス面はつゆぞふれなし  <安倍のカジノ>
  秋の田の刈穂の庵の苫を荒み 我が衣手は露にぬれつつ       (天智天皇)
2.早すぎて 政省令でIR 弊害無視し 嘘の書く山         <石井大臣>
  春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすちょう天の香具山       (持統天皇)
3.カジノにて さらに増えます依存症 長々し夜を賭けて寝られず   <賭元人麿>
  あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む    (柿本人麻呂)
4.夢洲に打ち出でてみれば賭人を まずは勝たせてワナに嵌めつつ   <IR業者>
  田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ   (山部赤人)
5.ギャンブルに深く嵌まりて泣く人の 声聞く時ぞ 家族悲しき    <ギャノマン家族>
  奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき        (猿丸大夫)
6.盗み詐欺 つかいし金は億単位 カジノで使う 夜はふけにける   <盗納言金持>
  かささぎの渡せる橋におく霜の 白きをみれば夜ぞふけにける    (中納言家持)
7.天下り行く人見れば監督庁 カジノ企業へ出でし先かも       <安倍仲間>
  天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも        (阿倍仲麿)
8.わがカジノ 都構想ともしかと決め 夢洲IR我はいうなり       <橋下徹>
  わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり       (喜撰法師)
9.倫理など うつりにけりないたづらに わが身世にいう病的賭博     <オーノーコマッチ>
  花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに   (小野小町)
10.カジノには行って帰れば離婚だと 知るも止まらぬ依存の館      <ヒグラシ丸>
  これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関     (蝉丸)
11.IR 特区定めてこぎ出ぬと 人多く集め 金のつり場所       <カジノ業者>
  わたの原八十島かけてこぎ出ぬと 人にはつげよあまのつり舟      (参議篁)
12.IRカジノ計画反対の 世論の前にしばしとどまる          <カジノ返上>
  あまつ風雲の通ひぢ吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ      (僧正遍昭)
13.ビギナーズラックより落つ 皆の客 負けぞつもりて不治となりぬる  <ようやるやん>
  筑波嶺の峰より落つるみなの川 こいぞつもりて淵となりぬる     (陽成院)
14.未知の苦をしのぶ破局は何故に 乱れ賭けにし我らも泣くに      <賭博大尽>
  陸奥のしのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに       (河原左大臣)
15.VIP客 サービスしますコンプです 我売り上げの成果上げつつ   <効果適応>
  君がため春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪は降りつつ       (光孝天皇)
16.立候補 カジノ受入れ 賭けの里 待つとし聞かば今すぐ行かむ    <海外カジノ>
  立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む     (中納言行平)
17.智が破れ 理性も効かず依存症 金くれないと他人の金盗る      <賭平>
  ちはやぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くぐるとは     (在原業平朝臣)
18.住之江の北に造りしゴミの洲の 夢のカジノは人目まどわす      <不審な安全性>
  住の江の岸に寄る浪よるさえや 夢のかよひ路人目よくらむ       (藤原敏行朝臣)
19.難波潟埋めて夢洲IR リゾートというもカジノ本命         <ヤクザのシマ>
  難波潟みじかき蘆のふしの間も 逢はで此の世を過ぐしてよとや    (伊勢)
20.わびぬれば今は破局のシーガイア カジノ招きて再生ぞ思う      <宮崎セガ>
  わびぬれば今はたおなじ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ   (元良親王)

書籍紹介
1.月刊誌『DAYS JAPAN』2019年2月号掲載
「大阪万博に踊る愚の骨頂」 斎藤美奈子(文芸評論家)
 “東京五輪だけじゃ足りない!?”として表題の下に夢洲万博を厳しく批判する。
 第1.万博はオワコン(終わったコンテンツ)で、食指を伸ばす理由はない。パリは立候補をやめ、ロシアのエカテリンブルグはプーチンが売り出した工業都市、アゼルバイジャンのバクーは独裁者アリエフが石油マネーを見せびらかしたもの。これらに勝つため30億円をかけて集票した。
 第2.1250億円の会場建設費、500~700億円の駅や橋整備は税金。東京五輪が当初7000億円と言っていたのが3兆円になったように大幅に膨れる。
 第3.万博を起爆とした開発は、大阪に「イベント禍」とIRカジノをもたらす。経済効果は2兆円というが、その根拠はない。一部のゼネコンが潤うだけ。

2.『統計のはなし』 大村 平 (日科技連 2002.5.1発行 1836円)
  内容は娯楽にも及び、パチンコや競馬の統計についても書かれている。
パチンコは、曜日、回数、最大玉数の総計、景品をとった回数、景品と取り換えた玉などの集計データを分析。これらに差はなく、店によっても有意差はなかったとする。 
 競馬ではレースのデータを詳しく集め、馬券購入人気1番~14番(人気最下位)について1着の回数(%)、配当の平均、配当の期待値をそれぞれ計算している。その結果、2番人気の馬が100円に対し92.8円、5番人気が95.6円と高いとする。結局、1番人気はつまらないので2番人気をすすめる。また、連勝複式では8枠で30種(東京)の券のうち、2・3が期待値として大きくなるとする。
これはあくまで統計上の確率と期待値の話であり、結局2番の単勝でも2・3の連勝複式でも必ず儲かるとか、買い続ければ必ず儲けるというものではないとする。

