2019年09月12日

なくそう!ギャンブル被害 会報第82号

【目次】IR整備法にかかる動きと今後/ギャンブル判例シリーズ(1)パチンコ・パチスロの賭博化の現状と判例/カジノ替え歌集①/SDGsとGambling/替え歌②/公営賭博の反人権性と憲法違反~公娼・売買春の制度との対比から~/替え歌③/コラム:シリーズ「脱税」(1)、公営の賭けのCM川柳、しらばくれた林文子横浜市長―追いかける吉村大阪府知事、サマーもお盆も稼いだギャンブルチラシ、パチンコの後は破綻だぜ/NEWSピックup/事務局だより/ギャンブルオンブズ4コマ漫画

IR整備法にかかる動きと今後
 IR整備法(特定複合環境施設区域整備法)にかかる推進側の予定はおよそ次のとおり。
進 行 内  容
2018.7.27 IR法成立 国民の反対世論多数なるも強行採択
2019.4.1 IR施行令 2019.9現在パブコメ済(施行)
2019.9.4 国の基本方針(案)の公表 (パブコメ10.3〆切)
2019 国のカジノ管理委員会設置 委員会規則で制度の細部を決定(パブコメあり?)
2020~ 実施方針の策定(都道府県) 大阪、長崎、和歌山、北海道、神奈川等
2020~ カジノ事業公募・選定 大阪は2019年中にもと先走るが困難(?)
2020~ 区域整備計画の策定(地域、議会)と区域認定申請
2021~ 区域(特区)の認定、事業者との実施協定と認可
2021~ カジノ免許、区域整備、建設作業(3ヶ所)
2024~ IRカジノ開業(大阪は2024年というも、政府は2020年代後半を想定)
  全国のIR候補地は、大阪、和歌山、長崎、北海道(苫小牧)、愛知、北九州に加え、近時、横浜が設置を打ち出した。和歌山は仏カジノ業者ルシアン・バリエールの事務所開設、大阪の有力候補といわれたラスベガスサンズが横浜に変更するなど、海外IR企業と誘致自治体の複雑な綱引きがある。大阪では2025年万博推進と併せてIRカジノ事業を事実上決定し、地下鉄夢洲駅付近の開発のため約200億円をMGMらIR業者に負担させる約束を取り付けるべく準備している。
  海外IR企業は日本でのカジノ収益の獲得のために、できるかぎり有利な条件で日本を中心に客を集めたいという意向であり、カジノへの制約条件をなくす方向で動いている。



ギャンブル判例シリーズ
第1回  パチンコ・パチスロの賭博化の現状と判例

1.裁判所は、言うまでもなく国家機関の一つである。司法判断は立法・行政に対して独立しているべきだが、現実には現状容認、行政追認傾向もあり、官優先、官尊重の判例が多い。
  ギャンブルのような本来は刑法で禁止され、一般客が収奪されているものでも、公営競技の非を指摘することには消極的である。人から盗んだり横領した金をギャンブルで費消した場合は、その刑事判決において量刑上被告人に不利に反映させる。逆に、公認ギャンブルがギャンブル依存症を生んでいることはほとんど無視する。これは、三店方式のパチンコ・パチスロに対し、警察や検察庁が偏頗な立件をしたり、逆に無視、放任しているためでもある。
  現在、パチンコ・パチスロ店は三店方式という脱法換金システムをとっている。客が勝った場合に、特殊賞品に交換し、そしてそれを店内・店横交換所に持ち込み、換金するというものである。実はこれは、賞品換金から暴力団を排除するという名目で、公安委員会や警察の公認、監視の下に行われている。それゆえに癒着が生じているのである。

