2018年09月13日

なくそう!ギャンブル被害 会報第70号

【目次】ギャンブルの脱税防止で依存症をへらす/投稿:「カジノ実施法に期待する者共!」/依存障害シリーズ④ 依存・障害用語辞典(ア~ソ)/コラム:カジノ実施法と新聞社説―社説と脱税への盲点―、パチンコ業界のIRカジノ等海外進出、大阪カジノに反対する市民の会盛会、騎手/書籍・論考紹介まとめ(3)/NEWSピックup /書籍紹介/ギャンブルオンブズ4コマ漫画「還元率って!?」

ギャンブルの脱税防止で依存症をへらす
井 上 善 雄
1.はじめに
  ギャンブルには脱税が伴う(否、必至である)。ギャンブルオンブズマンはこの点を何回も指摘した。ギャンブルは本質的に賭博という犯罪性を持つこと、この犯罪を隠すために真実を隠すこと、賭博により得た所得を隠すということが脱税必至とさせる。
  そして、ギャンブルにともなう収益には、公平・公正に税を徴収する租税法制、システムがないと指摘してきた。
2.現行公営ギャンブルの所得と税制
(1)公営ギャンブル(当せん金付証票法、競馬法、自転車競技法、モーターボート競走法、小型自動車競走法、スポーツ振興投票法)は、刑法上の賭博や富くじであるが、国や地方自治体が税以外の収益を得て、戦後復興など公共事業を行うことで正当化された。
(2)このうち、宝くじやスポーツ振興くじは、収奪率(控除率)が50%を超える一方で、当せん金については非課税とすることが法律に明文化されており、客の側での所得そのものの脱税はないとされる。(しかし、当たり券がこっそり贈与されても、無記名性故に贈与税が回避される。)
   しかし、この立法は政策的には正しくない。くじの50%を超える控除率はくじによる高額一時所得への課税を免除する理由にはならない。むしろ、控除率を世界レベルに低くして、当せん者からは一時所得税を源泉するのが正しいといえる。くじの当せん金に課税する国も多い。
(3)そして、公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレースの4ギャンブル)では、客の馬券、車券、舟券が当選した場合の払戻金はいずれも一時所得とされる(所得税法22、34条)。
   この払戻金の所得は、払戻義務者が公営事業者にもかかわらず、源泉徴収義務から外された(161条1項指定外)。その結果、公営競技の払戻金は、所得を得た者の自主申告納税とされたのである。
   しかし、ギャンブルをする者の自主納税などほとんど期待できないと言ってよい。
   一時所得の計算は、(収入金額(払戻金)-その所得を得るために支出した金額(具体的には当たり券購入額)-50万円)×1/2 である。
   同一年内のハズレ券はもとより、交通費や食費も差し引けない。その上で同一年内の各レースの当たり金(払戻金)を同様に計算して、その年間一時所得とし、他の所得と総合課税で合算するのである(22条)。
3.脱税の恒常化と「容認」
 ギャンブルに投入する金員には、もとより給与その他の正当に得たものがあるが、盗んだり横領・背任による犯罪によって得られたもの、親族から奪ったものも多い。依存を疑われる者は、犯罪だけでなく、自己の家庭生活に使われる資金(年金や生活保護費さえ)も浪費する。すなわち、ギャンブル資金は正しく入手先を説明し正当化できないのだ。
 これらを投入して得た払戻金を特別に計算し、まとめて(日本であれば)翌年3月に申告する者はまずいないと言ってよい。
 政府、自治体、国税局も払戻金の窓口での源泉徴収が有効だと判っているが、源泉徴収をすれば客が減り、投票券の購入が減ることになるのであえて回避している。主催する自治体も税の徴収をあえてしないことで、客の維持拡大を企図しているのである。
 いわば、公営競技での脱税は国や地方自治体が共同し「容認」するものになっている。
 脱税が立件される唯一の例外は、近年コンピューターやインターネットを使った継続的取引(投票券購入)で、数億円~数千万円の利益を上げたことをデータ上から捕捉できた場合である。しかし、このような検挙は年に1件もあるかどうかというレベルである。
 国税当局に何度問い合わせても、一時所得で自主申告をしてもらわないとわからないとの回答で、自ら源泉徴収制度化を企図しようとはしない。
 しかし、自主申告制度をとるといっても今日では競馬でいえばWIN5(5つのレースの1着を全て当てる)のように1回で100万円~1000万円単位の大当り(大穴)の出る券が売られてるし、他のレースでも3連単式など100万円レベルの大当り券は日常的に出ている。その一時所得は本来、払戻金交付の際に捕捉できる。端的にいうと、50万円を超えた当せん金請求者だけでも全て住所・氏名を身分証明で確認点検しておけば捕捉できるのである。