3.『黄昏流星群 虚星の真実』弘兼憲史 (小学館 2019年1月 450円)
  認知症の母が買った宝くじをめぐるドラマを描いたマンガ。母子家庭で育った整形外科勤めの未婚の娘48歳と母80歳、その男関係の話。まず、母が年末ジャンボ宝くじ1等7億円に当せんしたと言いだしたことで騒動が巻き起こる。これまで近づいてこなかった親戚や40年前の金貸しが現れたり、ついには宝くじを盗みに入った強盗に襲われ、母は入院の末に亡くなってしまう。その後、娘は、かつて母の「若い燕」だった現在58歳の男と結婚する。母の遺品整理をしていると、母の認知症ゆえの虚言かとも思われた7億円の当せんくじが本当に見つかる(しかも引換期限5日前)。結ばれた2人は宝くじ当選を内緒にして正月を迎えるという物語。
  認知症や生涯未婚率、男女が競艇で負ける話など多くのトピックスを盛り込み、マンガならでは90頁を20分で読ませる。宝くじ当選という「虚星」に様々な真実の側面があることを描く。弘兼氏はハッピーエンドと男女の恋を描くのである。

4.『宝くじが当たったら』 安藤祐介 (講談社 2015年12月発行 680円)
  宝くじが当たったらどんなドラマが始まるか。3億円ジャンボに当たったらどんなことが起こるかを描いた小説。32歳の「僕」が当選を母に告げると、親戚に広まって家を建てろと勧められたり、寄付金案内が届いたり。そして自宅に放火されて再建し、結局手元に残った金は会社の退職金200万円だけ。
  254頁の単行本の内容紹介はこれくらいにする。実際、宝くじに当たったら騒動になるとして、宝くじ協会は当せん者にマニュアル本を配布している。

5.『賭ける魂』 植島啓司  (講談社 2008年5月発行 720円+税)
  自らギャンブルで100カ国以上を回り楽しむ氏の体験談からなるギャンブル肯定の書。ギャンブルについて様々な視点をもってエピソードや主張をする。人間は(不確実なものも含め)他の力を必要とし、自分のことはわからない。賭ければパラダイス、我々はどこへ行くのかという4章や計36項目の記述は体験も踏まえシニカルである。ギャンブルの実態については詳しい点が多い。例えば、ギャンブルと投資本位の経済は同じ、賭博師といえどカジノのハウスエッジの下では仕組み上必ず負けるし(例えば計算上100ドルが94.4ドルになるが、実際は74.6ドルになり負けるという)、賭けの途中で所持金がゼロになって退場し破滅させられる。それでも「ギャンブルは勝ち負けではない」「勝敗は前もって決まっている」とわかったフリをする。「ささやかな夢の最終項」を読むと、氏はもはや完全に“依存症”を“自白”しているという他ない。

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◇◇ギャンブルオンブズ4コマ漫画◇◇

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ギャンブルNEWSピックup (2019.1.28~3.3)

2019.1.28  共同  IR誘致、3地域(大阪、和歌山、長崎)が申請へ 40自治体は否定的
  1.29  岡山  吉備信金の元職員600万円流用 ギャンブルや借金返済、懲戒解雇
1.30  長崎  IR推進へ協議会設立 佐世保商議所、特別委を改編
      共同  ギャンブル依存症、従業員学んで パチンコホール運営大手5社
  1.31  読売  日本国際博覧会協会30日発足 万博経費2800億円
福島  「パチンコ依存」対策共有 ニラクなど大手5社が共同声明発表
マカオ  ジャンケットプロモーター事業者数6年連続減少 ピーク時半分以下
  2.1   静岡  牧之原市、IR誘致 市長、地元や県に理解求める
      共同  IR、ホテル客室10万平方m超 施設要件、政府が公表
      東洋経済  夢洲(大阪市此花区)万博開催予定地の負の歴史
  2.2  abema  依存症対策に乗り出したパチンコ業界 健全性向上で再びファン増えるのか
  2.12  共同  IRの投資規模は9300億円 大阪府市の基本構想案
  2.13  <当会 会報第75号発行>
  2.15  毎日  万博建設費、初計上 「夢洲」整備に57億円 大阪市19年度予算案
      共同  大阪万博、支出差し止め求め提訴 市民「カジノ目的で違法」
  2.17  ヤフー  世界的な問題に SNSやゲームへの依存から回復する大きなカギ
  2.18  朝日  (社説)IRとカジノ-丁寧な説明はどうした
  2.19  朝日  大阪万博、人工島整備に930億円試算 IR頼みの構図
      神奈川  「育児」「ギャンブル」悩み話し、共感を 横浜でセミナー
  2.20  産経  IRビジネスセミナーに200社、高い関心 和歌山
      HTB  <北海道>高橋知事「IR誘致」に前向き
      産経  米IR大手サンズ、大阪進出へ地元企業と「共同入札」計画
  2.21  共同  万博跡地でF1開催意向 大阪市長、公道を想定  IR誘致前提
      女性自身  アベノミクスのためのギャンブル運用で年金15兆円が溶けた!
  2.23  東洋経済  スマホを「1時間以上」見続ける人が陥る悪循環
  2.25  TV和歌山  「IR」2024年度中の開業目指す和歌山県 来年度予算案に2億4100万円余りを計上 仁坂知事「誘致を止めてしまい投資の機会を逃せば和歌山県の発展のチャンスは失われてしまう」
      ヤフー  競馬史上最高配当!WIN5的中1票で4億7180万9030円独り占め
マカオ  反社会勢力バックのカジノ高利貸しグループ摘発 幹部含む71人逮捕
  2.28  神奈川  IR誘致向け、「推進協議会」発足へ 横浜商工会議所
      産経   IR誘致でクルーズ新時代 大阪・夢洲に大型客船ターミナル構想
  3.3   ヤフー  田中圭参戦でおっさん以外もラブ!?ギャンブルCM人気タレント続々の理由








posted by inoue at 14:01| Comment(0) | 会報 | 更新情報をチェックする
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