2.風俗営業法(風適法)23条1項1号により、客に「現金又は有価証券を賞品として提供すること」、同2号により、「客に提供した賞品を買い取ること」は禁止されているが、これに違反している。この違法は、同法52条2号違反により「懲役6ヶ月以下、若しくは100万円以下の罰金に処し又は併科」される。
では、この三店方式そのものについて判例は全くないのかというと存在する。(但し、検察庁の立件がないため、最高裁までの刑事判例はない。)
(1)福岡高裁昭和43年6月17日判決
店が自ら提供した景品の買戻しは禁ずるが、他店が提供した景品の買戻しは含まないとした。
これは、刑罰適用にかかわるもので、23条1項を厳正に限定したためといえる。
(2)東京地裁昭和58年3月30日判決
   パチンコホールで得た「景品の換金システム」という発明について、23条1項に照らし、ぱちんこ買受販売業の組合契約は公序良俗に反し無効とした。
これは三店方式を直接判断したものではない。
(3-①)大阪地裁平成24年11月27日判決(交野市住民によるパチンコ店処分取消請求事件)
   現在の三店方式の景品買いないし換金所については、店内ないし店横の景品交換所はパチンコ店と社会的に一体で他店の特殊景品は買わないシステムであるため、当該パチンコ店が買っていると言わざるを得ない。そのため店は警察の指導の下、同じ店内であっても他の福祉団体や業者を介在させ、例えば大阪では未亡人の会や特定障害者団体が大阪のパチンコ店の買取を仕切っているように見せている。
   この景品交換所について、同判決は、パチンコ屋と構造上一体性を有し、景品交換所の防犯管理もパチンコ屋と一体化していること、交換所利用客はパチンコ屋景品を換金するためだけに訪問していること等から、ぱちんこ営業の用に供されるパチンコ屋と社会通念上一体であると評価されるとした。
(3-②)同控訴審 大阪高裁平成25年8月30日判決
   ところが控訴審の判旨は、ぱちんこ店の50m以内の住民は指定地域を問わず騒音・振動規制について処分の取消しを求める原告適格を有するとする一方、それは騒音・振動についての適法性のみで、その余の景品交換所をめぐる是非については原告適格を認めなかった。これにより景品交換所についての判断を回避した。

3.上記(3)判例にあるように、パチンコ店をめぐる貴重な市民の訴え、斗いはあるも、これまでの裁判所は、パチンコホールの企業的経済的利益を考慮し、一方住民については深刻な騒音・振動という住環境の損失の面は考慮するも、それ以外のギャンブル場化するパチンコ・パチスロ営業に伴う弊害(教育環境、住宅風紀環境)については判断を回避している。

4.しかし、これらの判決は、今日通説化されるパチンコによるギャンブル依存が100万人規模に及んでいることなどが、まだ裁判官の常識・良識となっていない時代の判断であるといえる。
  パチンコの弊害が、店やメーカーの営利第一主義や行政取締りの欠陥にあることが示されれば、新しい判断が示される可能性があるといえる。

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アラカルト   カジノ替え歌集①










   
   

SDGs と Gambling
1.SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連の国際目標のことで、先進国も発展途上国も取り組む普遍的な共通の未来目標である。
  20世紀末から環境問題、特に地球規模の環境問題において「Sustainable Development」という言葉が環境を維持しながら開発発展できるというスローガンとして使われた。この言葉は、産業人からの強い後押しを得て、環境保全が旧来の自然環境を維持するだけでは産業や国家は発展しない、必ず持続する開発・発展が可能だという主張がそこにあった。
  この考え方を国際的に広め、世界中の国や地域が共同目標を持ち、達成できる――という発想が支配している。2015年、国連で193カ国が合意したのは、先進国がSDGsのため支援(経済(金)と人)するという了解があるためだ。
  日本は、日本の開発援助(ODA)の実施機関としてJICA(ジャイカ 独立行政法人国際協力機構 Japan International Cooperation Agency)をつくり、開発途上国・地域の発展援助をしている。
このSDGsは、17の目標と各目標に付随する169のターゲット項目からなる。
  目標は、①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③全ての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられるまちづくりを、⑫つくる責任、つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮緑の豊かさも守ろう、⑯平和と公正を全ての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう というものである。
  これら17のGoalsは、言葉としてもスローガンを妥当・正当といえよう。しかし、私たち日本人が達成するとなると大きな克服の努力が必要なものが多い。そのゴールは自らのライフスタイルを改めることが必要である。少々の金を発展途上国に寄付すれば足りるという軽いものではない。
  現在日本では大量の食べ残し食料やプラスティックゴミの投機などが問題となっているが、日本が①~⑰の目標を達成しているかといえば「灯台下暗し」である。日本の現実の政治、経済、エネルギー消費の生活様式のどれをとっても公正であるとは言い難いのである。