 非課税の宝くじでも、1万円を超える当せん券はみずほ銀行窓口での換金となり、1当せん金50万円以上の場合は身分証提示が求められる。本来納税義務発生が明白な公営競技の一時所得はそのようにすべきであろう。
4.外国観光客の脱税
現在全く捕捉されていないのは、外国観光客の一時所得である。
国税当局は、日本人ないし日本在住外国人の一時所得の無申告と脱税を許しているほどであるから、外国観光客についてはそもそも納税対象として取り組んでいない。競技場等の換金窓口には、納税義務を知らせるリーフレットの1枚さえない。
外国観光客の投票券購入は禁じられておらず、日本人らと同様の一時所得計算で納税義務がある(所得税法施行令289条5項)。しかし、源泉徴収も窓口での申告納税システムもないため、申告せずに本国に帰国し徴税しないシステムなのである。
そもそも現実的に真面目な観光客でも、競馬で大穴を当てたら帰国を延ばして自ら税務署に赴き早めに申告したり、翌年3月に費用をかけて来日して申告するようなことはとても考えられない。このことは国税当局も認める。日本に納税管理者を置いてもらって手続きされることを期待するのは、犯人に自首を勧めるより実効性がない。(国税局はこの脱税者(犯人)を追跡する気さえないから。)
5.日本人(日本在住外国人も)の脱税
実は捕捉がされないという点では、日本人が外国のカジノ等(例えばマカオ)で稼いだ所得について、日本において正しく申告されていない事例が多い。日本人が外国のカジノ等で大儲けした例は、統計的に大損した例より少ないが、もとより儲けたその一時所得は他のゲームで損した分で相殺されず、儲けた分を全て合算して一時所得を申告すべきことは言うまでもない。
 ところが、わざわざ外国カジノでの稼ぎを日本の国税当局に申告した例も、無申告を摘発した例も聞かれない。
6.租税条約をめぐる説明責任がないこと
 日本は諸外国との間で、所得に対する租税の二重課税防止のための条約(租税条約)を締結している。この条約が適用され外国で納税した場合はその分減額される。しかし、これらの具体的適用がどうなるかの説明もない。(国会でのIR法審議の政府答弁でも説明はなかった。)
 筆者が国政当局に尋ねても、これらを説明できるパンフレットや取扱いマニュアルの類もなく、具体的にその事案があって相談窓口に申告してもらえればその時に対応するという回答のレベルであった。
7.カジノをめぐる脱税、資金洗浄(マネーローンダリング)
 IRカジノ法では、カジノの収益に対し3割のカジノ税が法定されたが、その詳細はこれからである。そして、客が得た利益については既に国税当局は国会答弁しているが、一時所得となる。しかし、日本の公営競技などとは比べようのない脱税やマネーローンダリングが伴う。
 どんな脱税問題があるか考えてみる。
(1)一時所得の申告主義(源泉徴収回避)による脱税
   公営競技並みにいうと、1ゲームごとの一時所得をどうするかである。カジノではスロットその他のゲームを一定連続して行うのが常態である。これを1ゲームごとのチェックをするとなると、その一時所得の発生の有無を参加者ごとに記録する必要が生じる。例えば、誰かが50万円以上勝ったら、そのゲームを中断してチェックして記録化するだろうか。そこで、次に1ゲームごとの計算をせず24時間(1回のカジノ場出入りごと)として計算するなら、場内での客間のゲーム外のチップのやりとりを禁止した上で集計記録しなければならない。そして、1日あたりチップの換金は客ごとに全てチェックし、最初に交換したチップと払戻しに来た差が50万円を超えていれば、客ごと身分証により記録しなければ脱税を防げない。
(2)客同士のチップのやりとり・貸し借りはマネロン、贈与税の脱税にもなるから禁止すべきである。しかし、これらは海外のカジノでもチェックできていないし、日本のカジノでも許すことになろう。
(3)客の全てのゲームを録画して監視しても困難なのが脱税とマネロンの防止である。複数客が示し合わせてゲームの勝ち負けでチップを移動させるという方法がある。このマネロンと贈与税回避の手法は、勝者が一時所得を納めるシステムを厳格に作っても防げない。
(4)さらに、外国観光客の一時所得税の脱税は、源泉徴収がなければ先に述べたとおりの一般取締りならほとんど防げない。今後、脱税やマネロンの防止策が政省令で一定示されるだろうが、カジノでは①持込金の完全把握(捕捉)、②持ち出し金の完全把握(捕捉)、③カジノ内のゲームとチップ移動を含む監視再現がなければ、犯罪の巣となるのである。
(5)厳正な源泉徴収をカジノで行えば脱税は防げるが、複数の人間や組織での分担などがあると完全な防止は難しい。