2.本稿では、日本の賭博の姿から、いかにギャンブルがSDGs目標に違反し背いているかを指摘したい。
(1)まず、賭博ギャンブルは貧困を生み、家庭の子供の食物まで奪う結果を生んでいる。公営ギャンブルが公共目的に使われる収益を生んでいるという言い訳はあるが詭弁である。日本の公営賭博はそもそも、戦争中の軍国政府が国民のタンス預金を奪うことを狙って発売した富くじに端を発するものである。全ての人に健康と福祉を提供することに、ギャンブルは有害無益である。この点で①~③のゴールに背く。
(2)賭博ギャンブルは、本質的に勤労や努力よりも射幸心を育て拡大利用するもので、質の高い教育どころか悪い教育と習慣づけをなす。人々との平等を実現するのでなく、一部の者にとてつもない金銭の利益を与え、反平等の思想こそ教育する。この点で③④⑤のゴールに背く。
(3)賭博ギャンブルは、例えばカジノの館に安全な水やトイレをつくるが、集客と収奪の事業のためである。一般には必要のない電気エネルギーを終夜大量に使う。この点で⑥⑦のゴールに背く。
(4)賭博ギャンブルは、ギャンブル産業の雇用も生むが、これは他の正業から人材を奪うということである。ギャンブルに貢献することで収入を得られても、働き甲斐は少ない。ギャンブルによる経済成長は他の産業の生産物、労働賃金を奪うものである。その経済活動はせいぜいゼロサム(勝ちと負けを合計すれば収益はゼロ)であり、本来の経済成長の指標たりえない。この点で⑧⑨のゴールに背く。
(5)賭博ギャンブルは、産業と技術革新の結果の一部をギャンブルゲームに利用することはできても、他の産業への貢献はない。むしろ、自他の国民・国家をギャンブルに依存したものに歪めていく。そしてギャンブル依存の病人や家庭、社会の破局も招いている。ギャンブルは住み続けるまちづくりのために有益有効でなく、他国民、他地域の人々の金を奪うことで支えられる。この点で⑨~⑪のゴールに背く。
(6)賭博ギャンブルは、⑫の機会と場所を提供するものの、ギャンブル依存症その他客の安全を害し、脱税からマネーローンダリングまでの不正を生むという弊害について責任を果たさない。客の高額払戻金の無申告・脱税さえ、集客向上と維持のため、源泉徴収等の対策はとろうとせず責任を果たさない。この点で⑫のゴールに背く。
(7)ギャンブル場であるカジノ、パチンコ、公営競技場、チケット売場等では、ギャンブルに伴う大量の資材とエネルギーを使い、資源を浪費している。これらは、気候変動、海及び緑の豊かさへの対策はない。この点で⑬~⑮のゴールに背く。
(8)賭博ギャンブルは、店と客、客と客が金を奪い合い、様々欺罔が渦巻く。平和も公正も全てにもたらさず、他の人々と共同・連帯した目標のない世界である。この点で⑯⑰のゴールに背く。

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アラカルト   カジノ替え歌集②











公営賭博の反人権性と憲法違反
~公娼・売買春の制度との対比から~

1.ノム・ウツ・カウの三大欲望による嗜癖は、法的に禁じてもなくならないという人がある。ノムを食欲・酒食とし、ウツをギャンブル・賭博とすれば、カウは金で性欲の対象を売り買う売買春になろう。ノムの内には禁止薬物やその利用を含め、またウツは博奕打ちと考えれば、法制で違法として刑罰を含めて制限することに異論は少ないだろう。
  ところが戦後、売買春と異なり、賭博は刑法で禁じつつも特別法により政府が許すだけでなく主催するようになった。それが日本宝くじ、スポーツくじ、競馬、競輪、競艇、オートレースである。これらの主催者は、公営富くじとか公営賭博とは名付けず、「くじ」「競技」と誤魔化している。それは、自らを刑法の禁ずる富くじ販売や賭博開帳行為といわれたくないからだ。

2.では、売買春と公営ないし公認賭博を比較して考えてみよう。
(1)売春規則の現行法:売春防止法と風俗営業ないし性産業にかかわる規則条例
   賭博規制の現行法:刑法185~187条、競馬法等の特別法
(2)売春と政府の協力促進:戦前の公娼制度(娼妓取締規則)と私娼の放任
   賭博と政府の促進:当せん券付証票法の宝くじ、スポーツ振興投票法
(3)売春(貸座敷指定地):公娼541ヶ所、業者11,154人、私娼窟207ヶ所・12,181人(1929人)
賭博(公認賭博)の売上:中央競馬4兆円、地方競馬7000億円、競輪1兆5760億円、競艇1兆8480億円、オートレース2710億円(1995年売上)、計8.4兆円、全国500ヶ所以上
         パチンコ20兆円・12,000店(ホール)
(4)売買春客、娼妓:公娼客2278万人(娼妓5万56人、1人あたり年455人を相手)、私娼妓1万2181人(1929年)
   公認賭博:パチンコ1100万人、宝くじ3340万人、スポーツくじ900万人、中央競馬890万人、地方競馬340万人、競輪160万人、競艇230万人、オートレース80万人(2017年)
(5)売春防止システム:1872年芸娼解放令は「実効なし」、売春奨励、公娼の健康診断(性病検査)
   公認ギャンブル:戦後の公営賭博の創設と風俗パチンコの賭博化
(6)売春システムと人権:身売り、前借金と売春の強制、女性の人権問題(人身売買)
   公認ギャンブルシステムと人権:客のギャンブル依存と大衆収奪、客の人権問題(依存障害)
(7)売春をめぐる政管癒着:取締警察へのワイロ、ヤクザとの結託
   公認ギャンブルシステム:監督省庁、関係自治体との一体、ヤクザの結託防止のため警察癒着

3.明治維新後も江戸時代の遊郭は維持された。貧しい家庭の女性は前借金と引き換えに身売りされ、売春を強いられた。日本国内でも売買春は横行し、各地に公娼、私娼窟が存した。そして、日本が中国と戦争を始め、将兵の性処理と性病予防のため、海軍も陸軍も慰安婦の名の下に(日本と朝鮮から)女性を中国大陸に送り込んだ。
いうまでもなく公娼であれ私娼であれ管理売春にはヤクザがいた。このヤクザを追放するためと称して、警察が管理に深くかかわっている。
もちろん私的賭博の賭博場はその名の由来のとおりヤクザ(博徒)という暴力組織と結びついている。
そして、戦前の公娼・私娼における前借金システムと身売り女性の存在は、人権問題の視点としては今日ほど十分ではないものの、娼妓の金縛りについては良識ある内務省警察関係者から問題視され、解決が指摘されていた。しかし、強力な遊郭、私娼窟の既得権支配層の抵抗により、十分な解決の必要性はなされなかったのである。
これらの実態は、月刊誌『世界』2019年9月号、佐藤純氏による「慰安婦がいた時代―奴隷、売買春システムの腐敗」に詳しく紹介されている。

4.さて2019年の今、安倍内閣や松井大阪市長らは、IRの名の下に大阪夢洲を特区としギャンブル収入を目的とした2024年カジノ開業へと邁進している。
  夢洲IR構想では、年に利用者2480万人、ノンゲーム利用者1890万人、カジノギャンブル利用客590万人という。カジノはギャンブル客からの売上(カジノGGR粗収益)3800億円で、国はその15%の納入金(カジノ税)570億円、府市は同じく納入金570億円と日本人らの入場料130億円であわせて700億円を得る。そして府市は別途150億円の諸税収も得るので、合計850億円を得る計画という。
  結局これらは、内外のカジノ客から収奪金が資金源である。
  売春は、前借金で売られた貧しい女性が管理売買春業者の下で身売りをし、これまた貧しい男性に女性を買わせるシステムである。カジノは、射幸心で引き寄せられ惑わされた客がギャンブルゲームの下で賭けに夢中にさせられ、全体として収奪するシステムである。こんな賭博開帳を国や地方自治体が開設し、海外カジノ業者にさせるのがIRカジノであって、IRカジノの開設はいわば特定業者に独占開業させるもので、その犯罪性は著しく重いといわねばならない。