以上のとおり、法令に定める税を完全にとることが、大金を投じるギャンブルによる依存や弊害をなくすためにも必要である。

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投稿        「カジノ実施法に期待する者共!」    A生
1.カジノの経済効果や負の効果の見方とは別に、カジノを賭けという“遊び”の道場とし、人生の楽しみの一つだとする「ギャンブル観」がある。賭け遊びを個人の自己責任の領域とし、経済取引における投機との連続性をもって正当化しようとする。
  破局をもたらす依存は困るが、スポーツ、ゲーム、嗜好品など人生の楽しみは依存性があっても肯定すべきで、ギャンブルも程度の問題、逆になくなれば人生の喜び・遊びが失われるというのである。遊び好き、ゲーム好き、賭け好きの人ほど、カジノを肯定する。競馬・競輪・宝くじは必要とし、パチンコが公認ギャンブル化していても肯認する。
ギャンブルの中にはクジのように選ぶテクニックのないものから、麻雀やコントラクトブリッジのように確率を計算した「読み」や「心理戦」のゲームに金を賭けるものもある。金を賭けると時に人は熱中し没入するが、自己責任だという。
“遊び”が実に多様で、ギャンブルゲームだけが“遊び”ではない。金を賭けるギャンブルが“遊び”としても、必須ではない。
例えば、麻雀やカードゲームは金を賭けずとも“遊び”として成立する。逆にいえば、“遊び”のためにカジノやギャンブルが必要というのは、「毒のあるフグこそ好物」というのに近い。
2.実は、IR実施法を最も待ち望み喜んだのは、カジノ企業、特に海外カジノである。彼らは一種の政商であり、アメリカのラスベガス・サンズ以下カジノ企業らは、アメリカの大統領はもちろん、安倍総理と細田派を中心とするIR議員連盟に政治献金をし、進出地の政治家(例えば大阪府の松井知事)にも巧みに接触し、利権の網を広げている。
  彼らにとっては、メルコ社のローレンス・ホーのように大阪府へ寄付金を出すことも、MGM社のジェームズ・ムーレンのように天神祭で船渡御を出したり花火を奉納することも、全て打算ずくの商売なのである。
  そしてそれを導入する「政治屋」こそ、その上前をはねることを考えている連中といえよう。