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アラカルト   カジノ替え歌集③









コラム        シリーズ 「脱税」 (1)
ギャンブル収益は脱税が必ずある。課税方式による捕捉の難度もあるが、課税当局の政策姿勢によるところが大きい。
今回は歴史編。日本の税金について最古の記述資料は『魏志倭人伝』にある。2~3世紀ごろ、邪馬台国では一定の建物への課税「収租賦有邸閣」があったとされる。そして、日本での本格的な税制は大宝律令(701年制定)に始まる租・庸・調・雑徭である。男(少、丁、老丁)に賦課した。但し、16歳未満や66歳以上には不課税だった。直接税だからこのような定めができ、消費税などでは付加税方式はとれない。なお、人頭税ともいうべきこの課税は、口分田収穫の3%に加え、男の労働賦課が多くなると人口の2割が逃亡することもあった。
さて、ギャンブルにかかわる脱税は、闇賭博では100%脱税、宝くじは非課税だが、公営競技は納税義務がある。勝って一時所得を納めている者は1割に満たない。また外国のカジノなどで儲けたり外国で宝くじに当たると一時所得税が必要だが、これも9割以上が無申告脱税だ。
ギャンブル最大のパチンコ・パチスロ業界では、ホール店、メーカー会社、三店方式で換金する事務所の脱税も少なくない。パチンコホールは毎年業種脱税額No.1である。もちろんパチンコでのパチプロなど年間50万円以上の収益を得ている者は、その勝利にかかった費用と50万円を差し引いた2分の1が一時所得となり1年分を合計して翌3月15日までに申告する義務がある。しかし、これも脱税者だらけだろう。

公営の賭けのCM川柳
「公営の 賭けのCM 明るいね」 交野 灰赤紫さん (仲畑川柳 8月10日掲載より)
 毎日紙の仲畑川柳のコーナーにはギャンブルの句がよく載る。たしかに、ボートレースや宝くじのテレビCMはイメージ先行の広告である。券を買ったら25~55%もピンハネされるのに、そんな事実など忘れさせるかのように“明るい”演出である。
 パチンコのCMは、延田興業の郷ひろみを起用したCMのように暗い人生にはパチンコというエンターテインメントが必要だと力説させるものもあるが、マルハンのジャン・レノを起用したCMのように明るい遊びのイメージCMが多い。
これらは要するに、客観的事実としてギャンブルで店は客を収奪し、客は金を失う場合が圧倒的なのに、自社を正当化し明るい夢を追わせる戦略である。
 冒頭の句にヒントを得て創った句を披露する。
公営の 賭けのCM 嘘はじめ      (賭晋)
誘われて 後は悲しき しまいかな    (末尾無散)
賭に病んで 夢はカジノで 消えていく  (末尾無消)
パチスロは 遊ばせ病い 深くする    (業 ひろめ)
勝ったとて 申告しなけりゃ 脱税に   (酷税庁)


しらばくれた林文子横浜市長―追いかける吉村大阪府知事
 8月22日、横浜市の林文子市長は、山下ふ頭47haへのカジノを中核とするIRリゾート誘致を表明した。IRで7500億円の経済効果(建設時)、7.7万人の雇用創出、増収1200億円という事業者の試算ををもとにIR実現必要を述べた。市民らは反対の声が強く、2014年にカジノ誘致に動き始めた林市長は、2017年夏の市長選では一転「白紙」と宣言し、選挙の争点化を回避して3選された。ところが、今後住民の意見を問う気はないという。記者会見では、住民尾理解を得たのかという具体的質問には答えられなかった。
 横浜市では、市民の多くと弁護士会だけでなく、港運事業者団体の横浜港運協会(藤木幸夫会長)も強く反対している。商工会議所会頭は観光客が増えれば良いと賛成しているが、要するに賛成論はIRカジノが自らの金儲けにつながるという連中である。市長は日本のIR特区に名乗り出るという。2020年代後半に開業できるのであれば9月市議会に調査費用3億円の補正予算を提出するという。
 それにしても、選挙で白紙と公言し争点隠しをした林市長と、その裏にいるといわれる菅官房長官らの“しらばくれた”作戦には呆れる。政治家にとって将来の任期中の計画について「白紙」といって選挙するなどだまし討ちといえる。
 東京や横浜は海外カジノにとって、大阪より客層が大きく狙いどころである。早速、横浜へと目標を変える海外事業者が出ており、ラスベガス・サンズ(アデルソンGCO)は「夢洲より横浜を狙う」と表明した。
 これに対し、吉村大阪知事は、他にも海外IRはいるとして、あくまで2024年夢洲カジノ開業を追いかけてお題目を繰り返している。
 それにしても、カジノをめぐる企業らや首長らの発言はあまりにも白々しい。
白紙です 横浜市長 しらばくれ  /  選挙では 不利な争点 隠すもの
   アイアール バックは金の 支援あり  /  3枠に 入るためだと 名乗り出し