依存障害シリーズ   第4回  依存・障害用語辞典 (ア~ソ)
 今日、各種依存・障害の用語は多種多様です。必ずしも病気ではありませんが、アディクション(嗜癖)、ディペンデンス(依存)、ディスオーダー(障害)、ポイズニング(中毒)、コンプレックス(抑圧)、マニアック(偏熱)、アブノーマリティ(異常)、アビューズ(乱用)などと言われます。
特別の医学等の用語は含まれていませんが、マニア、オタクの言葉もあります<  >。
「タ」以下は次回に続きます。
依存・障害用語
ア アルコール依存(中毒)/阿片(アヘン)、アセトアミノフェン、アデノールなど薬物中毒/アングリーバード中毒(2億人以上がはまったとされるゲーム依存、ABAD)/甘味依存/アディクション人格/アダルトチルドレン/アプリ内課金依存/アンフェタミン(覚醒剤)
イ インターネット依存/イネイブリング(ギャンブル借金の尻拭い)
ウ うつ病(ギャンブル依存と合併を起こす。ギャンブル後うつ病も。(⇔そう病)
エ SNS依存(social networking service、ネット上のコミュニケーションの場に依存)/MADMA、エンドルフィン、LSDなど薬物依存
オ オーディオマニア/おっかけ・オタク(スター、鉄道…)/オピオイド薬物依存/オンラインゲーム依存/オンラインギャンブル依存/オンラインポルノ依存/親依存(子依存)
カ カー(車)依存/買物依存症/カード依存/覚醒剤中毒(薬物依存の一つ)/カフェイン(コーヒー等)中毒(依存)/カルト依存/過眠症(ナルコレプシー)/活字中毒/カジノ依存/過食症/外部依存/関係依存(コーディペンデンシー、恋愛依存、家庭内暴力等)
キ ギャンブル依存/競艇依存/拒食症/危険ドラッグ/切手マニア/共依存(お互いに依存しあう関係)/吸入剤依存  <記憶障害>
ク 薬依存/クラック依存/クレジット依存(多重債務依存)/クレプトマニア(万引・窃盗癖)/車依存  <クリーン(依存対象に手を出さない)>
ケ 競馬依存/競輪依存/ゲーム依存(スマホ、オンライン、テレビゲーム、カードゲーム、ゲームセンター…)/解熱薬中毒/潔癖症/携帯依存/化粧品依存/幻覚剤依存
コ 行為依存/コーヒー依存/交差依存(アルコールとコカイン、ゲームと薬物など重なった依存)/コスメ依存/コカイン中毒/コンビニ依存/抗うつ剤中毒/コンピューター中毒/抗不安剤依存/コーディペンデンシー(病的な依存、共依存)
<骨董マニア><コインマニア><コレクションマニア>
サ 酒依存/砂糖依存/サプリメント(栄養補助食品)依存
<サディズム(他を虐げる性的倒錯、サド⇔マゾヒズム)>
シ 仕事中毒(ワーカーホリック)/シンナー中毒/食異常/神経性食欲不振症/借金依存/ジャンクフード依存/児童虐待  <収集癖>
ス 睡眠薬(剤)依存(中毒)/スイーツ依存/スマホ(スマートフォン)依存/スカイプ癖/スピード狂/スロットマニア(依存)  <睡眠障害><スリップ><スポンサー(相談役)>
セ 性(セックス)依存/摂食障害/窃盗症/精神依存
ソ ソープ依存/ゾピクロン(睡眠薬)依存/ソーシャルネットワーク(SNS)依存

コラム    カジノ実施法と新聞社説 ―社説と脱税への盲点―
1.7月20日、IR法ことカジノ法が成立した。これに対し大手各紙は社説を出している。
   毎日紙 7月20日 「賭博に頼る発想の貧しさ」
   朝日紙 7月21日 「賭博大国への危うい道」
   産経紙 7月21日 「不安払拭し地域に貢献を」
   読売紙 7月22日 「拙速な開業で禍根を残すな」
   日経紙 7月23日 「なお拭えないカジノの懸念」
  カジノに対する世論は厳しく、推進派の産経から、慎重派の読売・日経、疑問視派の朝日・毎日へと厳しい指摘が続く。
  産経は、カジノ施設がIR統合型リゾートの収益の7割を占め、その弊害の中心であるのに「IR施設」と自公政府案のままの表現を用いて有効な施設と肯認する。
  しかし、他紙は、数多くのカジノの問題点を指摘し、IR施設全体のプラス効果についても精査が必要で、マカオのような効果は疑問としている。さらに毎日紙は、賭博に頼る政策の貧しさを厳しく批判している。
2.ギャンブルオンブズマンがこれまで指摘してきた、①プラスの経済効果への疑問、過大評価と負の経済効果の大きいこと、②カジノに伴う反社会性(暴力団、犯罪等々)、③ギャンブル依存、④負の効果に対する社会費用を、各紙は「危うい道」「禍根」「懸念」「不安」と表現するが、産経紙の楽観論から毎日紙の発想の貧困論まである。
  331点にも及ぶ政省令丸投げによりその程度は一定詰められるだろうが、カジノの本質が民間業者による賭博開帳と客の常習賭博施設であること、政府が“貸元”となるカジノ業者に許可を与えて30%の利をとるという利権の構図は変えようがない。
3.IR法はアウトローに特区を設け、非合法地帯をつくり、射幸客を遊ばせて収奪する。そのため日本の法秩序全体に歪みを拡大させる。これは、政省令でも変えようがない。
  本紙は既に何回も指摘しているが、国税局は、公営競技で高収益(一時所得)を得た者の脱税を95%以上見逃している(←金額ベース 件数ベースだと99%)が、カジノではこのままだと客の脱税を100%見逃すことになる。
  カジノでは、まず入場者の持込金額・持出金額を入出場ごとに完全把握することが必要である。そのためには、①マイナンバーやパスポートによる人物特定、②チップ交換金の入出場時チェック、③チップの贈与、貸与、交換の禁止(発生時には検挙、退場をカメラでチェック)をするより他ない。
  また、カジノ側に、客の勝金の払い出し時に源泉義務を課すことが必要である。納税義務を果たせない客は、外国客といえど許されない。外国客の日本での買物の消費税など関税免除と、日本での収益への一時所得への課税は全く別のものである。
  もし、日本在住外国人の所得には課税し、観光外国客の所得には課税しないとすれば、同じ賭客でも差別することになる。