サマーもお盆も稼いだギャンブルチラシ
 8月10日、新聞折り込みチラシはギャンブル関係のもので溢れていた。近くの(といっても車がいるが)パチスロ店や、ボートレースチケットショップなどのものだ。
パチンコは大型店のリニューアルオープン、新台導入の宣伝である。新台には当たり台が含まれていることを暗に示し、10時の開店前から客を並ばせようとしている。マニア(依存者)しかわからないようなパチンコ台の名称が並ぶ。例えば「パチスロ あの日見た花の名前を俺たちはまだ知らない。ZM」や、最も短い名でも「P CYBORORG 009M2-V」、若い客狙いなのだろう。チラシには「青山めぐ」など会社のイメージキャラクターが微笑で誘惑している。
ボートレースチケットショップ大和ごせのチラシは、9日間のサマーイベントの宣伝である。入場無料で、連日夕刻からクオカードチャレンジや現金つかみ取りチャレンジを開催、また舟券3000円分の購入でガラポン抽籤を1回できると宣伝する。主な発売レースは蒲郡、住之江、尼崎、大村など全国に及ぶ。278台分の無料駐車場を構え、近畿各地の高速道ICからのアクセス、所要時間なども案内している。

パチンコの後は破綻だぜ
 2019年7月に入り、京楽のパチンコ機「パチンコ必殺仕置人」の大々的宣伝広告を目にする。「仕事の後は仕置きだぜ」というコピーのそれは、かつて藤田まこと出演のテレビドラマ必殺シリーズを利用したパチンコ台で、その機種リニューアルを宣伝するようだ。たしかに京楽は以前この機種を大当りさせ、業界一位の売上を得たことがあった。
 このコピーは、皮肉にも次のギャグやパロディを思わせる。
「パチンコの後は破綻だぜ」「仕事もせずに(ぱちんこは)仕置きだぜ」「ホールやメーカーに仕置きだぜ」「パチンコに行けば仕置きだぜ」(必殺破局請負人)(必病依存仕事人)(パチンコ屋仕置人)
 “必殺”とは、必病による家庭や職業の破綻、自殺から犯罪までをいい、“仕置人”とはそれをつくるシステムで働く者をいうのだろう。
 ゲーム機にドラマを仕込み、パチンコを継続させ大金を投じさせる。客には百文や一朱銀で惑わすも、最終は胴元のホールやメーカーが大金を集める。まさにギャンブル依存症をデザインしている。
 こんなパチンコの機械についてその導入合否を決めるのが警察(公安当局)の天下り先、「保安通信協会(保通協)」だ。パチンコのホールやメーカーの後ろには公安・警察がいる。こう考えると市民(客)が働いてその後パチンコに来るよう宣伝するのは、「パチンコ仕事の後(うしろ)は収奪する仕置(システム)だぜ」と言っているようである。
 なお、このドラマの必殺仕事人ないし仕置人とは、金を貰えば恨みの対象である悪人を殺す殺し屋集団の物語だが、その殺人方法が奇抜で人気があった。しかし、現代の殺人は罪のない人がテロで殺されるもので、殺人集団を肯定するなど時代劇でも教育に悪影響を与えすぎている。