パチンコ業界のIRカジノ等海外進出
 パチンコ業界は日本のギャンブル客の最大収奪者であるとともに、ギャンブル依存の最大の生みの親だ。業界の推計では、自らが生み出した依存病者数は70万人と抑えた数字だが、だとしてもこの加害責任は重大だ。
 そのため2017年から業界規制も強まり、パチンコ人口はかつての2千万人から900万人にまで減少している。パチンコ店は大型店や郊外店の進出もあり、店舗数こそ減少傾向にあるが、EGM(機械)台数は460万台超と世界一であることは変わりない。しかし、スマホ等でのインターネットゲーム市場の拡大により、パチンコ業界の今後の成長は望めない状況である。
 そこで、マルハン、ダイナム、ユニバーサル、セガ・サミーなどホールや機器メーカーの大手は、この10年も前からカジノやその周辺業界に進出を進めている。
 カジノ事業も今はスロットなどEGMが主力化しつつあるが、ルーレットやバカラなどのテーブルゲームは欠かせない。ラスベガスやマカオその他の海外カジノ業者はこのノウハウを多く持ち、カジノ規制への対応力も持つ。そこで進出方法の一つは、カジノ事業への合弁など協力会社方式や資本参加など、パチンコで得た金力に物言わせるものだ。その第二は、海外カジノへの進出だ。2016年12月ユニバーサルのマニラ・カジノ、2017年4月セガ・サミーによる韓国仁川のパラダイス・シティがオープンした。 
マルハンはカンボジアに銀行を作り、既に海外投資を本格化させた。一部の東南アジアの小国は日本の巨大資本を歓迎するが、その国の民主主義が確立されておらず、日本のギャンブルマネーがどう受け入れられるか多くの疑問を残す。

大阪カジノに反対する市民の会 盛会
 9月8日、豊中市で大阪カジノに反対する市民の会の発足集会が開催され、200名近い市民が集まった。(代表 西澤信善神戸大名誉教授)
 全国から寄せられたカジノ反対の支援メッセージの紹介に続き、吉田哲也弁護士(依存症問題対策全国会議事務局長)がIRカジノ実施法成立後の情勢を踏まえて今後の活動を提案した。
 大阪では松井知事以下IR推進勢力が強いが、市民多数の反対世論をどのように政治効果あるものにするかが問われている。まず、松井・吉村らカジノ推進の首長と維新議員らへの厳しい批判と追放の活動が必要であるとの意見が多く出された。

騎  手
 公営競馬レースでは「1に馬、2に騎手、3に調教」といわれる。
 馬は桜花賞など5大競走で1着になって億円を稼ぐ馬も出るが、そうした競走馬にしても現役で出走できる期間は限られるし、引退後に種馬となって稼ぐ馬はもっと限られる。
 しかし、騎手の現役寿命は長い。例えば、地方競馬で騎手を務める的場文男氏(61)は騎手生活45年の大ベテランだ。8月12日大井競馬で7152勝目を挙げた。長い騎手生活では、生死の境をさまようほどの事故も体験したという。高所得を得られるが、危険な職業である。的場氏のような例はたまたま幸運であったが、有名な福永洋一氏のように落馬で再起不能となったり死亡することもある。
 競馬はスポーツとも美化されるが、客のギャンブル対象となるものだけに、オリンピックや選手権で優勝したスポーツ選手のような社会的表彰はなく、稼ぎ高と勝率だけが注目される。

書籍・論考紹介まとめ(3)
 会報に紹介した書籍・文献は、1~29号までの分を会報30号(2014.11.26)、30号~50号分を会報52号でまとめています。以下、会報51号~69号で紹介したものをまとめます。

会 報 論文・書籍等 記 事
51号
2017.2.14 『文芸春秋』2017年2月号「霞が関コンフィデンシャルに重量級のカジノ布陣」
『世界』2017年2月号「カジノ法成立-空疎な論議と埋めがたい欠陥-」鳥畑与一静岡大教授
『りべら』2016年11月号「公害地域の再生に大事な視点」宮本健一大阪市立大名誉教授 進むカジノ法プロジェクトの“危うさ”
『消費者法ニュース109号』(2016.10) 特集:適合性原則と消費者法 河上正二、川地宏行 「適合性原則」を欠くギャンブル事業
全日本民医連『いつでも元気』2016年9月号「特集 ギャンブル依存症」ジャーナリスト内藤隆介
『競馬のからくりが怖いほどわかる本』小沼啓二(2000.8)
中国社会民俗史『賭博史』戈春源(2010.7) 書籍紹介
52号
2017.3.13 『ギャンブル依存症』田辺等(2002.12)
『ギャンブル依存(エビデンス・ベイスト心理療法シリーズ6)ジェイムズ・P・ウェラン(2015.6) ギャンブル依存障害と医療ビジネス

『ギャンブルに勝つための最強確率理論』九条真人(2013.3) パチンコ研究(7)
『別冊宝島2549号 カジノと日本経済』(2017.2) カジノギャンブル依存症対策株式銘柄?!
『これでもやるの?大阪カジノ万博 賭博はいらない!夢洲はあぶない!』カジノ問題を考えるネットワーク編(2017.2)
『疑似カジノ化している日本―ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?―』ビッグイシュー基金(2015.10)
『誰がパチンコをダメにしたのか?』谷村ひとし(2015.12) 書籍紹介
53号
2017.4.14 『風雲五十年』中島健吉(現日工組初代理事長)(1997) パチンコ業と自民党福田赳夫
『別冊宝島2549号 カジノと日本経済』(2017.2)
『なんものもんやネン 大阪のパチンコ屋』野口末和(1996.10)
『仕事士たちの平成裏企業』溝口敦(2005.1) 書籍紹介
54号
2017.5.16