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ャンブルNEWSピックup (2019.8.9~9.2)
2019.8.9  ヤフー  ギャンブルで不労所得を得ることが「不可能」な理由
8.10  長崎  IR候補地のHTBを視察 片山担当相「イメージ湧く」
  8.13  神奈川  「治安悪くなる」が最多 横浜市のIR説明会アンケート
      ヤフー  店にいる客が儲かっているのに、カジノも儲かっているのはなぜ?
  8.15  静岡  牧之原市、IR誘致断念 静岡県との溝埋まらず
  8.17  サンケイビズ  【トップは語る】モヒガン 24~25年に北海道でIR開業
  8.18  東洋経済  「宝くじで稼ぐ」のがパチンコよりも困難な理由
  8.19  神奈川  「白紙」一転、横浜市がIR誘致へ 林市長が近く表明
      神奈川  「大変喜ばしい」 横浜市のIR誘致方針報道に横浜商工会議所が賛意
  8.21  長崎  新幹線、IR認定など採択 24議案 今秋国に要請へ 九州各県議会議長会
      日経biz  カジノ誘致に舵切る横浜市、港町としての地位低下に危機感
      ABC  インターネットカジノ店を摘発 暴力団幹部ら逮捕 大阪
      神奈川  依存症回復支えたい 継父の経験胸に 川崎で依存症回復支援施設運営
  8.22  神奈川  「横浜市民が決めること」 IR誘致めぐり、横須賀市の上地市長
      西日本  IR誘致、北九州でも浮上 推進協「100年に一度の好機」
      ヤフー  横浜市が山下ふ頭へのIR誘致を正式表明-自治体間競争激化へ
      時事   横浜市、カジノ誘致を正式発表=20年代後半の開業想定
      千葉   IR誘致、千葉市の検討に森田知事は慎重姿勢「相談があれば適切に対応」
      産経   千葉市長「IR誘致検討作業を着実に進める」
      マカオ  マカオIR大手ギャラクシーが横浜市の正式表明を受けステートメント発表
      マカオ  メルコ社が横浜市発表受けメッセージ表明 横浜事務所開設計画も
      ヤフー  大阪府・吉村知事「大阪はIR誘致のトップランナー、必ず実現させる」
      共同   IR、米大手は東京と横浜に注力 大阪での機会追求しない
      時事   米カジノ大手サンズ、大阪撤退=誘致表明の横浜に照準
      ニッカン   東京都もカジノ誘致“参戦”可能性/政府の構想経緯
  8.23  神奈川  【横浜市、IR誘致表明】港関係者「立ち退かぬ」反発
      神奈川  【横浜市、IR誘致表明】「命を張って反対」横浜港運協会・藤木会長
      FNN  3分でわかるキーワード「IR(カジノ含む統合型リゾート)」
      ニッカン   小池知事「検討必要」東京のカジノ誘致に言葉少なく
  8.24  毎日  「山下ふ頭を博打場にしない」横浜港運協会反対 市は依存症患者実態調査へ
      読売  「ギャンブル依存」元刑事がパチスロで借金、辞職、離婚、そして万引…転落と再起
  8.26  毎日   カジノ先進国シンガポールが「自国民に厳しい」理由
      愛知   横浜市のIR誘致表明に…「引き続き調査・研究を進める」愛知県大村知事
      西日本  IR誘致トーンダウン 北九州市長「積極的に適地探さぬ」
      MBS  米サンズ 大阪撤退、横浜注力へ 吉村府知事「大阪の踏ん張りどころ」
      ヤフー  パチンコ・パチスロ店のイベント全盛時代 今では考えられないサービスの数々
  8.27  週刊朝日  古賀茂明「菅官房長官のポチだった林芙美子横浜市長」
      毎日   萩生田議員が和歌山でカジノシンポ 風紀の乱れは「エビデンス(根拠)ない」
      産経   IR情報提供に19事業者が登録 千葉市
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1.カジノ万博公金差止訴訟
次回期日:9月25日午前10時30分 1007号法廷

2.ギャンブルリーフレット配布差止訴訟
次回期日:11月7日午前10時30分 806号法廷

3.「カジノ・ギャンブル依存症」分科会in全国市民オンブズマン大会・岐阜 開催
  9月29日 午前9時~11時20分  じゅうろくプラザ(JR岐阜駅隣接)
  分科会のみのご参加も可能です。(大会全日参加5,000円、分科会のみ参加1000円)

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◇◇ギャンブルオンブズ4コマ漫画◇◇

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