『週刊東洋経済 経営者も引き付ける競馬の魔力』2016.11.26号 競馬カネノミクス
『災難カレンダー』鎌田崇太郎(1994) ギャンブルの災いカレンダー
『一揆・雲助・博徒』田村榮太郎(1933) 国定忠治はバクチで大衆を阿片以上に害した!
『賭博と国家と男と女』竹内久美子(1992.8)
『BIG ISSUE JAPAN 309号 こわされる人間 ギャンブル障害』ビッグイシュー日本(2017.4)
朝日紙(2017.4.10)掲載 詩集『死水晶』より「パチ狂い」白鳥真 書籍紹介
55号
2017.6.15 『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』帚木蓬生(2017.4) Negative Capabilityとギャンブル
産経紙(2017.4.27)掲載「カジノの功罪」曽野綾子 曽野綾子の「“悪銭”から始まったNGO」
『消費者法ニュース111号』特集:カジノに反対する賭博依存症被害、生活・社会の破壊(2017.4)
被害者の声、若宮健、滝口直子、帚木蓬生、尾上毅、井上善雄、成見幸子、藤倉善郎、小坪慎也、鳥畑与一 書籍紹介
56号
2017.7.14 『販売革新 2010年7月臨時増刷 わが国最大のエンターテイメント企業マルハンのすべて マルハンスタディ』(株)商業界 パチンコ研究(10)
『コワーい パチンコ店の話』宝島社(2011.3) パチンコ売春
57号
2017.8.17 新聞投稿カジノ川柳選(2016~2017)
58号
2017.9.8
59号
2017.10.13 『ナショナルジオグラフィック日本版2017年9月号「依存症 脳科学が探る治療法」』フラン・スミスら 脳科学で克服する依存症
『大江戸番付づくし』石川英輔(2001.10) 大江戸博奕・富くじ番付
60号
2017.11.15 『月刊保団連 2017年9月号』特集:カジノ解禁から考えるギャンブル依存症 帚木蓬生、米本昌平、田中紀子、高橋英彦、眞山仁、鳥畑与一
『消費者法ニュース113号』(2017.10)特集:パチンコ賭博の規制の必要・ギャンブル依存症被害 桜田照雄、帚木蓬生、井上善雄、鳥畑与一、吉田哲也、宇佐美典也、若宮健、新川眞一 事務局だより
61号
2017.12.15
  『十二支考』南方熊楠(岩波文庫1994ほか) 動物を使うカケ考
『暮らしの手帖 創刊号』(1948.9)掲載 根本進10コマ漫画「ひとり息子」 暮らしの手帖とパチンコ
『「ギャンブル依存症」からの脱出 薬なしで8割治る“欲望充足メソッド”』河本泰信(2015.8) 書籍紹介
62号
2018.1.12 『ものしり辞典』日置昌一(1955) 賭博川柳解説
63号
2018.2.13 『The FIX 依存症ビジネス』ディミアン・トンプソン著。中里京子訳(2014.10) 依存障害シリーズ第2回「やめられない心」とFIX産業
『スポーツ・ベッティング―ブッキー・ビジネスと賭け方の研究―』谷岡一郎(2017) 書籍紹介
64号
2018.3.12
65号
2018.4.13 『どん底名人』依田紀基(2017.11) ギャンブルの「どん底名人」
『こんなものいらない辞典』朝日ジャーナル編(1990) 競馬予想とパチンコの天穴
66号
2018.5.11 『疑似カジノ化している日本―ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?―』ビッグイシュー基金(2015.10)
政府のギャンブル依存症調査と課題
『雇用・利子および貨幣の一般理論』ケインズ(1936) ケインズの語るギャンブル
『大人の男の遊び方』伊集院静(2014) 伊集院静氏の「ギャンブルで得るもの、失くすもの」
月刊『世界』2018年3月号,4月号 連載「パチンコ哀歌(エレジー)」古川美穂 書籍紹介
67号
2018.6.15 『漢字川柳』長崎あづま(2017.12) 「目八者どもてんなり賭ける―賭博場」
『全遊連25年史』『全遊協20年史(全遊連35年史)』全国遊技業協同組合連合会(1977,1986)
『パチンコ産業経営白書2002』日本遊技産業経営者同友会(2002.5)
『パチンコ30兆円産業白書1997』室伏哲郎(1996.12)
『パチンコ百年史』山田清一ほか編(2002.8) 書籍紹介
68号
2018.7.11 『滑稽新聞』(1906.9.20号)宮武外骨「月界より見たる地球」 明治の漫画と博奕
69号
2018.8.10 『「カジノで地域経済再生」の幻想―アメリカ・カジノ運営業者の経営実態を見る―』桜田照雄(2015.1)
共産党機関誌『前衛』2018年5月号掲載 論考「カジノ実施法案への一視点」桜田照雄(2018.4) 書籍紹介


ギャンブルNEWSピックup (2018.8.1~9.8)
2018.8.1  マカオ  マカオ7月カジノ売上10.3%増の約3512億円 24ヶ月連続前年プラス
  8.2   ブルームバーグ  カジノ大手メルコリゾーツCEOが語る日本のIRへの期待
  8.3   ヤフー  K-POP女性芸能人、賭博資金6億ウォンを返済せず=検察が捜査
      ヤフー  大阪万博は、IRのためのインフラ整備か
  8.4   文春   闇金、イカサマ、ジャンケット…カジノ法成立で暴力団が狙う“裏口参入”
  8.8   神奈川  横浜市IR構想案公募、22事業者名乗り
      ヤフー  ギャンブル依存症対策、パチンコ「換金」できなくなったらどうする?
      PAGE   大阪・松井知事「来年の今ごろはIR事業者決定したい」
  8.9   ポストセブン  誘致合戦が激化 「和歌山に大阪カジノ」語る二階氏の論理
  8.10  <当会 会報第69号発行>
デイリー   総額24億円詐取で逮捕の元JTB子会社社員 カジノで億単位の豪遊
  8.11  マカオ  マカオ警察、深夜のカジノなどで一斉取締実施 密航者7人とオーバーステイ
  8.12  神奈川  ギャンブル依存症対策を強化 菅官房長官、入場規制も検討
  8.16  朝日   観客入れないミッドナイト競輪、各地で 経費抑えて黒字
  8.17  女性自身  日本は世界一のギャンブル依存症大国「亡国のカジノ法」を許すな
  8.18  ポストセブン  裏社会とマネロンと仮想通貨 犯罪収益の持ち出しが容易に
      西日本  大学中退する人も スマホ依存「ゲーム障害」とは ネット遮断で逆に悪化も
  8.20  静岡   ギャンブル依存症、回復支援広がる 静岡市は無料プログラム
      ヤフー  依存症治療・回復支援「途切れのない体制整備」大阪府市IR推進局リーフレット作成
  8.21  朝日   国際会議場、建設ラッシュ 東京五輪前後 12ヵ所新増設
      横浜   横浜市IR説明会に22事業者 具体的検討作業に着手
      新潮   「カジノで観光客が集まるなんて幻想」―観光カリスマが語る
  8.22  ロイター  アングル:カジノ運営権獲得に向け、海外企業が大阪でPR夏の陣
      ヤフー  【論調比較・カジノ実施法】世論は反対、産経は賛成に「変節」読売もトーンダウン
      神奈川  横浜市長、IR構想案募集は「判断材料」 誘致の前提否定
      埼玉   さいたま地検、ネットカジノ店共同経営者2人を不起訴 理由明らかにせず
  8.23  RKB  「ギャンブル依存症家族の会」に福岡支部
      SPA!   音ゲーマニアがカジノで荒稼ぎ⁉ギャンブル化が進む世界のeスポーツ事情
  8.24  産経   IR実施法の先に見え隠れするパチンコ規制 依存症の本丸に切り込めるか
  8.28  マネーポスト  家族は何も知らない…「隠れギャンブル依存症」男性の告白
  8.29  フライデー  元JTB社員がやらかした「51人から24億円」巨額詐欺 カジノで数億円
      産経   一足早く“カジノ体験”…「IRカフェ」大阪に開設
  8.30  HTV  <北海道>カジノ誘致 3自治体 候補地をプレゼン
      神奈川  カジノ賛否「いつまで白紙なのか」 市民有志が市長・全市議に質問状
  8.31  大阪弁護士会「カジノ問題意見交換会」
  9.1  東洋経済  350万人の日本人がまがい物を買っている―仮想通貨市場の本質はカジノ
      読売   中高生ネット依存93万人 オンラインゲーム深刻
  9.1~2  第25回全国市民オンブズマン新潟大会(180名)
  9.2   PAGE   コンピューターゲームはスポーツかビョーキか。eスポーツとゲームと依存
  9.3  メーテレ  名古屋市の陸上自衛隊森山駐屯地 違法賭博など行った隊員7人を懲戒
      マネーポスト  ギャンブル依存症男性の借金体験告白 「限度額まであといくら・・・」
  9.5  ヤフー  沖縄県知事選、自民党側が裏で進めるニンジン作戦に県内へのカジノ誘致!?
  9.8  大阪カジノは許さない!大阪カジノに反対する市民の会 発足集会/豊中市

書籍紹介
〇『マフィア犯罪白書』フレッド・J・クック 小菅正夫訳(早川書房 1972年発行)
 マフィアの数えきれない犯罪レポート。マフィア内部にいたジョセフ・ヴェラッキが米上院で明らかにした暗黒の世界は想像を絶する。詳しくは402頁の本書の主役の顔写真や凄惨な殺人現場写真と共に読まれたい。本会報では、白書のテーマから外れているが、2点を紹介する。
(1)1947年6月20日、マフィアのボスの1人バグシー・シゲルがビバリーヒルズで暗殺される。これはマフィア組織の決定によるもので、シゲルがラスベガス・フラミンゴホテルを採算度外視600万ドルで建設したからだった。この金はマフィアギャングの資金であり、金を返せなかったからである。シゲルは、ラスベガスの合法的なカジノが莫大な利益を上げていることを知り、その夢を最大限に拡げたが、結局失敗したので殺され、新しいギャングがフラミンゴを手に入ることとなった。
(2)当時のカジノは1カ所で週約10万ドルの儲けでも控え目な方で、胴元(経営者)の収奪率はイカサマなしのサイコロ賭博で1.42%、ルーレットで5.26%、銀行ゲームで3%、スロットで20%という。
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◇◇ギャンブルオンブズ4コマ漫画◇◇
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posted by inoue at 13:57| Comment(0) | 会報 | 更新情報をチェックする
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